英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

三浦九段不正疑惑、出場停止問題 「その2 連盟の対応に関する疑問」

2016-10-16 12:51:48 | 将棋
「その1」の続きです。(重複部分があります。ご了承ください)

★11日に聴取、12日に三浦九段の処分などを公表したところまでの考察
整理すると……
※10月5日 「スマホ持込み・外出禁止令」(12月14日より施行)を発表
※10月11日 カンニング疑惑のある三浦九段に聴取
疑惑の理由
①夏ごろから、三浦九段の対局中の離席が増えた
②三浦九段の指し手が将棋ソフトとの一致率が高い
③理事会は不正を疑うに足る材料を把握しているらしい、が、多くは語れないとのこと(13日の会見で示唆)

・三浦九段は疑惑を否定したが、理事会によると、納得のいく説明は得られなかったとのこと。
・「疑惑を掛けられたままでは将棋を指せない」と、三浦九段が休場の意思を示す

・連盟、三浦九段に“休場届”を12日午後3時までに出すよう求める

※10月12日 三浦九段の年内出場停止処分と竜王戦の挑戦者を丸山九段に変更することを公表
 処分理由は、「期限までに“休場届”を提出しなかった」こと

【谷川浩司会長のコメント】
「七番勝負直前の変更となり、関係者や将棋ファンの皆様にご迷惑をお掛けし申し訳ありません。対局者のお二人には名棋譜を作り上げることを期待しています」

【丸山忠久九段のコメント】
「日本将棋連盟の決定には個人的には賛成しかねますが、竜王戦は将棋の最高棋戦ですので全力を尽くします」


《考察》
「スマホ持込み・外出禁止」令について―――――
・騒動になった場合に、「対策を講じていた」というアリバイが欲しかったのではないか

疑惑の根拠について(「その1」で述べた内容)―――――
①について
・三浦九段は「別室で体を休めていた」と説明(自室で頭を冷やせば、指し手も正確になる。ソフトを使用しなかったが、盤駒などを利用して指し手を検証した可能性もあるが、足(証拠)が付きそう)
・夏ごろからの三浦九段の勝率は、ほぼ5割。(ソフトを使用していたとすると、勝率が低い)
・重要な対局(竜王戦、順位戦の対渡辺戦)には勝利している
②について
・将棋ソフトの棋力が高くなり、「最善手=ソフトの指し手」であることが増え、棋力が高い棋士ほど将棋ソフトとの一致率が高くなる傾向がある
・普段から、将棋ソフトを利用して研究していれば、ソフトとの一致率は高くなるとも考えられる(将棋ソフトを利用して研究することは、不正行為ではない)
③について
・多くを語って欲しい

法的な一般論について―――――
 ≪「スマホ、外出禁止」令の施行は12月14日からなので、それ以前の行為は処分に当たらない≫という考えも成り立つ。
 そもそも、以前から指摘されていたカンニング行為の危惧を放置し続けていた連盟の落ち度である。

 しかし、「公式対局を指す」ということは「不正行為を行わずに自身の力で将棋を指す」ということが前提であるはず。(「助言の禁止」を拡大解釈すれば、「カンニング行為」にも適応できるのではないだろうか)
 そもそも、将棋は、負けを認め、自ら負けを宣言(投了)する美しい世界である。それを汚すカンニング行為は重大な不正行為である。「カンニングの禁止」など明文化しなくとも、当然のルールである。
 論点がずれるが、『日刊現代』で古作氏が
「そもそも、プロを負かすレベルの将棋ソフトを使うには、高性能のパソコンが必要です。スマホ程度(の処理能力)では対応できません。スマホの将棋ソフトは、せいぜい一般人の遊びレベル。離席してのぞき見たところで、プラスになるとは思えません」
と述べているが、スマホの将棋ソフトについて認識不足であるし、高性能でなくとも、「詰みの確認」や「読み抜けの検証」は出来る。それに、その有効性に係わらず、カンニングするという行為が問題なのである。

処分について―――――
・処分の対象は「三浦九段が期限までに休場届けを提出しなかったこと」で、「不正行為を行ったこと」ではない。
・休場届の提出期限が短かったのは、15日に竜王7番勝負が始まるという差し迫った事情があった。
・タイトル戦挑戦者を差し替えるという重大決定するには、「三浦九段の処分」という事実が必要があった

処分の対象を「休場届の不提出」としたのは、裁判で「カンニングを有無の泥仕合」「名誉棄損云々」となった場合、面倒なので、取りあえず「休場届の不提出」で処分した……のだろうと思っていた。
 それにしても、「休場届の不提出」の処分として、「年内(2か月半)の出場停止」が妥当なのか、はなはだ疑問である。

その他―――――
・丸山九段の「連盟の決定には個人的には賛成しかねますが、全力を尽くす」は、「三浦九段の出場停止」についてなのか、「処分の下し方(処分の対象、時期)」なのか、それとも、その他のことなのだろうか?

【ここまでのまとめ】
 将棋連盟、将棋界としての最悪のシナリオは、(三浦九段の不正行為の真偽はともかく)、竜王戦での不正の発覚であろう。それを避けるための、11日の聴取だったと考えられる。
 しかし、表沙汰になってしまったダメージを考えて、その際、「離席が多いと不正が疑われるので、出来るだけ控えるようお願いします」と事を大きくしないよう務めるべきだった。
 強く問い詰めるだけの材料を理事側が持っていて、詰問し“三浦九段の逆ギレ”を誘ったのだろうか?
 そうだとしても、将棋界へのダメージは大き過ぎ。

 と、前回記事で述べたが、

実は、現在はもっと深読みをしている。(後述します)


★13日の会見で、「不正行為については今後は追及せず、これ以上の処分は科さない」と示唆

えっ?それはないだろう!
これだけ、将棋界にダメージを与えたというのに、このまま?
世間に、きちんと不正を糾す断固たる姿勢を示さなければならない。
不正の真偽は不明だが、疑惑を掛けられた三浦九段をグレーのままで放置するのか?
三浦九段にしても、このままの状態では、復帰後、まともに将棋を指せるとは思えない。
きちんと不正を糾す断固たる姿勢を示し、将棋に対する世間の不信感、将棋ファンのモヤモヤを一掃しなければならない。
将棋ファンを蔑ろにしているとしか思えない。

                   ………非常に拙い対応、全く未熟な将棋連盟
(『日刊現代』の情報では、「今後も継続調査」)


 そこで、ひとつの仮説が沸き上がった。
まず、疑惑の根拠のひとつ「三浦九段の対局中の不自然な離席を5人前後の棋士が指摘し、対応を求めていたこと」について

 論旨がずれるが、「5人前後」って何だよ!
 連盟は5以上になると、うまく数えられないのだろうか?それとも、確認できないほど影の薄い棋士が何人もいるのだろうか?
 それはさておき、この「5人前後の棋士」がそれぞれの対局で実感し、別々に訴えてきたのであれば、三浦九段の不正は「ほぼクロ」であろう。
 物的証拠はなくとも、一日ずっと対峙してきた対局者であれば、わずかな挙動の違いにも何かキャッチするのではないだろうか?
 しかし、ひとりが指摘し、それに同調した棋士が騒いだ「5人前後」であれば、不正の真偽は微妙と言える。出来れば、指摘した棋士の氏名を公表してほしい。不正を指摘される棋士の今後を考えるなら、それくらいの覚悟は持って指摘するべきである。

「不正行為について、今後は追及しない」の裏にあるモノ

 先にも述べたように、不正行為の真偽は非常に重要な事項である。それにもかかわらず、追及しないということは、理事会は「真偽を把握している」のではないだろうか?
 「濡れ衣だが、疑惑の中で指せない」→「休場届を出せ」の経緯は、記者会見で連盟が公表しただけで、事実ではない可能性もある。
 「竜王戦の開催が目前で早急に処分を決める必要があった」「“カンニング行為で処分”という事実は、世間に“将棋界でカンニング行為が行われた”ということを宣言するようなモノ」という事情の連盟理事会が、不正を行った三浦九段に、「休場届不提出で処分」を持ちかけたのでは……などという憶測が浮かび上がる。(あくまで、仮説です)

 上記の仮説はともかく、この記事で私が一番言いたいことを、再記述しておきます。
これだけ、将棋界にダメージを与えたというのに、このまま?
世間に、きちんと不正を糾す断固たる姿勢を示さなければならない。
不正の真偽は不明だが、疑惑を掛けられた三浦九段をグレーのままで放置するのか?
三浦九段にしても、このままの状態では、復帰後、まともに将棋を指せるとは思えない。
きちんと不正を糾す断固たる姿勢を示し、将棋に対する世間の不信感、将棋ファンのモヤモヤを一掃しなければならない。
将棋ファンを蔑ろにしているとしか思えない。
コメント (10)
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