……驚いた
いや、「驚いた」と書いたら、渡辺九段に失礼なのだが……全力で勝ちにいった第1局、思惑通りに展開して、あと一歩というところで、エネルギーが尽きて逆転負け。
渡辺九段と豊島九段がダブって、この王位戦はこのまま勝てずに、良くて1勝を上げられるかどうか……と思ってしまった。
王位戦第1局終了までの二人の対戦は、渡辺九段の4勝21敗、勝率.160。2022年1月以降は2勝13敗、勝率.133。タイトル戦では棋聖戦1勝3敗(2020年6月~7月)、棋聖戦0勝3敗(2021年6月~7月)、王将戦0勝4敗(2022年1月~2月)、棋王戦1勝3敗(2023年2月~3月)、名人戦1勝4敗(2023年4月~5月)。タイトル戦としては5連敗、個々の成績を通算すると3勝17敗(.150)……渡辺九段にしてみると“散々”な成績だ。
名前を挙げた豊島九段も、通算の対戦成績は12勝26敗、勝率.316。ただし、豊島九段が最初6連勝しており、それ以降は6勝26敗、勝率.231。さらに、2021年8月24日以降だと3勝20敗、勝率.130.もっと期間を絞って2022年7月13日以降は1勝13敗(期間中12連敗)、勝率.071。
豊島九段も、先の王位戦第1局の渡辺九段のように、ほぼ勝利を手中に入れたところから、勝利をするりと落としてしまったことが多々あり、渡辺-藤井戦と豊島-藤井戦がシンクロして見えてしまうのである。(詳しい対戦成績を挙げないが、菅井九段も、対局を重ねるほど、絶望感を味わっているような気がする)
渡辺九段と言えば、名人戦で敗れ無冠になった時、キャスターに「次はどういう戦い方を?」というような質問を受けて、藤井七冠(当時)に“叩きのめされた感”を味わった上、次に藤井七冠とタイトルを争うには、挑戦者トーナメントや挑戦者リーグ戦を勝ち抜かなければならないイバラの道を進むことの困難さを想像して、「考えられる状態ではない」というような、ツッケンドンな回答拒否に近い態度を取ったことを思い出す。
《そうだよなあ》……渡辺九段の気持ちはよく分かる。(五輪などで敗れた選手に、「次に向けての決意や考えなどを」とお気楽に質問するキャスターがいる)
そんなボロボロの気持ちになっているのかなあ……この王位戦も4局で終了、あるいは1勝できるかどうか……などと思ってしまった。
そんな私の予想を吹き飛ばす快勝だった。
中盤辺りまでは互角。そこで、藤井王位が疑問手を指し、勝利確率が藤井王位の35~38%ぐらいに低下したが、いずれ、互角になって、最後は藤井勝利か……と思っていたら、さらに、差が開き、それでも、まだひと山もふた山も……
しかし、渡辺九段は、まったく歩を緩めることはなく、というより加速して、一気に勝利を掴んでしまった。藤井七冠がこうも為すすべもなく敗れてしまう……こんな敗れ方を観た記憶はない。
将棋の経過も少し異色だった。何しろ、第1局(指し直し局)と同じ指し手を辿る。昭和の中原時代は矢倉全盛で、対局者が先手後手を逆に持って、同一手順を辿る将棋はよくあったが、先手後手の対局者と局面が2局連続で同じというのは、“指し直し”という特異ケースを踏んだことによって生じたのである。昭和時代は指し直し局の次局の手番の規定が現在とは違っているので、この王位戦のケースは不可能なのかもしれない。
第3局は渡辺九段の後手番。どんな戦型戦術で、不利な後手番を凌ぐのか興味深い。さらに、先手番になる第4局に、あの▲6六角型を三度目になる採用をするのかも、興味深い。
いや、「驚いた」と書いたら、渡辺九段に失礼なのだが……全力で勝ちにいった第1局、思惑通りに展開して、あと一歩というところで、エネルギーが尽きて逆転負け。
渡辺九段と豊島九段がダブって、この王位戦はこのまま勝てずに、良くて1勝を上げられるかどうか……と思ってしまった。
王位戦第1局終了までの二人の対戦は、渡辺九段の4勝21敗、勝率.160。2022年1月以降は2勝13敗、勝率.133。タイトル戦では棋聖戦1勝3敗(2020年6月~7月)、棋聖戦0勝3敗(2021年6月~7月)、王将戦0勝4敗(2022年1月~2月)、棋王戦1勝3敗(2023年2月~3月)、名人戦1勝4敗(2023年4月~5月)。タイトル戦としては5連敗、個々の成績を通算すると3勝17敗(.150)……渡辺九段にしてみると“散々”な成績だ。
名前を挙げた豊島九段も、通算の対戦成績は12勝26敗、勝率.316。ただし、豊島九段が最初6連勝しており、それ以降は6勝26敗、勝率.231。さらに、2021年8月24日以降だと3勝20敗、勝率.130.もっと期間を絞って2022年7月13日以降は1勝13敗(期間中12連敗)、勝率.071。
豊島九段も、先の王位戦第1局の渡辺九段のように、ほぼ勝利を手中に入れたところから、勝利をするりと落としてしまったことが多々あり、渡辺-藤井戦と豊島-藤井戦がシンクロして見えてしまうのである。(詳しい対戦成績を挙げないが、菅井九段も、対局を重ねるほど、絶望感を味わっているような気がする)
渡辺九段と言えば、名人戦で敗れ無冠になった時、キャスターに「次はどういう戦い方を?」というような質問を受けて、藤井七冠(当時)に“叩きのめされた感”を味わった上、次に藤井七冠とタイトルを争うには、挑戦者トーナメントや挑戦者リーグ戦を勝ち抜かなければならないイバラの道を進むことの困難さを想像して、「考えられる状態ではない」というような、ツッケンドンな回答拒否に近い態度を取ったことを思い出す。
《そうだよなあ》……渡辺九段の気持ちはよく分かる。(五輪などで敗れた選手に、「次に向けての決意や考えなどを」とお気楽に質問するキャスターがいる)
そんなボロボロの気持ちになっているのかなあ……この王位戦も4局で終了、あるいは1勝できるかどうか……などと思ってしまった。
そんな私の予想を吹き飛ばす快勝だった。
中盤辺りまでは互角。そこで、藤井王位が疑問手を指し、勝利確率が藤井王位の35~38%ぐらいに低下したが、いずれ、互角になって、最後は藤井勝利か……と思っていたら、さらに、差が開き、それでも、まだひと山もふた山も……
しかし、渡辺九段は、まったく歩を緩めることはなく、というより加速して、一気に勝利を掴んでしまった。藤井七冠がこうも為すすべもなく敗れてしまう……こんな敗れ方を観た記憶はない。
将棋の経過も少し異色だった。何しろ、第1局(指し直し局)と同じ指し手を辿る。昭和の中原時代は矢倉全盛で、対局者が先手後手を逆に持って、同一手順を辿る将棋はよくあったが、先手後手の対局者と局面が2局連続で同じというのは、“指し直し”という特異ケースを踏んだことによって生じたのである。昭和時代は指し直し局の次局の手番の規定が現在とは違っているので、この王位戦のケースは不可能なのかもしれない。
第3局は渡辺九段の後手番。どんな戦型戦術で、不利な後手番を凌ぐのか興味深い。さらに、先手番になる第4局に、あの▲6六角型を三度目になる採用をするのかも、興味深い。
>意外と終盤にもつれているイメージだらけです。
そのイメージは、正しいとも言えます。
はっきりと検証できませんが、藤井七冠が詰めそこなってがっくりうなだれて負けた対局や、渡辺九段が追いつめて追いつめたけれども、詰めそこなって敗れるなど、終盤ぎりぎりの将棋も多い気もします。
ただ、最終的に負けることが多く、タイトル戦5回全部敗れる(20局中3局しか買っていない)という事実は大きいです。
注目度が高い藤井君ですから、タイトル決着局で5回背中越しにフラッシュを焚かれる(シャッターを押される)。20回中17回、背中越しに撮影される……これは堪える。
そんなことを、思ったわけです。
それはともかく、今回の王位戦、渡辺九段の準備と指し手はすごいです。
今年度、5勝5敗(王位戦第2局の勝敗も含む)。なんだか、王位戦だけに勝ち星が集まっただけで、決して充実しているわけではないと思っていました。
でも、もしかしたら、王位戦だけに集中していた。さらに、王位戦だけに集中するため、他の棋戦は負け……
もしそうなら、他の棋戦に掛ける研究や実際の対局の時間やエネルギーを、王位戦用だけに研究できますし…
「対局は見ていないのでコメントは
差し控えさせていただきます。」
(・・・・と言う、矛盾に満ちたコメントを
放ちましょう♪)
と言うわけでして、将棋の内容のコメントは
出来ないのですが、
わたしが対局を見ていない渡辺先生の勝率は
そんなに悪いものではなく、
意外と終盤にもつれているイメージ
だらけです。
・・・・が、それでも、英さんの記事みたいな
イメージが、すでについてしまっているだけに、
今回の勝利は驚きでいっぱいです。