英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season17 第15話「99%の女」

2019-02-15 22:31:09 | ドラマ・映画
再登場の倉田映子(鶴田真由)
 相棒 season15 第8話「100%の女」では、検事として登場したが、右京と関わったおかげで辞職することになった。
 なぜ、辞職することになったのかと言うと………
………証言者に、目撃地点の場所を実際とは少し異なる地点に歪めて証言させたことを、右京に指摘されたから。
 目撃地点を変えたのは、
①明るい場所の方が証言に信憑性がある
②実際の地点はカラオケ店のそばで、証言者がなぜその地点にいたのかと言う追及を受ける可能性があり、目撃者が女性教師で教え子とそのカラオケ店にいたという事実が明るみに出ることを避けたかった(実際は男女関係とかというものではなく、甘えたかった生徒に一方的に呼び出されただけ)
③そのカラオケ店の建物には、映子がカウンセリングを受けていた心療クリニックがあり、万が一ではあるが、診療を受けていたことが明るみに出てしまうということを恐れた
 ①の理由は頷けないが、②は酌量の余地あり。そして、③は≪そんなことを心配しなくても≫というレベルだ。
 裁判関係者が「映子がカウンセリングを受けていた」という事実にたどり着く可能性が低いし、そんなことが問題視されることもないように思える。しかし、映子はそれを恐れた。
「実際、証人がそれまでどこで何をしていたかなんて、弁護側が裏を取るかどうかも分からない。ましてや、カウンセリングルームから出てくる私が発見される確率も限りなくゼロに近い。でも、100%保証されない限り、安心できなかったんです」
 “100%の女”と言うと、完璧な女性(人間)のように思われるが、“100%でないと安心できない人間”“100%でないことを許容できない人間”だったのだ。
 その目撃地点の虚偽を右京が指摘。
「このことは我々しか知らないわけですし、事件にも影響はない。今回だけは、不問に付してやるわけには…」という冠城に対し、
「冠城くん、それは我々が決めることではありません。倉田検事ご自身がお決めになることです」と右京。
 “右京は彼女自身が決めること”と言ったが、指摘の仕方は批判めいていた。“100%でないと安心できない人間”の映子が許容できるはずはない。
 この件で、映子を買っていた日下部(榎木孝明)が特命係に激怒。

「冠城くん、ありがとう。自分で蒔いた種だから、自分で拾う」
 “100%でないと安心できない人間”ということだが、やはり本当は“100%”を目指す強い人間だなあと感じた
【ここまで復習、詳しくは 「100%の女」




 で、今回のタイトルの「99%の女」は当然「100%の女」を意識していると考えられるが、“100%の女”=“完璧な女”というイメージが独り歩きしているように感じた。(前回登場時の“100%でないと安心できない人間”という設定は消え去っていた)
 ICレコーダー(録音)と小型盗撮カメラの二段構えと特命係の援護をおぜん立てした(かなり不確実)とはいえ、殺人犯2人相手には無謀に近い。(白紙の書類証拠や挑発発言もあっぱれ)
 『相棒』というドラマの主役の特命係という点を考慮しても“80%”がいいところで、特命係の救援が間に合うかという実践的な可能性を考えると25%が妥当だろう。とにかく、前回の辞職で生き方が変わったかもしれないが、“100%でないと安心できない人間”はどこに行ってしまったのだろうか?
 
 ラストシーンで
「自分で自分が許せなかったんです。冤罪を生んでしまったと判った以上、自分で落とし前をつけなければならない。
 隠蔽しようなんて思ってもいなかった」


 ……彼女の信念や行為が素晴らしい。それに加え、所作も綺麗で、声も透明感があり、きりっとした強さを感じ、とても魅力のあるキャラクターだ

 彼女のこの言葉に、冠城が
「キミらしいな。さすが100パーセン…いや、“99%の女”ってとこかな」
という言葉で締めたが、どういう観点から“99%”と判定したのだろうか?単なる言葉遊びのようにしか思えない。
 上述しているような彼女の心配性な性格を知る前回の当事者の冠城だが、脚本家同様、忘れ去ってしまったのだろうか?


 去っていく倉田映子を見て冠城が
「しかし、これから、手強い相手になりそうですねぇ」
と言い、彼女の登場が暗示されていたが、今回の彼女だと、右京たちと同方向を見ているので、対決と言うより共闘的なものになるかもしれない。
 


★その他の感想
気の毒な3人
遠山千鶴(末広ゆい)
 3年前には機密漏洩事件で有罪判決を受け(冤罪)、今回は殺人容疑で逮捕された(今回も冤罪)
西崎課長(佐藤滋)
 千鶴の元上司で千鶴とは肉体関係を持っていたが、千鶴の冤罪を晴らそうと動き、殺害される。
 クラウン・イノベーションの悪党二人に告発を予告しに行ったは不用心すぎる。「殺してください」と言うようなものだ。
片桐祐也(永山たかし)
 3年前、クラウン・イノベーションの不正を告発しようとして、悪党二人に自殺に見せかけて殺害される。
 西崎同様、なぜ、告発を予告しに行ったのか?自社のことを思って穏便に進めたかったのかもしれないが…

技術に人格が伴わなかった悪党2人
三谷社長(桜井聖)、経理担当・田淵(明石鉄平)
 経理担当の田淵はともかく、三谷社長は高性能AIチップ、人工網膜などの開発し(PCの遠隔操作、合成音声による隠蔽工作技術にも長けていた)“IT業界の頭脳”らしい。
 しかし、せこい助成金の不正取得。さらに、それを隠蔽するため機密漏えいで千鶴を嵌め、内部告発しようとした片桐を殺害。さらに、今回、千鶴の冤罪を晴らそうとした西崎をも殺害。そして、真相に近づいた映子にも危害を加えようとした。
 技術は凄いが、躊躇なく悪事に走る短絡的思考の持ち主だった。

杜撰な捜査
 千鶴の機密漏えいと片桐の自殺については、千鶴のPCを押収したのなら、片桐が送ったメールの猫の額の二次元コードに気づきそうなものである
 ついでに言えば、助成金の審査もザル過ぎる。


明るく語り過ぎる片桐の妹
 兄から別れの電話が本当に兄の声だったのかという問いに対し
「間違いありません。兄の声でした」
 さらに、
「お兄さんは、仕事に行き詰ったと聞きましたが」
という問いに対して
「会社の人はそう言っていました。だけど、そんなことないと思います。
 “新しいプロジェクトが成功した”って喜んでたくらいでしたから」
と答えていたが、その声が明るすぎた。
 “兄の声”だったというのならもっと暗い声で言う気がするし、“仕事に行き詰った”という言葉に反論するのなら、もっと興奮するはずである。

 


第1話「ボディ」第2話「ボディ ~二重の罠」第3話「辞書の神様」第4話「バクハン」第5話「計算違いな男」第6話「ブラックパールの女」第7話「うさぎとかめ」第8話「微笑みの研究」第9話「刑事一人」元日スペシャル 第10話「ディーバ」
第11話「密着特命係24時」第12話「怖い家」第13話「10億分の1」第14話「そして妻が消えた」


【ストーリー】番組サイトより
右京と互角に渡り合う“100%の女”再び…
今度は弁護士として特命係と対峙する!


 経済産業省のキャリア官僚が殺害され、第一発見者の遠山千鶴(末広ゆい)が警察に身柄を拘束される。千鶴は被害者の元部下で男女の関係にあり、3年前の機密漏洩事件で有罪判決を受けた曰く付きの人物。
 そんな中、かつて目撃者に偽証を促したことを特命係に暴かれ、検事を辞職した倉田映子(鶴田真由)が千鶴の前に現れる。弁護士に転身した彼女は、自ら弁護を買って出るが、3年前の事件では検事として厳しく千鶴を追及した因縁が。
 いっぽう、捜査に乗り出した右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、今回の殺人と3年前の機密漏洩事件の繋がりを疑う。調べを進めると、被害者と千鶴は当時、経産省で助成金事業に携わっていたことが判明。さらに、機密漏洩事件の被害者であり、多額の助成金を受けていたIT企業で、過労自殺した社員がいたことも分かる。
 右京は、2つの出来事が起きた時期が重なることから、一連の事件に何らかの関係があるとにらむが…!?

冤罪を主張する容疑者を弁護するのは、特命係と深い因縁がある元検事の女性
機密漏洩、過労自殺、そして官僚殺害…
絡み合った事件の謎を特命係が解き明かす!


ゲスト:鶴田真由 末広ゆい

脚本:金井寛
監督:内片輝
コメント (2)
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