英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

スカタンの手……2023王将リーグ 羽生九段-豊島九段

2023-10-23 18:19:27 | 将棋
2023王将リーグ、2連勝の羽生九段と1勝1敗の豊島九段の対戦。

 羽生九段が勝つと3連勝となり、挑戦権に大いに近づく。
 途中まで羽生九段が優勢で、一時は勝勢に近い形勢になった。
 ……しかし、そこから、羽生九段が変調。疑問手が続き、互角に。
 優勢→互角にした▲6五香(銀取り)はかなりの疑問手

 互角でも、まだこれからという局面。
 「将棋は優勢の時間が長い方が勝ちやすい」という。
 解説の横山七段によると、「ずっと不利だと、形勢が良くなっても気がつかない。悪いと思っていると、良くなっても、正しく大局観が働かず、間違える」のだという。
 なるほどである。

 羽生勝ちを期待して観ていた……しかし………
 銀取りに打ったのに、銀を取らずに▲2四角??

 《銀は慌てて取らなくても》と、(銀取りの筋を残しながら)飛車取りに▲2四角!
 でも、この一着は……“スカタンの手”だった。
 当然、飛車は逃げずに△5七歩成。先手玉の近くの歩成には手を抜けず、▲同銀。
 この手が利いたことにより、一番いいタイミングで△5七飛成が入る。つまり、飛車取りに打った角が、完全に空を切ることになる。
 さらに、△5七歩成で後手の3四の角筋も通り、△8九角成。先手玉の足元に馬を作られてしまった。

一気に敗勢に転落……


 ……嗚呼…………
(気力が復活すれば、図面も載せます)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

終盤、覇気が感じられなかった(2023年度B級1組 山崎八段-羽生九段)

2023-10-22 10:44:34 | 将棋
2023年度B級1組7回戦 山崎八段-羽生九段は山崎八段の勝利(10月19日)。
羽生九段は、対増田康宏七段戦に続いての連敗。4勝3敗となった。まだまだ、A級復帰の可能性はあるが、もう負けられなくなった。(あと1敗しても可能性はあるが……)

 中盤辺りは、優勢に持ち込めそうな将棋だったが、中盤の終わりに先手の桂頭を攻めて△7六歩と突いたため、▲7五香と打たれる空間を作ってしまい、それが痛打となってしまい、形勢を損ねた。
 それでも、不利と言ってもまだまだ難解な局面が続いた。

 しかし、終盤は淡白な指し手が続き、簡単に土俵を割ってしまった。
 気になったのは、時間の使い方。
 78手目は夕食休憩の後、対局再開直後の手で、この手の消費時間は13分(ほとんど夕休前の考慮時間)。
 この時点の通算の考慮時間は3時間38分で残り2時間18分。山崎八段も2時間22分とほぼ同じ。
 ここからの一手ごとの考慮時間(単位は分、0は1分未満、上段:山崎、下段:羽生)は……
6 2 0 5 32 0 0 6 0 5 0 12 26 0 0 6 1 0 0 6 3 1 0 0 4 0 0 0 0
0 0 0 0 6 0 4 1 2 0 0 2 0 10 0 9 6 1 0 0 0 0 10 0 0 0 0 0 0
 互いに大長考はなく、やや長考と言える20~40分の考慮が山崎八段に2回あるだけで、速い進行。羽生九段は10分2回、9分が1回あるだけ。
 相当難解な指し手の押し引きがあり、やや不利な羽生九段はもう少し考えてもいいはず。
 103手目に26分考慮した山崎八段は、残り時間が38分となっていた。
 108手目の局面、先手の6六の歩で羽生九段の6五の銀には当たりが掛かっている(次に取られるという状態)。
 ここで△7六歩と銀取りに打つ手の方が良かったが、9分の考慮で△7四銀と引いた。それでも、まだ、挽回の余地がある形勢だったが、この後は淡白な紛れの少ない手順で投了。
 山崎八段の眠っていた8八の角に▲6六角と飛車取りに飛び出され、最後は▲7五角と羽生玉にとどめを刺されてしまうという羽生ファンにとっては悔しい手順。
 山崎八段の残り時間が40分を切っており、まだ難解でその残り時間では勝ち切るのは大変で、逆転の可能性があったが、淡白な羽生九段の指し手であった。

 体調が悪かったのだろうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年度 A級順位戦 4回戦終了

2023-10-20 16:41:09 | 将棋
【4回戦終了時の成績】(右の棋士名は、今後の対戦相手)
豊島九段  4勝0敗(ランク3位) 佐藤 中村 広瀬 斎藤 菅井
菅井八段  3勝1敗(ランク6位) 佐々木 斎藤 渡辺 佐藤 豊島
永瀬九段  2勝2敗(ランク4位) 広瀬 渡辺 稲葉 佐々木 中村
渡辺九段  2勝2敗(ランク1位) 斎藤 永瀬 菅井 中村 広瀬
斎藤八段  2勝2敗(ランク5位) 渡辺 菅井 中村 豊島 佐々木
佐々木勇八段2勝2敗(ランク9位) 菅井 稲葉 佐藤 永瀬 斎藤
中村太八段 2勝2敗(ランク10位) 稲葉 豊島 斎藤 渡辺 永瀬
広瀬八段  1勝3敗(ランク2位) 永瀬 佐藤 豊島 稲葉 渡辺
稲葉八段  1勝3敗(ランク7位) 中村 佐々木 永瀬 広瀬 佐藤
佐藤天九段 1勝3敗(ランク8位) 豊島 広瀬 佐々木 菅井 稲葉


 前記事から、○豊島-永瀬●、○中村-佐々木●と進行。
 予想が外れて、中村(太)八段が佐々木(勇)八段を破って2勝2敗の五分の星とした。
 この一局は、中村八段の研究の網の中で進められた気がする。過去に羽生王座からタイトルを奪取した時も、細部に至る研究を感じたが、この将棋も同様な印象を持った。
 でも、研究を離れてから、勝利に結びつけるのは難しく、どこかで誤るのではないかと観ていた。実際、評価値はかなり良かったが、正着を指すのは難しい局面が続いた。
 それでも、いくつかの勝負所で、残しておいた考慮時間を投入し、滾々と考え、勝利に結びつけた。見事な勝利だった。

 その結果、挑戦権争いに加わるかと見ていた佐々木八段は2勝2敗の五分の星ながら、ランクが9位と下位なので、現順位は6位となり、降級の心配も出てきた。
 その残留争いだが、2勝2敗が5名、1勝3敗が3名と、かなりの混戦。数字的には2勝2敗どころか3勝1敗でも、降級の目があるが、ランクを考慮すると斎藤八段までは大丈夫であろう。
 佐々木八段を始め皆が、当然、挑戦権を目指す戦いであろうが、一応、残留争いを少しだけ考えてみる。

【過去5年間の8位(残留)9位(降級)】
 2022年度 8位佐藤天九段(3)3勝6敗  9位糸谷八段(2)1勝8敗
 2021年度 8位菅井八段(5) 3勝6敗  9位羽生九段(8)2勝7敗
 2020年度 8位羽生九段(5) 4勝5敗  9位稲葉八段(8)2勝7敗
 2019年度 8位稲葉八段(8) 4勝5敗  9位木村王位(10)4勝5敗
 2018年度 8位稲葉八段(2) 3勝6敗  9位深浦九段(7)2勝7敗

 理論的には1勝8敗の“三すくみ”でランク最上位は残留でき、2勝でも運が良ければ残留できる。だが、ここ5年間は2勝止まりだと降級している。それどころか、2勝で残留できた例は、2011年度の高橋九段(ランク3位・2勝7敗)まで遡らねばならない。
 ちなみに、この期は最終局を前に、ランク3位の高橋九段が1勝7敗(1勝は対久保戦)、ランク6位の丸山九段が1勝7敗(1勝は対高橋戦)、ランク8位の久保九段が2勝6敗(2勝は対郷田、対佐藤康戦)で、3者とも残留の目があった。1勝で残留の目があるのは相当稀有である。最終局は丸山ー久保戦の決戦、高橋九段は対谷川戦であった。地力は2勝の久保九段のみで、高橋九段は自分が勝って、丸山ー久保戦で久保九段が負けないと残留できない。丸山九段は自分が勝って、高橋九段が負けないと残留できない。
 結果は○高橋-谷川●、○丸山-久保●で、丸山九段、久保九段が降級となっている。
 
 2019年度の木村王位のように、4勝しても残留できないことが稀にあるが、通常はランク上位は3勝で残留、下位は4勝が必要と言われている。
 ただし、今年は先述したように、2勝2敗が5名、1勝3敗が3名と激戦模様。勝数が2~4勝の棋士が多数予想される。最終局を前に3勝5敗の棋士がずらりと並ぶような気がする。ともあれ、ンク下位は4勝、上位は3位がボーダーラインと考えると、やはり、冒頭の現時点での6位以下が、一応の降級候補となりそうだ。
 佐々木勇八段(2勝2敗・ランク9位)と中村太八段は(2勝2敗・ランク10位)は、残り2勝3敗で4勝(5敗)に届く。
 1勝3敗の3棋士の内、広瀬八段はランク2位なので3勝がボーダーラインで、2勝3敗でよい。稲葉八段(ランク7位)と佐藤天九段(ランク8位)は4勝がボーダーラインで、残り5局を3勝2敗が必要。
 まあ、現在の成績順が下位ほど星勘定は厳しいのは当然なのだが、それでも、3勝2敗と一つ勝ち越せばいいので、残り5局もある現状で、降級云々を言うのはナンセンスだろう。

 と言っておきがら、さらに考察する……
 残り5局の対戦相手を見ると、中村太八段と広瀬八段が豊島九段、永瀬九段、渡辺九段を残っており、厳しそうだ。
 
 星勘定では稲葉八段と佐藤天九段がやや苦しく、残り相手では中村太八段と広瀬八段が厳しい。重複者がおらず、やはり、激戦か?

 挑戦権争いは2敗までは可能性がありそう。ということで、多数の棋士に可能性が残されている。
 しかし、4戦全勝は豊島九段のみ。3勝1敗も菅井八段のみで、2棋士に絞られてくる可能性もある(最終局はふたりの直接対決)。さらに、豊島九段は永瀬、渡辺戦を終えており、星勘定、残り相手に加え、現在の充実ぶりを考慮すると、豊島九段が挑戦権を獲得する公算が大きい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まず、お詫びの言葉が欲しい【追記あり】

2023-10-17 20:16:42 | 将棋
名人戦棋譜速報(月額500円)で不具合が生じている。
午前中は忙しくて、ネットを覗くことができなかったが、一段落して、午後、ログインしようとしたが、うまくできない。
A級順位戦の“天王山の一局”とも言える豊島九段-永瀬九段戦があるというのに……

Ⅹのツイート欄を見ると
『Chromeのアップデート後、端末によってはエラーが発生することを確認しております。
 恐れ入りますが、firefoxなど別ブラウザでのアクセスをお試しください』

 別ブラウザにしなくても、そのうち復旧するだろうと思っていたが、ずっと、同じ状態。
 だいたい、「お試しください」って何だよ! 別ブラウザでもちゃんと機能するのか不明だ。


 夜、将棋連盟のサイトに
『公益社団法人日本将棋連盟が運営する「将棋連盟ライブ中継アプリ」で、「名人戦棋譜速報」の棋譜が再生可能になりました。

 ※10月16日(月)より、Android版で段階的にリリース予定です。
 ※iOS版のリリースはしばらくお待ちください』

と言う情報を発見。
 そう「発見」である……トップページには何も不具合に関する情報は示されず、「棋戦情報」または「最新情報」の欄の「ニュースをもっと見る」をクリックして、ニュース見出しの中に『将棋連盟ライブ中継アプリで、「名人戦棋譜速報」の棋譜が再生可能に(2023年10月16日更新)』という見出しがあり、それをクリックして、ようやく、上記の文章が読めたのである。

 これと同様な記事が『名人戦棋譜速報』でも表示されていた。
 『将棋連盟ライブ中継アプリ』と『名人戦棋譜速報』は別料金だと思うが、これ、『将棋連盟ライブ中継アプリ』への勧誘行為?
 と思ったら、
・名人戦棋譜速報の有料会員のみ当サービスを利用可能です
(ライブ中継アプリの有料会員である必要はございません)
とあった。

 それに、両文章とも、お詫びの言葉がない。
 やっぱり、将棋連盟だな
……


【追記】
『棋戦情報』~「豊島将之九段VS永瀬拓矢九段 第82期順位戦A級」(10月17日)~
第82期順位戦A級 豊島将之九段VS永瀬拓矢九段戦が、10月17日(火)に東京・将棋会館で行われます。
《中略》
この対局の模様は、名人戦棋譜速報及び日本将棋連盟ライブ中継でご覧いただくことができます。


 今日、不具合が発生したのかと思ったら、先程の発見記事『将棋連盟ライブ中継アプリで、「名人戦棋譜速報」の棋譜が再生可能に』は、昨日(10月16日)のモノだった。これでは、不具合放置状態に等しい。
 それで、今日の豊島将之九段VS永瀬拓矢九段戦の告知(宣伝)記事で、「名人戦棋譜速報でご覧いただくことができます」と表記……

 呆れてしまう!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年度 A級順位戦 4回戦3局経過時点 本日 豊島九段-永瀬九段戦

2023-10-17 17:14:05 | 将棋
A級順位戦は4回戦の5局中3局が終了。中途半端なところで、記事を書くのは味が悪いが、本日は"天王山”とも言える豊島-永瀬戦が行われている。

 メンバーを見ると、私が言うのは非常に気が引けるが、今年も層が分かれていると感じた。
 実は、昨年もそれを感じていて、昨年の記事「2022年度 A級順位戦 3回戦を終えて」では
【ここから引用】藤井五冠(竜王、王位、叡王、王将、棋聖)、永瀬王座、豊島九段、斎藤八段、広瀬八段
佐藤天九段、菅井八段、糸谷八段、稲葉八段、佐藤康九段 
 の二層(2層の区別、順番は私の主観)。
 下段の順番は前から三人の上下は微妙。申し訳ないが、佐藤康光九段は降級に近そう。
【引用終】
と書いている。昨期の結果は……
2022年度 A級順位戦最終成績】
広瀬八段 7勝2敗(ランク5位) 
藤井竜王 7勝2敗(ランク9位)
豊島九段 6勝3敗(ランク4位) 
永瀬王座 6勝3敗(ランク6位)
斎藤八段 5勝4敗(ランク1位)
菅井八段 5勝4敗(ランク8位)
稲葉八段 4勝5敗(ランク10位)
佐藤天九段3勝6敗(ランク3位)
糸谷八段 1勝8敗(ランク2位)
佐藤康九段1勝8敗(ランク8位)
 となり、藤井竜王が広瀬八段とのプレーオフを勝利、渡辺名人との七番勝負も制して名人位に就いた。
 降級は糸谷八段と佐藤康九段。


 今期は上記の8位まで(藤井名人に代わり渡辺前名人が入る)と、昇級した佐々木勇八段と中村太八段が加わった。
 個人的見解を書かせて頂くと、
2トップで豊島九段と永瀬九段
続くのが、渡辺九段、菅井八段、広瀬八段、斎藤八段
佐々木勇八段、佐藤天九段、稲葉八段、
中村太八段
という4層構造。

・同列でも左側が上位
・菅井八段の現在の充実ぶりを考慮すると渡辺九段より上位にしたいが、これまでの実績や事前研究の周到さを考え、渡辺九段を上位とした
・斎藤八段は一つ下の段に入れた方が良い気もしたが、これまでの順位戦での強さを重視した
・佐々木八段は挑戦争いは難しいが、《強い日は強い》ので、4勝は上げられそう(←順位戦開始前の予想)。現在、2勝1敗でしかもその2勝は渡辺、広瀬を破ってのモノ、さらに、1敗も豊島九段相手なので、残り6局を3勝3敗以上の星を残せそうだ。
・中村太八段は、昨年度は20勝14敗、順位戦は9勝3敗。つまり、順位戦以外は11勝11敗。順位戦の対戦相手の将棋を調べて、想定戦型・局面を徹底的に研究したのではないだろうか(勝手な私の思い込み)。さすがに、A級では厳しいか?


【10月16日現在の状況】(一番右の成績は、今期全棋戦の成績)
豊島九段  3勝0敗(ランク3位) 14勝5敗(0.7368)
菅井八段  3勝1敗(ランク6位) 13勝8敗(0.6190)
永瀬九段  2勝1敗(ランク4位) 15勝10敗(0.6000)
佐々木勇八段2勝1敗(ランク9位) 14勝7敗(0.6666)
渡辺九段  2勝2敗(ランク1位) 13勝14敗(0.4814)
斎藤八段  2勝2敗(ランク5位) 6勝9敗(0.4000)
中村太八段 1勝2敗(ランク10位) 4勝8敗(0.3333)
広瀬八段  1勝3敗(ランク2位) 9勝8敗(0.5294)
稲葉八段  1勝3敗(ランク7位) 7勝8敗(0.4666)
佐藤天九段 1勝3敗(ランク8位) 5勝7敗(0.4166)


 本日の豊島-永瀬戦は、挑戦者争いを左右する一局と言って差し支えないだろう。
 5回戦の菅井-佐々木戦は《挑戦権争いの先頭グループにいられるか?》の一局。渡辺-斎藤戦は《挑戦権争いに踏みとどまれるかどうか?》の一局だ。
 それにしても、上位4名以外は今期は苦戦しているなあ。

 あ、そうそう、今日は竜王戦の藤井竜王-伊藤匠七段の第2局が行われている。
 以前は、《1日目なので、戦いはまだまだこれから》だったが、昨今は進行が速い。
 5時現在で58手目まで進み、戦いは"佳境”に入っている。勝利確率は藤井54%対伊藤46%。単純に数字を比較すると藤井竜王が8%高いので、有利と見ることができるが、互角の50%から4%触れただけなので、互角の範疇だろう。消費時間も両者とも約3時間20分とほぼ同じ。

 ちなみに、「佳境」の意味は《①最も興趣を感じる所。味わいの深い部分。②景色の良い場所》(旺文社『国語辞典』)なので、《戦いが本格化する》 《戦いの厳しさが増す》という意味で使うのは、本来の意味からするとズレているような気がする。
 観戦側から見ると、《面白い局面(最も興趣を感じる所)になってきた》ではあるが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤井聡太、八冠独占!

2023-10-13 21:18:44 | 将棋
 かなり出遅れてしまったが、藤井聡太竜王・名人(七冠)が、王座戦第4局を制し、八冠制覇、独占した。
 正直、羽生九段の七冠を超えられて、悔しい気持ちもあるが、ここは「おめでとう!」と言うしかない。
 強い!  達成した偉業を讃えよう。


 藤井八冠は、これまでタイトル戦を18回(挑戦8回、防衛10回)戦い、すべて勝利してきたが、“抵抗”という言葉は適切でないかもしれないが、永瀬王座が最も抵抗したのではないだろうか?永瀬王座も讃えたい。
 ………《きみも、ついに“九段”の仲間入りか》。羽生九段(藤井八冠にタイトルを奪われたわけではないが)、豊島九段、渡辺九段、そして永瀬九段………


それにしても……
 報道やSNSを観ていると、「評価値」や「勝利確率」の弊害が出ているなあ


 「勝率99%からの大逆転」という表現が氾濫した。
 確かに、藤井玉に即詰が生じており、詰ませば勝ちなので「100%」と表現しても間違いではないのだが、実際は1分将棋、しかも、フレッシュな状態で1分読めるわけではなく、《5時間の持ち時間を考え抜く》《対局開始の午前9時から、休憩時間はあると言え、11時間以上藤井七冠と相対して対局する》という状況は、消耗が並大抵ではない。
 その中で、藤井玉の詰みを読み切るのは相当な困難である。
 安易に《《99%勝ち》を逃がした》と思って欲しくない。


 そういう「大逆転」という言葉が飛び交う中で、Facebookのプライベートグループで、”決めつけ”のコメントがあった。
「あまりにも見っともない勝負でした
 キツイ言い方すれば、ファンに特に応援してくれてた人に謝れと言われても仕方ない
 それ程酷いと思いました」
(このコメントは《言い過ぎではないか》の反論に対して)
「プロの試合にはあまりにもお粗末だと言ってるのですよ
 ここ3試合全部らしさがない
 私はプロの試合としてみてるのです」
「級位者だからアマチュアだからプロを見たいんじゃないですか?」
「野球でもサッカー、ゴルフ、オリンピックアマチュア目線で見て応援もすればパッシングもして、歓喜憤怒するじゃないですか。
 それを見せるのがプロだと思ってます。
 なので、見っともないんですよ
 級位者でも分かる詰み筋を今日だけじゃなく、ここ3局【おいおい】と言う場面で負けてます。
 頑張れよ しっかりしろよ
 っと言われるのは、プロなら当たり前だと思ってます。
 それを見たいから、アマチュアな私はお金払うんですよ」


 氏の言っていることが、すべて間違いだとは思わない。部分的には正しいとも言える。(言い過ぎではある)
彼の主張は
1.級位者でも分かる詰み筋を逃したのは、プロの試合としては、あまりにもお粗末である
2.同様な失敗を3局続けて犯した


《1.級位者でも分かる詰み筋を逃したのは、プロの試合としては、あまりにもお粗末である》について
その大逆転(笑)の一着を視てみよう

 ABEMA テレビの解説者は「ここで▲4二金で詰むので、永瀬王座の勝利」とほぼ断定。
 また、棋譜中継の解説も「控室は☖5五銀に☗4二金で「永瀬勝ち」と結論付けられている」と。

 この局面は、藤井七冠が△5五銀と先手玉に詰めろを掛けたところ。
 先手は、この詰めろを受けることはできるが、一旦、詰めろを解除しても、後手からの寄せを防ぐことはできず、一手一手の寄せになる。
 つまり、後手玉を詰ますのが勝利の道。(詰まさなくても、後手玉に迫りながら5五の銀を排除する手段もある)
 で、この局面で、級位者(アマチュア)でも後手玉を詰ますことができるのか?
 ……無理。
 アマチュア有段者なら、運よく、詰ますことができるかもしれない。
 アマチュアの高段者なら、▲4二金と着手した後、後手の指し手に対して、詰みまで指すことは可能であろう。しかし、フレッシュな頭でも1分で詰みを読み切ることは、難しいはず。
 プロ棋士ならどうなのか?
 控室や解説場では、すでにAI解析により、《▲4二金以下の詰みがある》と結論が出ていて、おそらく、それを知っているので、「▲4二金で先手勝ち」と解説したのかもしれない。
 実は、私もABEMA 画面で示された▲4二金の一手だと思っていて、永瀬王座の▲5三馬を見て、《えっ?》と思った。そして、評価値(勝率確率)が暴落。《ああ、どうして▲4二金と指さないんだぁ?》となった。

 この時は、《▲4二金以下簡単に詰む》と思っていたのだが、しばらくして読んでみると、意外に難しい。
 まず、最初に読む順が、▲4二金△同金▲同成銀△同玉▲5二飛(変化図1)の順。

以下①△同玉なら▲5三銀と打って後は頭金の詰み。②△3三玉と逃げた時が難しい。△3三玉以下▲5五馬△同角成▲2二銀△2四玉▲2五歩△同玉▲2六歩△同玉▲1七銀(変化図2)で

△3六玉と逃げるなら▲4七金と打ち、△4五玉なら▲4六歩△同馬(△3五玉なら▲5五飛成)▲同金以下詰み。
△3五玉なら▲2七桂△2四玉▲2五歩△同玉▲2六歩△2四玉▲3六桂で詰み。
△2五玉なら▲2六歩△2四玉▲3六桂△3五玉▲2七桂△4五玉▲4六歩(変化図3)以下詰み。(他にも詰め方があるようだ)

 上記の詰め手順で、②△3三玉の時、▲5五馬△同角成としてから▲2二銀と打たないと詰まない(ただし、先に▲2二銀と打っても、以下△2四玉▲5五馬△同角成▲同飛成で先手の勝ちは動かない。
 永瀬王座は変化図の▲5二飛ではなく▲6二飛を読んだとのこと。▲6二飛だと5筋に飛車が利かないので詰みはない(ただし、▲6二飛でも勝勢)。

 さらに、最初の▲4二金を取らずに、△2二玉▲3二金△1三玉と逃げる手も難しい(△1三玉で△1二玉なら▲2二金△1三玉▲2三金△同玉▲2二飛以下詰み)。△1三玉以下、▲2二銀△2四玉▲2五歩△同玉▲2七飛△2六金(飛)▲1七桂△3六玉(1六玉)▲2八桂(変化図4)

△同角成▲2六飛以下詰み。
 ▲1七桂~▲2八桂はかなり難解。さらに、その前の△2四玉の時に▲2五歩△同玉としてから▲2七飛と打たないと詰まない(すぐ▲2七飛と打っても先手が勝つだろうが)。その上、変化図4の詰まし方も難解過ぎる!

 と言う訳で、60秒でこれらの変化を読んで詰みを読み切るというのは、至難の業
 永瀬王座が不運だったのは、第1図で▲5三馬も有力に見えたこと。5三に馬を置いておけば、△1三玉と逃げられた時、▲2五桂△2四玉▲3五金の筋で詰む。しかし、実際は▲5三馬△2二玉と進んだ時(実戦もそう進んだ)、▲3一銀と打っても詰まない。
 この手が見えなければ、▲4二金と指し、指し手を進めながら詰みに至ることも出来たはず。詰ませなくても、5五の銀を抜くなどできた。
 さらに、運の悪いことに、▲5三馬が疑問手を通り越して、敗勢に陥る悪手だった。


《2.同様な失敗を3局続けて犯した》について
 この件については、《相手が藤井七冠であったこと》……相手が悪かったのだ
 王座戦挑戦者トーナメントの準々決勝の村田顕弘六段も、本当にあと一歩で勝ちまで藤井七冠を追い詰めた……しかし、勝てなかった。
 これまでも、《勝ちかも?》という局面から、数回、藤井八冠(もう"八冠”と表記してもいいかな?)の繰り出す勝負手をかいくぐって、ようやく《勝った!》と思った局面に辿り着いても、勝てなかった棋士が何人いたことか……
 藤井八冠相手に優勢になるのも大変だし、勝勢に持っていくのも大変なのである。《勝った》と思った局面に至るまでの消耗は計り知れない。消耗の上、時間切迫……本当に藤井八冠に勝つのは大変なのである。


 この第4局の敗因を挙げるとしたら、中盤での2時間を超える大長考であろう。
 大事な局面で、読み切ろうとする姿勢、そして、それに挑み頭脳をフル回転させるのは、棋士の性(さが)であるし、尊敬に値する。
 しかし、ここで、もう少し時間の消費、脳の消耗を抑えておくべきだった。そもそも、羽生九段ではないが、70分を超える長考で良い手だったことは少ない(良い手であっても、その少し後、疑問手が出る)

 今の藤井八冠相手に勝ち切るのは、寄せの段階で80分ぐらい残しておかないといけないように思う。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【歳時メモ】 彼岸花、コスモス、花水木、イチョウ、セイタカアワダチソウ

2023-10-13 15:15:47 | 将棋
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。
 『歳時メモ』の前記事が4月8日……半年ぶりの歳時メモです。(心の余裕がなかったのかもしれない……トラブルとか体調不良ではないです。単に、スポーツ中継やドラマなどを観るのに追われていたからです)

 10月に入って、一気に季節が進んだ。
彼岸花……例年は9月中旬に赤い塊を見かけたような気がするが、今年は9月末から10月初旬がピーク。まだ咲いているのを見かける
コスモス……例年よりかなり開花が遅れた感じ。数も少ないような気がする
花水木(葉)……例年、早いモノは9月に入ると紅葉を始めていたように思うが、今年はやや遅れ気味。今年は10月に入ってから、急速に色づき始め、現在、紅葉盛りのものが、あちこちで
イチョウ……局所的な差が大きい樹木。現在、黄葉が盛んな街路樹も散見。まだまだ緑の街路樹も多い
セイタカアワダチソウ……ここ1週間で黄色が濃くなった。最盛期の群落も見かけられる。

 9月は残暑と言うより、猛暑に近かった。
 10月に入ると、一気に気温が下がり、草木も秋の様相を強めてきて、例年の進度に追いつきつつあるようだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現在、52%対48% (20時8分)

2023-10-11 20:37:12 | 将棋
 藤井七冠2勝、永瀬王座1勝で迎えた王座戦第4局。藤井七冠が勝てば、八冠達成である。
 本局は、永瀬王座の研究通りに進み、40手の段階で、消費時間は永瀬5分に藤井2時間48分、形勢も永瀬有利。だが、43手目に永瀬王座が2時間4分の大長考で、消費時間の差がつまり、その後の展開も長考の割には芳しくなく、ほぼ互角に。
 ただ、その後は、藤井七冠も疑問手を指し、藤井38%前後で推移し、しかも、数値以上に藤井七冠が勝つのが大変な将棋に見えた。
 ただし、その後も藤井七冠も踏ん張り、60%対40%とふりを拡大させず、残り時間も藤井24分、永瀬47分接近してきた。形勢時間ともに、永瀬有利であるものの、藤井七冠の強さを考えると、《結局は藤井勝利》というパターンに帰着するように思えた。

 で、この記事を書き始めた時に、記事タイトルの状況…永瀬52%対藤井48%。
 さらに、ここまで書いて、中継画面を見ると、永瀬30%対藤井70%(101手目)、残り時間は永瀬3分、藤井七冠はかなり前から1分将棋のようだ。
 105手目、永瀬50%対藤井50%。108手目、永瀬57%対藤井43%。永瀬王座は残り3分を保持している。永瀬玉への寄せが見えなくなり、数値以上に永瀬王座が勝ちやすい局面だ。

 しかし、相手は藤井七冠。一手でも誤れば、逆転される(並の相手なら、間違えても見逃したり、逆転しても勝ち切れない)。
 111手目に永瀬王座も1分将棋に。さて、どうなることか……(20時35分記)


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冴えない手順

2023-09-29 15:26:47 | 将棋

 図はほぼ互角だと思うが、銀香交換+“と金”+香取りと先手のプラス要素はあるが、飛車を成り込まれ、△7六桂や△3四香の嫌な筋に角の成り込みもあり、先手が苦労の多い局面に思える。
 そこで、桂打ちの防ぎを兼ねて▲6五銀と角取りに銀を打ったが、この手があまり良くなかった。
 ▲6五銀には角を逃げずに△7六桂と打つのが最善で、以下▲5四銀と角を取られた時、6八の銀を慌てて取らずに△5四同歩と応じるのが冷静で、後手有利のようだ。
 実戦は△2七角成と角を成った。これで、△7六桂はなくなったうえ、次の▲2八歩(第2図)で馬が助からない。


