英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『将棋世界』12月号の杜撰な記事について 【その2】~解説に対する疑問点~

2015-12-08 22:15:07 | 将棋
新年号の訂正記事があんまりなおざなりなモノだったので、「その2」に続けます。

 筆者の氏名は明記されていないが、筆者は一生懸命書いたのかもしれない。
 ただ、推敲が足りない。それは、名前の間違い(これも重大ミスだが)だけでなく、将棋の解説についても疑問箇所が多かった。
 まあ、将棋の解説にいちいち難癖をつけていても仕方がないし、私の方が間違えている可能性もあるので、スルーすることが多いが、今回は、予想できたとは言え、訂正記事がおざなりだったので、難癖をつけることにした。

 例えば、第2図(将棋世界誌の記事中では第3図)。

 後手の遠山さん(“遠藤さん”ではない)が6三にいた玉を△7三玉と躱したところ。
 ここで先手の小野(花)さんは、▲5三桂成と後手玉との距離を詰めた。

 解説では
「ここで小野さんは▲5三桂成としたが、△9二飛と手順にと金を払って遠山さんが息を吹き返した。
 第3図(ここの記事では第2図)では、▲9三とと引くか、▲9四金と打って挟撃を目指せば先手ペースの終盤だった」
となっている。
 
 まず、▲5三桂成△9二飛と進んで、後手が逆転したように述べられているが、△7三玉自体が問題の手で、局面を悪くさせていたと考えられる。
 △7三玉のから1手戻した第1図を考えてみる。

 △7三玉は、先手からの▲6四金と打たれる手の衝撃を和らげると同時に、飛車の利き筋を通した手で、実戦的な手であるが、玉を6三のままで▲6四金の直撃を受けても、△7二玉で意外と致命傷になっていない。△7二玉に▲5三桂成が痛そうだが、次に▲6二成桂と飛車を取られても△同金で耐えている。
 なので、第1図では△4九角▲6九玉△3八とと攻め合えば、後手勝勢に近かったと思われる。

 また、△7三玉に対しては、確かに、▲9三とや▲9四金が有効で、先手が優勢だったというのは間違いないが、実戦の疑問手とされた▲5三桂成でも先手が優勢だったように思う。
 ▲5三桂成に△9二飛と手順にと金を払われても

 ▲9三歩が利く。△9三同飛なら▲8五桂が絶好となるので、△8二飛と躱すしかないが、ここで▲9四金と挟撃体勢を築けば、やはり先手良しではないだろうか。

 さらに、第4図。

解説は
「(ここで)▲9一角成が敗着で、△6六歩が厳しい叩きで勝負あり。(中略)▲9一角成では▲4八金△6七角成▲同金△5五飛▲9四角の展開なら難しかった」 
と、なっているが、慌てて角を切らなければ▲9四角がないので、▲4八金には△2七角成と躱しておけば、先手の戦力不足で後手玉は大丈夫。
 さらに問題なのは、解説通りに▲4八金△6七角成▲同金△5五飛▲9四角と進んだとしても、以下△7三玉▲6一角成(変化図)の時、

 先手玉には、①△5九銀▲同玉△4七桂や②△8八飛▲7八金△5九銀などの即詰みがある。(▲9四角△7三玉の時、▲8五桂△6三玉を利かせて▲6一角成としても、先手玉は詰む)

 時間がない中で、上記の詰みを読み切るのは大変だが、解説では正確さが必要。
 確かに、実戦的には▲9四角~▲6一角成の筋を見せれば、逆転の可能性もあるかもしれないので、▲4八金と指せば、“勝負のアヤがあった”とは言える。
コメント
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