先輩後輩の上下関係が厳しく、先輩の命令は絶対である。
昭和の運動部はそういうものだった。これが応援団となると、さらに厳しいものというイメージがあった。
たまたま見た昨夜のNHKの番組。時代は平成、しかも、あの東京大学ですよ。応援団もスマートなものだと思っていました。でも、「馬鹿なんじゃないの」と思うほど、時代錯誤ぶりだった。たとえば、部室に4年生がいると、下級生は座ってはいけない。廊下で立って待機しなければならない。
「馬鹿」という言葉を使いましたが、「蔑み」の念ではなく、「畏敬」というか「尊敬」というか……。感動しました。
ちなみに、応援部というのはチアリーダーズ(女性が華やかにポンポンを振って応援)、吹奏楽団、そして、それら応援全体を引っ張っていくのが「リーダー」で、このリーダーたちがいわゆる応援団です。
その責任者であるリーダー長(応援団長)が、辻宋吉郎さんで、その厳しさから「鬼のリーダー長」と呼ばれています。いや、この人がすごく魅力的。惚れてしまいそうです。
まず、ナレーションを聞いて、ぶっ飛びました。
「東大応援部が、他の大学と最も違うところは、応援するチームが極めて弱いということです」
おいおい! いいの?こんなこと言って。
確かに、東大野球部は弱く、過去に6大学リーグで70連敗したこともあります。7期(3年半)勝ち星なしです。
時々、応援の士気を上げるため、辻(あえて呼び捨てさせていただきます)は、時々講釈します。それがまた面白い。
「東大はよく、他の大学に比べて、違う競技しているんじゃないかと言われるぅっ!
確かに、アメフトのような得点差になることもあるっ!
しかし、こんなに1球1球に本気になれるのは東大だけであるぅ!
東大の野球は面白い!
そして、今日勝って、もっと面白くしようぜっ!」
ナレーション「しかし、この日も大差で敗れました」(2-12)
試合に敗れると、リーダーたちは「罰練」と呼ばれる特訓が待っています。応援が悪かったせいで、勝たせることができなかったと考えているのだそうです。
チームが負ければ、自分たちを責める。それが応援部なのだそうです。
辻「最後まで本当に勝ちを信じたのか?」
と、問いかけます。
辻は、大学に通う時は必ず学ラン。
応援団は大きな声と体全体を使っての拍手が命。並みの運動よりはるかに激しいです。手は真っ赤にはれあがります。
皮がむけるというよりは、割れるという感じです。
辻は応援に対して真剣、下級生たちに対しても真剣。応援に対する目は怖いです。私よりはるかに年下なのに、怖いです。きっと、敬語を使ってしまうでしょう。
私が人事課で、採用する立場だったら、顔を見ただけで即採用です。それだけ、気骨のある顔をしています。
2年生に藤原という団員がいます。
彼も応援馬鹿です。でも、迷いもあります。
友達に
「同じきつい練習をするなら、選手(運動部)になりたい。選手で勝った方が達成感が高いと思う」
藤原
「楽しいことないって言っても、ほんと言いすぎじゃないと思う。でも……どうなんだろう。結局は、やっぱり………どうなんだろうねえ」
反論できず、気持ちが揺らいでしまいました。
人とは違う学生生活の中で、何か得るものはあるのか?答えはまだ見つかっていないそうです。
でも、その表情は、悩んでいるというよりは、充実感を感じているように見えました。
辻は、厳しすぎると思うこともある。でも、厳しさの中でこそ、逆境でもあきらめない強い精神力が身に付くと考えている。
辻は言う。
「あいつらにはそれができると信じている」
春のリーグ戦、最終カード。この日も劣勢。
辻は、下級生を通路に呼び出し喝を入れる。
必死の応援……しかし、試合の流れは変わらない。
辻、檄を飛ばす。
「野球は難しい!
そして、応援も難しい!
こんだけ声出しているのに、なかなか勝てない!
難しいっ!
どうすればいいか、わからない!
しかし、野球部はそれでもがんばっている!
我々にできることはなんだ?
難しいとわかっていて、それでも応援することだ!」
結局、東大は1勝することもできず、春のリーグ戦を終えた。
春のリーグ戦が終わると、「六旗の下に」という6大学の応援部が一堂に会して、応援の技を披露しあうイベントがあります。
これに向けて、特訓が始まります。
辻が鬼の顔で、「数えろ」とぼそり。
20分間、声を張り上げながら全身の力を込めて拍手をし続けます。
1年生の一人が倒れました。藤原は自分のことで精一杯で1年生に気を配る余裕がない。
突然、辻が2年生を呼ぶ。
「1年生はお前の背中、見てんだぞ。
苦しい時、自分だけ苦しいと思っているやつは最低だ。
仲間なんだ。感じろお互いを」
全体練習の前に、1年生を指導する藤原。
苦しい練習中も1年生に積極的に声を掛ける藤原。
練習後、1年生を夕食に誘う藤原。
苦難を乗り越えた先に、何かがある。そう信じようと話す藤原。
一方、がんばる下級生に負けないよう、夜11時公園で練習する辻。
体を地面と平行になるまで反らせる「勝利の拍手」。東大応援部の真骨頂。
本番、「勝利の拍手」はこの日一番の歓声が上がった。
終了後、辻は自分の思いを後輩に託す。
思いもかけず、いいものを見ました。(秋のリーグ戦がありますが、4年生は引退なのでしょうか?)
昭和の運動部はそういうものだった。これが応援団となると、さらに厳しいものというイメージがあった。
たまたま見た昨夜のNHKの番組。時代は平成、しかも、あの東京大学ですよ。応援団もスマートなものだと思っていました。でも、「馬鹿なんじゃないの」と思うほど、時代錯誤ぶりだった。たとえば、部室に4年生がいると、下級生は座ってはいけない。廊下で立って待機しなければならない。
「馬鹿」という言葉を使いましたが、「蔑み」の念ではなく、「畏敬」というか「尊敬」というか……。感動しました。
ちなみに、応援部というのはチアリーダーズ(女性が華やかにポンポンを振って応援)、吹奏楽団、そして、それら応援全体を引っ張っていくのが「リーダー」で、このリーダーたちがいわゆる応援団です。
その責任者であるリーダー長(応援団長)が、辻宋吉郎さんで、その厳しさから「鬼のリーダー長」と呼ばれています。いや、この人がすごく魅力的。惚れてしまいそうです。
まず、ナレーションを聞いて、ぶっ飛びました。
「東大応援部が、他の大学と最も違うところは、応援するチームが極めて弱いということです」
おいおい! いいの?こんなこと言って。
確かに、東大野球部は弱く、過去に6大学リーグで70連敗したこともあります。7期(3年半)勝ち星なしです。
時々、応援の士気を上げるため、辻(あえて呼び捨てさせていただきます)は、時々講釈します。それがまた面白い。
「東大はよく、他の大学に比べて、違う競技しているんじゃないかと言われるぅっ!
確かに、アメフトのような得点差になることもあるっ!
しかし、こんなに1球1球に本気になれるのは東大だけであるぅ!
東大の野球は面白い!
そして、今日勝って、もっと面白くしようぜっ!」
ナレーション「しかし、この日も大差で敗れました」(2-12)
試合に敗れると、リーダーたちは「罰練」と呼ばれる特訓が待っています。応援が悪かったせいで、勝たせることができなかったと考えているのだそうです。
チームが負ければ、自分たちを責める。それが応援部なのだそうです。
辻「最後まで本当に勝ちを信じたのか?」
と、問いかけます。
辻は、大学に通う時は必ず学ラン。
応援団は大きな声と体全体を使っての拍手が命。並みの運動よりはるかに激しいです。手は真っ赤にはれあがります。
皮がむけるというよりは、割れるという感じです。
辻は応援に対して真剣、下級生たちに対しても真剣。応援に対する目は怖いです。私よりはるかに年下なのに、怖いです。きっと、敬語を使ってしまうでしょう。
私が人事課で、採用する立場だったら、顔を見ただけで即採用です。それだけ、気骨のある顔をしています。
2年生に藤原という団員がいます。
彼も応援馬鹿です。でも、迷いもあります。
友達に
「同じきつい練習をするなら、選手(運動部)になりたい。選手で勝った方が達成感が高いと思う」
藤原
「楽しいことないって言っても、ほんと言いすぎじゃないと思う。でも……どうなんだろう。結局は、やっぱり………どうなんだろうねえ」
反論できず、気持ちが揺らいでしまいました。
人とは違う学生生活の中で、何か得るものはあるのか?答えはまだ見つかっていないそうです。
でも、その表情は、悩んでいるというよりは、充実感を感じているように見えました。
辻は、厳しすぎると思うこともある。でも、厳しさの中でこそ、逆境でもあきらめない強い精神力が身に付くと考えている。
辻は言う。
「あいつらにはそれができると信じている」
春のリーグ戦、最終カード。この日も劣勢。
辻は、下級生を通路に呼び出し喝を入れる。
必死の応援……しかし、試合の流れは変わらない。
辻、檄を飛ばす。
「野球は難しい!
そして、応援も難しい!
こんだけ声出しているのに、なかなか勝てない!
難しいっ!
どうすればいいか、わからない!
しかし、野球部はそれでもがんばっている!
我々にできることはなんだ?
難しいとわかっていて、それでも応援することだ!」
結局、東大は1勝することもできず、春のリーグ戦を終えた。
春のリーグ戦が終わると、「六旗の下に」という6大学の応援部が一堂に会して、応援の技を披露しあうイベントがあります。
これに向けて、特訓が始まります。
辻が鬼の顔で、「数えろ」とぼそり。
20分間、声を張り上げながら全身の力を込めて拍手をし続けます。
1年生の一人が倒れました。藤原は自分のことで精一杯で1年生に気を配る余裕がない。
突然、辻が2年生を呼ぶ。
「1年生はお前の背中、見てんだぞ。
苦しい時、自分だけ苦しいと思っているやつは最低だ。
仲間なんだ。感じろお互いを」
全体練習の前に、1年生を指導する藤原。
苦しい練習中も1年生に積極的に声を掛ける藤原。
練習後、1年生を夕食に誘う藤原。
苦難を乗り越えた先に、何かがある。そう信じようと話す藤原。
一方、がんばる下級生に負けないよう、夜11時公園で練習する辻。
体を地面と平行になるまで反らせる「勝利の拍手」。東大応援部の真骨頂。
本番、「勝利の拍手」はこの日一番の歓声が上がった。
終了後、辻は自分の思いを後輩に託す。
思いもかけず、いいものを見ました。(秋のリーグ戦がありますが、4年生は引退なのでしょうか?)