 《してやったり》の図だが、△3七馬▲同飛に△4四桂と角取りに打たれ、▲4五角とかわした手に、今度は△2六銀と飛車を狙われ、▲3八飛△3七桂(第3図)………痛い

 飛車がほとんどアウトな上、打った銀も角も中途半端な駒となっている(6五に桂を跳ねたいのだが…)

 第1図での▲6五銀では▲8九歩と△7六桂に▲5九銀を用意するなど、後手龍の働きを抑えるのが良かったようだ(△8八歩とこじ開ける手はあるが、手は稼げそうだ)
 また、▲8九歩に△3四香なら▲同角△同歩▲同飛で勝負できそう。
 
 第2図の▲2八歩に代えて、▲3三とが良いように思う。以下△3三同歩に▲1二角成と形を解しておくのが良かったようだ(▲3三飛成と急ぐと△3二香を食らう)。▲3三飛成と桂を取りつつ飛車成りがあるので、それを防ぐ△3二歩には、そこで▲2八歩。△3二香と次の桂跳ねの反撃を見せて防ぐ手には▲3四歩△2五桂▲4八銀と辛抱。あ、でも、飛成の時、△3二香があるので、防ぐ必要がないかも。▲1二角成に△3六歩と打たれると、悩ましい…少し悪そうだ。

 第2図から△3七馬▲同飛△4四桂の時にも▲3三とと勝負する手があったかもしれない。以下△3六歩なら▲4三と△同玉▲2七飛△5六桂▲2三飛成△6二玉▲5六銀、△3三同桂▲1二角成△3六歩▲2七飛でどうか?……いずれの変化も、3六の歩拠点、9九の龍の潜在攻撃力(3六歩との挟撃・3九の金への間接的利き)が大きいのと、後手陣が見た目より抵抗力があって、先手が苦しそう。だが、第3図の展開よりはマシか。

 第1図から第3図までの手順は冴えなかった。6五の銀が悲しい……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023倉敷藤花戦 挑戦者決定トーナメント 準決勝 その3

2023-09-27 11:44:46 | 将棋
「2023倉敷藤花戦 挑戦者決定トーナメント 準決勝 その2」 の続きです)
 2023倉敷藤花戦 挑戦者決定トーナメント 準決勝:今井女流1級-加藤(結)女流初段戦は、振り飛車の今井女流1級の指し手がちぐはぐで、大苦戦に陥った。
 加藤(結)初段は落ち着いた指し手で、有利を拡大していき、勝利に近づいていったが、終盤、誤り、混戦に。

 図ではチャンスが訪れていた!(図の△5八銀成は空成りで、かなりの緩手)

 時間が切迫して読み切るのは難しいが、アマ高段者以上なら、後手陣に迫るのなら、まず“この一手”という手がある。
 それが、▲3一飛成
 通常は、3二には駒がなく王手で3一に飛車が成るというパターン。しかし、この局面は既に3二に金があり▲3一飛成に同金と取られてしまうのだが、1一に龍がいるので▲3一同龍と攻めを継続できる。以下、△3二金に▲4二銀△5二玉に▲3二金が普通の寄せで良さそう。ただし、▲3二金に△同銀と取られた時の後手玉の詰みが意外と難しい。迂闊に▲5一龍とすると、△4三玉で訳が分からなくなる(多分、先手の勝ち)。正解は▲5一銀成△6三玉▲6二金△同玉▲3二龍△5一玉▲6二銀。
 そこで、▲3一飛成△同金▲3一同龍△3二金▲4二銀△5二玉に一旦、▲5一龍△6三玉を決めてから▲3二金と金を補充する方が無難。それでも、△6五歩と玉の脱出を図られると、勝ちを読み切るのは大変。(実際は▲5三銀成△同金▲7三桂成以下の詰みがあるが、実戦的には▲7七角と詰めろを掛けた方が良さそう)
 最初の▲3一飛成には△1二金や△4三玉や△4二金打と頑張る手がある。どの手に対しても、先手が勝ちになる(詳しい変化は省略させてください)。
 勝ちを読み切るのは大変だが、図では▲3一飛成の一手であろう。
 実戦は▲4一飛成としたため、△4二金打で後手玉への寄せが遠のいてしまった。

 時間切迫で最善手を続けるのは大変だが、△5八銀成▲4一飛成の2手は、挑戦者決定トーナメントの準決勝としては残念。

 挑戦者決定戦は、西山朋佳女流三冠対加藤結李愛女流初段となった。
 (ああ、今日、行われているのか)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする