英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

“ふるさと納税”の歪み

2023-08-07 17:57:36 | 時事
【NHK 『政治マガジン』 より】
ふるさと納税の昨年度の寄付総額は9654億円。
前の年度の1.2倍に増え、1兆円に迫る勢いだ。返礼品の人気などを背景に、多額の寄付を集める自治体にとっては、もはや「なくてはならない財源」だ。
一方、ふるさと納税によって、税収が減るところもあり「悪夢のようだ」と言う自治体も。


 上記の内容については後述するとして、恥ずかしながら、《ふるさと納税の仕組み》について理解していない。「それなのに、記事を書くの?」という突っ込みは、甘んじて受けます(受けるだけですが…)
 一応、いろいろ調べてみた。(以下、長々と“ふるさと納税”について書いてありますが、この記事の本題は、ずっと下の【冒頭に挙げた記事】についてからなので、そこから読んでいただいて構いません)

総務省「よくわかる!ふるさと納税」
・そもそも何のためにつくられた制度なの?
 多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。
 その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。
・ふるさと納税って何?
 「納税」という言葉がついているふるさと納税。実際には、都道府県、市区町村への「寄附」です。
 一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。ですが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。


ふるさとチョイス 「ふるさと納税とは」
・ふるさと納税ってどういう制度なの?
 ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。
 手続きをすると、寄付金のうち2,000円を超える部分については所得税の還付、住民税の控除が受けられます。あなた自身で寄付金の使い道を指定でき、地域の名産品などのお礼の品もいただける魅力的な仕組みです。
(以下図解で、分かりやすく説明しています)

ふるさと納税 ニッポン! 「ふるさと納税のデメリット6つと“利用しないほうがいい人”の条件」
・メリット
①住民税や所得税が控除される
 ふるさと納税では、寄付した金額に応じて税金の控除を受けることができます。
 寄付金額から自己負担金2,000円を引いた金額が、翌年の所得税から還付され、また住民税で控除されます。
 還付・控除される金額の上限こそあるものの、翌年の税負担が少なくなることがふるさと納税のメリットの1つです。
②返礼品がもらえる
 ふるさと納税で寄付を受けた各自治体は、お肉やお米をはじめとした地域の特産品(地場産品)を「返礼品」として用意しています。返礼品は寄付金額の3割以内に相当するものと決まっていますが、多くの場合は自己負担金(2,000円)以上のものが選べます。これこそが「ふるさと納税は魅力的」と言われる理由です。
③使用目的を選ぶことで地域を応援できる
 ふるさと納税では、寄付する自治体だけでなく寄付金の使い道を選ぶこともできます。
 自治体によって、教育や子育て、まちづくり、産業振興、災害支援などさまざまな使い道が用意されています。自分が育ったふるさとや愛着のある地域を、寄付によって応援することもできます。


・ふるさと納税のデメリット6つ(詳しくは、リンク先のページをご覧ください)
①節税の効果はない
②控除限度額を超えると自己負担になる
③確定申告が必要になる場合がある
④金額にかかわらず自己負担2,000円は必ずかかる
⑤寄付した年は持ち出しになる
⑥名義が違うと所得税も住民税も控除されない

ウィキペディア ふるさと納税
・ふるさと納税(ふるさとのうぜい)とは
日本で2008年(平成20年)5月から開始された、都市集中型社会における地方と大都市の格差是正・人口減少地域における税収減少対応と地方創生を主目的とした寄附金税制の一つ。法律で定められた範囲で地方自治体への寄付金額が所得税や住民税から控除される
・趣旨・概要
 地方出身者は、医療や教育等の様々な住民サービスを地方で受けて育つが、進学や就職を機に生活の場を都会に移し、現住地で納税を行うことで、地方で育った者からの税収を都会の自治体だけが得ることになる。そこで寄付先を納税者自らが選択できるようにし、各自治体が国民に返礼品となる地場産品・取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、地方自治体間の競争が進むことで選ばれるにふさわしい地域のあり方を考えるきっかけとなるよう、総務省が設けた制度である。
 ”納税”という名称ではあるが、翌年に納める所得税及び住民税の一部(又は住民税のみ一部)[8]を原資に任意の地方自治体への寄付を行うと、自己負担2,000円で寄付に対する地場産品の返礼品受領、寄付の使い道を指定したクラウドファンディングができる。寄附額を確定申告することにより寄附分の一部が控除される本制度をもって、希望自治体へ住民税の一部を”納税”するというものである。「ふるさと寄附金」とも呼称される

・税金の控除
 ふるさと納税は個人住民税の寄附金税制が拡充されたものである。税金の控除額は、基本的に次の3つの控除の合計額となっている。なお、2009年12月迄は5,000円が自己負担額であった。
所得税からの控除 = (ふるさと納税の寄附額 - 2,000円)×所得税の税率
住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税の寄附額 - 2,000円)×10%
住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税の寄附額 - 2,000円)×(100% - 10% - 所得税の税率) ≦ 住民税所得割額×20%

 (その他、問題点や過去の不祥事や違反行為など詳細に記されている)

 私(わたし)的には、《自己負担2,000円はどこに行くの?》《“寄付額の3割の返礼品がもらえる”というが、その返礼品は、市町村が負担するの?採算が取れるの?》←かなり的外れな疑問かもしれません。 詳しそうな友人がいるので、一度、レクチャーを受けてみようと思っています。
 その友人から、よく分かる記事を教えていただきました。分かりやすい良い記事でした。
 返礼品に関しては、地域の活性化効果も大きいとは思っている。
 しかし、それ以上に問題点の方が大きい。これまでも、いろいろな問題点が浮上してきたが、今回取り上げるのは、もはや“弊害”と言って良いのではないだろうか?


 【冒頭に挙げた記事】について
 その記事(NHK のニュースでも取り上げられていた)によると、「昨年度の寄付総額は過去最高の9654億円」で、
《寄付を集めた額 上位自治体(令和4年度)》
1位 宮崎 都城市  195億9300万円
2位 北海道 紋別市 194億3300万円
3位 北海道 根室市 176億1300万円
4位 北海道 白糠町 148億3400万円
5位 大阪 泉佐野市 137億7200万円
6位 佐賀 上峰町  108億7400万円
7位 京都市      95億 800万円
8位 福岡 飯塚市   90億8600万円
9位 山梨 富士吉田市 88億 600万円
10位 福井 敦賀市   87億4900万円

 寄付(ふるさと納税)でウハウハな自治体があれば、当然、そのとばっちりを受ける自治体もある。
《税収減見通し 上位自治体(令和4年度)》
1位 横浜市     272億4200万円
2位 名古屋市    159億2600万円
3位 大阪市     148億5300万円
4位 川崎市     124億1500万円
5位 東京 世田谷区  98億2300万円
6位 さいたま市    89億6900万円
7位 福岡市      85億 400万円
8位 神戸市      84億5700万円
9位 札幌市      79億 5100万円
10位 京都市      73億8700万円

 横浜市の272億余の税収減……《大丈夫なのか?》というレベルではない。
 名古屋市は、14番目の寄付金(63億2300万円)を集めたにも拘らず、159億余の税収減。京都市も、7番目の寄付高で、73億余の税収減。
 世田谷区は「学校の建て替えもままならない」と嘆いている。

《地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ったけれども、生活の場を移した都会で納税する。その結果、都会の自治体は税収をえるが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収がはいらない》
    
《生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度》


 ……ともっともらしく、聞こえの良いことを謳っているが、地域格差のある税収(地方は財政が苦しい)という状況の改善を
《(“地域産業振興”を隠れ蓑にして)、自治体に税収の奪い合いをさせている》だけ

 この点(ふるさと納税による都市部の税収減)について、政府は「“ふるさと納税”は、税収の地域格差の是正をめざしたものなので、ある程度は仕方がない」(←要約)と、本音を述べていた(総務大臣だったかな?)

 そもそも、現在住んでいる街で、行政サービスを受けているのだから、その自治体に税金を払うのは当然だと思う。
コメント
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