英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

卓球 平成22年度全日本選手権(2011年1月)②

2011-01-26 23:15:54 | スポーツ
★女子ダブルス
 ダブルスはふたりで戦う分、個性がなくなると思い、今まで深く見たことはありませんでした。
 しかし、それは大間違いで、実にチームプレイや戦略が深いものだと、今回気づきました。
 決勝は、藤井寛子・若宮三紗子ペア×阿部恵・小野思保ペア。藤井・若宮ペアは前回覇者、阿部・小野ペアは全日本社会人の優勝ペアで、準々決勝では平野早矢香・石川佳純ペア(前々回優勝ペア)に競り勝っている。準決勝でも照井萌美・中島未早希ペア(早大)逆転勝ち。ゲームの後半、試合の後半になるほど力を発揮するように感じた。
 決勝戦も第1、第2ゲームを藤井・若宮ペアに連取された。第1ゲームは0-4、2-6とリードされ、7-7と追いつくが、結局9-11で落とす。第2ゲームも0-5、2-8とリードされ追い上げたものの、9-11と落とす。
 第3ゲームは、逆に5-0とリードを奪い11-5とゲームを取る。準々決勝、準決勝同様に、徐々にペースを上げてきている。
 圧巻だったのは第4ゲーム。3-3から阿部・小野ペアが3点連取し6-3、更に7-4とリード、このままこのゲームはいくかと思われたが、藤井・若宮ペアも立て直し7-7と反撃。さらに1点ずつ取り8-8。
 ダブルスは4球目までの駆け引きが凄い。まずサーブ開始前にお互いのチームがサインをやり取りする。サーブ(レシーブ)の回転の種類を知らせたり、逆に3球目攻撃するのでどこそこのポイントに返球が来るようなサーブを要求したりするそうだ。もちろん、相手の得意のサーブや、レシーブのパターンを考えて作戦を練る。
 シングルスの場合は、サービス側が有利だが、ダブルスはコート半面にサーブ有効面が限られるので、レシーバーも的を絞りやすいのだ。だから、半端なサーブだとレシーブが厳しいところをつけるので3球目が甘くなり、4球目で決められてしまうことも多い。逆に、レシーブが甘いと、3球攻撃で決められてしまう。
 4球目までのウエイトが高く、故に、相手のサーブ(レシーブ)を読み合い、その緊迫感が凄い。
 卓球のダブルスは交互に打たなければならない、しかも卓球台は狭いので、プレーするエリアもせまく、制約を受けるので、そのコンビネーションが難しいと思われるが、パートナーが打つ間に態勢を立て直す余裕があるので、シングルスの時よりギリギリのプレーができる。なので、本当にギリギリの攻防が続くのだ。
 ここまで見ていると、藤井はオールラウンド、若宮はバックハンドの技術が凄い(強力なスマッシュ、あるいは一瞬にして多彩な回転を使い分けるなど)。
 阿部は守備力が強く、特に相手の強打に合わせるカウンターが素晴らしい。小野は阿部が作るチャンスボールを持ち前の強力なフォアハンドで決める。

 第4ゲーム8-8、ここからが凄かった。阿部のサーブに対する藤井の返球がやや浮いたところを、小野がフォアの強打。これを若宮がバックでカウンター。コーナーに見事に炸裂し、9-8。
 続く阿部のサーブを藤井がストレートに返球。これを小野が回り込んで思い切りフォアで振り抜く。若宮がバックで合わせるがネット。9-9。
 藤井のサービスを小野が前に落とすが深くなる。これを若宮がサイドに流す。阿部はコートの外に身体を振られながらも、逆クロスに返球。これを身体を思い切り開いて藤井が強打。これを小野がネットに掛ける。9-10。マッチポイント(チャンピオンシップポイント)。
 藤井のサーブに、小野がコート中央に返球。これを若宮が思い切りフォアで強打。これを読んでいたのだろうか、阿部はラケット面を合わせ被せるようにカウンター。強打の倍返しになり、藤井返せず。10-10、デュース。
 小野のサーブを、若宮がバックで小さくカット。これを阿部がクロスに返すと見せかけて、ストレート(若宮側)に流す。やや逆を突かれた藤井返せず、11-10、阿部・小野ペア、ゲームポイント。
 若宮のサービスを阿部が深く返す。やや窮屈になりながらも藤井がコーナーぎりぎりに返球。逆クロスに返したものの、やや浮き気味になった球を若宮がストレートに強打。クロスに返すと読んだ阿部は逆を突かれたものの、バックで何とか合わせ返球。凄い守備力だ。しかし、さすがにやや球が浮いた。これをすかさず藤井が強打。小野、これを返せず。11-11、デュース。
 阿部のサーブを藤井が前に落とす。小野が身体を伸ばして返球。これを若宮が強打。だが、小野の返球に回転が掛かっていたのか、やや緩くなったところを、思い切り阿部が強打。これを藤井がラケットを合わせる。この時藤井は身体をそらせながらドライブを掛ける。これを小野が返せず。12-11、藤井・若宮ペア、再び、マッチポイント。
 藤井のサーブを小野が短く突っつく。若宮も突っつき返した球を阿部が救いあげるように若宮側のコーナーに流す。これを藤井が横っ跳びに返球。これを小野がバックで逆クロスに返すがやや甘くなる。これを待ち構えていたかのように若宮がフォアの強打。しかし、ネット。12-12。三度デュース。(解説者は、3球目の若宮が攻めずにつないで、阿部に攻められたと指摘)
 小野サーブ、藤井レシーブ。3球目、阿部がバックでブロックの構えからバックの強打。これを藤井返せずネット。13-12、阿部・小野ペア、ゲームポイント。
 若宮のサーブ。阿部の返球がやや浮いたところを藤井がバックの強打。これを小野が身体を伸ばして合わせる。小野がこれをネットに掛ける。14-12、2度マッチポイントを握られた阿部・小野ペアが踏ん張って、2-2のタイに持ち込んだ。

 第5ゲーム、試合の流れをつかんだ阿部・小野ペアが一気に5-1とリード。しかし、ここで藤井・若宮ペア、開き直り、思い切り良い攻めを連発し、2-5.
 しかし、次の3球目小野の返球がネットイン、6-2となり、やはり流れは阿部・小野ペアか。
 ここで、藤井がサーブを変える。これを小野がネット。続く藤井のサーブに対し、小野のレシーブが甘くなり、3球目を強打され6-4。
 開き直った藤井・若宮に対し、勝利を意識し始めた阿部・小野の動きが固くなり、失点を重ねる。一気に流れは藤井・若宮に傾き、10-7と藤井・若宮がマッチポイント。
 結局、11-9で藤井・若宮がこのゲームを取り、連破を果たした。
 いや、凄いせめぎ合いでした。終盤、端折りましたが、最終ゲーム10-7と追い込まれ、そこから若宮の強打をさらに強打で返した阿部のプレーはこの試合最高の技でした。

 試合終了直後、感極まって涙を流した若宮、インタビューで「何度も諦めかけた」と答える藤井の声が詰まっていました。いあや、ギリギリの精神状態だったんですね。
 凄い試合でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする