英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

防衛費、1兆円不足――5年後にGDPの2%に達する予算を措置するため……訳の解らない理屈

2022-12-08 21:25:27 | 時事
「わが国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中、抑止力と対処力の強化は最優先の使命。
 防衛費については5年以内に緊急的に強化を進める必要がある。
 令和9年度以降、防衛力を安定的に維持するためには、毎年度約4兆円の追加財源の確保が必要。
 約4分の1の1兆円強は国民の税制で協力をお願いしなければならない。
 ただし、現下の家計を取り巻く状況に配慮し、個人の所得税の負担を増加する措置は行わない」
と述べ、与党に対して年末までに税目・施行時期を含めて増税を検討するよう求めた。

(来年度から5年間の財源についても同様な考え方で確保するものの、来年度は増税を行わず2027年度に向けて、段階的な増税を検討する考えを示した)
(関連記事「“反撃能力”と言葉を言い換えて……防衛費増額、増税へ」

【なぜ、増税が必要なのかの説明】
防衛費と関連する経費が5年後(2027年度)に、GDP2%に達するには、今年度のGDPの見通しをもとに計算すると、11兆円規模になる。
その財源について政府が検討した結果、追加として約4兆円の確保が必要。
「他の政策や事業で歳出削減した分を充てる」「年度内に使われなかった剰余金の活用」「防衛力強化資金資金(国有資産売却などの税金以外の収入を活用するもの)」などで捻出しても、約1兆円不足する試算。

 国際情勢を考えると、防衛力強化という考えは理解はできる。
 しかし、解らないというか、理解不能というか……なぜ、GDPの2%が基準なのか?……全く訳が分からない!
 5年後と期限を区切るのも、理解困難。


 「5年後に防衛費がGDP2%」をクリアしたら、《北朝鮮がミサイルを発射しない》とか《ロシアが核兵器を放棄する》という約束をしたのか? それとも、それを達成しないと同盟を破棄するという条件でも出したのだろうか?
 自然環境のように、「二酸化炭素排出量を○○以下に抑えないと、気温が△℃上昇する」というような科学的計算が出ているのだろうか?


 もっと具体的に、ミサイル、空母、戦艦、巡洋艦、戦闘機、人員増強による人件費などの必要数を算出して4兆円必要になるというのなら、理屈的には理解できる(軍備増強を認めているわけではない)。
 全く訳が分からない。全く訳が分からない。全く訳が分からない
……

 その上、「個人の所得税の負担を増加する措置は行わない」「来年度は増税を行わない」とか、ごまかしめいたことを言ってごまかしている。(変な日本語ですね)
 所得税は上げないと言っても、他の名目…例えば「自動車重量税」など名目で広く税を徴収したり、他の税金の税率を上げたりするだろうし、来年度は増税しないと言っても2年度後には増税するのだから、“誤魔化し”と言ってよいだろう。


 それにしても、性急な総理の要請だ。
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鎌倉殿の13人 第46話「将軍になった女」

2022-12-08 17:09:18 | ドラマ・映画
阿野時元の乱
 実衣は時元を鎌倉殿にしようと画策。将軍になるには宣旨が必要と三善康信から聞き出し、義村に相談。
 「普通は無理だが、今なら何とかなるかも。手配をしよう」などと実衣をその気にさせたが、義時と内通していた…(またしても、この男は……)
 義村「いいんだな、命まで奪っても」と確認。
 義時「災いの火種の素は(←“重複表現”?)、いずれ必ず燃え上がる」と正当化。
 
 《算段は立った。宣旨を賜り次第、挙兵しなさい》という文を受け取った時元、
「よしっ! うおぉぉ~」と気勢を上げたが……《義時の差し向けた兵に囲まれ、自害》とあっけなく終息。……“ナレ死”(映像なしのナレーションのみで死を語られるという軽い扱い)

………《何故、挙兵?》
 時元は源氏の嫡流なので、鎌倉殿の地位に就くという主張はできるはず。
 宣旨を賜れば、それを掲げて、宣言すればいいように思うのだが……挙兵する必要があったのだろうか?
 挙兵しても勝てないであろう。宣旨を賜れば、反義時派の支持は受けることができるかもしれない(←素人考えです)。
 兵を集めるタイミングが早すぎた。兵を集めなければ、“謀反”とされなかったように思う(謀反を起こす対象の“鎌倉殿”が空位)
 せめて、姉への対抗心を捨てて政子に相談すればよかったのに……

実衣への詮議
 政子の助言(死んでも良いという実衣に必死の説得)により、謀反への関与を認めない実衣。
・三善は宣旨のことを尋ねられた件はよく覚えていないと庇う
・時元に宛てた文の筆跡について、泰時は「わからない」と庇う
……しかし、大江広元は、実朝の遺品で筆跡を調べろと指示。追及を緩めない。……実衣は観念し、関与を認めた(宣旨願い書も発見された)

 泰時は減刑を願うが、身内だからこそ厳しく応じるべきと泰時は「首を刎ねろ」と。
 政子の減刑の訴えに、広元は「耳と鼻を削ぎ、流罪」と冷徹な言葉。
 「耳たぶだけにしましょう」と時房らしい言葉。

 ……処刑は免れそうにない流れ。
 拘置部屋(かって、義高や全成が拘束された部屋)に政子が訪れ、手を打っているところと言い、「大丈夫よ」と慰める
 実衣も「時元に会って、詫びたい」と言うが、「死にたくない」と本音を漏らす。
 ……抱き合う姉妹。


鎌倉(義時)と京(後鳥羽上皇)の駆け引き、根競べ
鎌倉「親王の下向はまだでしょうか?お待ちしています」と催促
京「親王を下向させるが、今ではない。二人の親王のうち、どちらを選ぶか吟味する」と後戻りする返答
 互いに、向こうから断らせたい

京から弔問の使者
「ついでか」と激怒する義時。
書状には「義時が所有する地頭領を返上せよ」(←後鳥羽上皇の嫌がらせ)
《返上すれば、親王を下向させても良い》と、あくまで上から目線。
義時「断固、突っぱねる。さすれば、上皇は怒って断ってくる」
時房「いえ、上皇様は次の手を打ってくるでしょう」
広元「いつまでも鎌倉殿不在にするわけにはまいりませぬ」
時房「意地の張り合いはここまでにしましょう」
義時「………(BGMで盛り上げ、相当な間をおいて)………それはならぬ!」
と足早にその場を去る。

 時房の「意地の張り合いはここまでにする」と言った時は、《蹴鞠で決着を》と続くかと思ったが……(後に呟いていたが)。
 その言葉を聞いた時、《堪忍袋の緒が切れて、武力で京を押さえつける》という意味かと思ったが、《妥協して譲りましょう》という意図だった。

 ……で、尼御台に決意を報告。
 下手(したて)に出れば、この先、京には頭が上がらない。かと言って、このまま鎌倉殿不在ではいられないので、
 時房が1000の兵を引き連れ京に行き、返答を迫る。
 上皇が詫びれば、こちらは《摂関家縁の者を受け入れる》と提案。
 上皇との縁が近くなければ、そこまで低調に扱わなくてもよく、上皇の影響力も小さい。こちらの意のままになる“鎌倉殿”となる。
 「それは御家人の総意か?」と尋ねる政子に
 「私の考えは鎌倉の考えだ」と言い切る。

 兵を連れて京に行くことになった時房に、泰時が
「誇りは捨て、親王を断るなら頭を下げるべきだ」「兵を引き連れるのは、間違うと一大事(戦)になる」
「鎌倉の明日は叔父上に掛かっている」と説得。
(時系列的には、後述の“いちゃいちゃ”が先。“いちゃいちゃ”あっての説得かとも)

結局、蹴鞠対決
 1000の兵が控えていると聞いたが、上皇はそれほど動揺しない……が、
「トキュ~サ♪」と切り出す。となれば、もうアレしかない。
 ……相譲らぬ試合となったが、最後は上皇がへばって、返球が逸れてしま。しかし、これを藤原兼子がキャッチ。「引分けね」
 《勝っていたのに》と主張しようとする時房に、《上皇を立てた方が身のためよ》と囁き、勝ちを譲る。
 面目が保たれた上皇は、摂関家から下向させると約束。
………結果的には、鎌倉の意が通った。



………鎌倉に下向したのは藤原頼経(幼名は“三寅”)……上皇とは遠い遠い親戚。
 まだ2歳ということで、補佐役を執権の義時が行うものと思われたが…
 

「まじめ…」
 正論を言って義時に煙たがれ、(一時的に)政所を追い出された泰時。
 忘れ物を届けに来た初(はつ)に
「まじめ…」と茶化される。
「まじめは苦手か…」しょげる泰時に
「いいんじゃないですか、あなたらしくて」と初。
「初めて褒められた」と喜ぶ泰時だが、
「褒めてない。あきらめの境地」と初。
再び落ち込む泰時に、
「まじめに受け取るな…」つんつんと突っつき微笑む。……いちゃいちゃ

施餓鬼
 施餓鬼を振舞う政子に、民は政子を励ます。
「嫁に5回逃げられ、家は7回焼け、馬に8回蹴られた。それでも大丈夫だぁ」
 息子たちを失った政子を思っての言葉だ。
 さらに…
伊豆の小さな豪族の行き遅れが、こんなに立派になられて」と若い女子に。
(あなたに言われなくてもと言いたくなるところだが)にっこり感謝の気持ちで応対。
 でも、繰り返し“行き遅れ”と言われるのは、流石に…(笑)


生きていた二階堂行政
 久々の登場。実朝将軍期になると政所下文の署名から姿を消すなど、歴史書に名前が出ることが亡くなっていたとのことなので、安否を心配していたが、健勝なご様子。
「権勢を振るう北条にもっと食い込め(“のえ”の実子を義時の後継ぎにしろ)」とはっぱを掛ける。そして……
「あの方に相談しろ」と……あの方(義村)に相談するのは、まずいかも……


政所始め……“尼将軍”の誕生!
 義時を前にして、すまし顔で自分を指さす。
「わ・た・し(鎌倉殿代行を私がやります)」と。

「私が鎌倉殿の代わりとなりましょう。
 鎌倉殿と同じ力を認めていただきます。呼び方はそうですね…尼将軍にいたしましょう」


 政子にはやりたいことがあった…それは………
「放免になりましたよ」と実衣に告げる。妹を助けたかったのだ。
 その思いと同時に、施餓鬼で感じた《民を大事にしたい》という思い、さらに、《暴走する義時を止めたい》という思いもあるのだろう。


「とうとう、ふたりきり。支え合ってまいりましょう。昔みたいに……
 ……ウンタラクーソワカー。唱えて」
「ちがう。ボンタラクウソアカ」
「ボンタラクウソアカァ~」……ふたりで合唱………

 それにしても、《私が“尼将軍”をやるぅ!》で執権・義時を凌ぐ権力を得ることができるものなのか?
 義時の考えが鎌倉の考えではなかったのか?
 まあ、義時よりは政子に従いたいとはみんな思うだろうけれど



第1話「大いなる小競り合い」  第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」     第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」      第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」    第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」       第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」     第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」     第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」     第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」      第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」     第20話「帰ってきた義経」
第21話「仏の眼差し」      第22話「義時の生きる道」
第23話「狩りと獲物」      第24話「変わらぬ人」
第25話「天が望んだ男」     第26話「悲しむ前に」
第27話「鎌倉殿と十三人」    第28話「名刀の主」
第29話「ままならぬ玉」     第30話「全成の確率」
第31話「諦めの悪い男」     第32話「災いの種」
第33話「修善寺」        第34話「理想の結婚」
第35話「苦い盃」        第36話「武士の鑑」
第37話「オンベレブンビンバ」  第38話「時を継ぐ者」
第39話「穏やかな一日」     第40話「罠と罠」
第41話「義盛、お前に罪はない」 第42話「夢のゆくえ」
第43話「資格と死角」      第44話「審判の日」
第45話「八幡宮の階段」

【ストーリー】番組サイトより
 新たな鎌倉殿を迎えようと朝廷に伺いを立てる北条義時(小栗旬)、大江広元(栗原英雄)たち。実衣(宮澤エマ)が野心を燃やし、三浦義村(山本耕史)が暗躍する中、京では鎌倉への不信感をさらに高めた後鳥羽上皇(尾上松也)が、藤原兼子(シルビア・グラブ)、慈円(山寺宏一)と共に今後を見据え、鎌倉への圧力を強めていく。
 一方北条家では、思い悩む泰時(坂口健太郎)をよそに、のえ(菊地凛子)が愛息・政村(新原泰佑)を……

脚本:三谷幸喜
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“反撃能力”と言葉を言い換えて……防衛費増額、増税へ

2022-12-06 17:10:04 | 時事
『岸田首相 防衛費 5年間で“総額約43兆円確保”で調整へ』
………確かに、ロシア、中国、北朝鮮の不穏な動きなど武力行使、核使用、戦争勃発など危機が増大している現状を考えると、ある程度はやむを得ないのかもしれないが、従来の1.5倍という増大幅や、その方針決定に至るプロセスには納得いかないものがある。

 そもそも、軍事的な意味での「反撃能力」という言葉は、最近湧き出たきたように思う。
 従来は「敵基地攻撃能力」と表現し、《政府の方針としてはこれ(敵基地攻撃能力)は保持しない》とされてきたようだが、これを「反撃能力」と言い換えて、政府の方針も転換したようだ。
 敵の攻撃基地を破壊できるという能力自体は変わらないのだが、「反撃」という表現を使うことによって、《攻撃されなければ、自らは攻撃しない》という意思を示している。「自衛隊」と同様な意味合いであろう。
 ただし、《敵攻撃基地を攻撃する能力を保有するかしないか》という観点では、大きな違いがあり、これまでの政府の方針を転換することの意味は重大である。「あなたがこちらに危害を加えなければ、攻撃しませんよ」と言っても、ガンベルトに拳銃を装備しているのと、そうでないのとでは、天と地の違いがある。
 文化も風土も歴史も言語も宗教も違う他国からすれば、日本への警戒心は増大する。……それが抑止力となるという考えは否定できないが。

 とにかく、重大な方針転換を、「反撃能力」という表現と国際情勢の緊迫情況を利用して(←多少語弊があるかもしれない)、簡単に行ってしまった
 ただし、政府もいきなり方針転換したのではなく、有識者会議を開き、その見識・意見を拠り所として、今回の方針転換を決めてはいる。

 で、その“有識者会議”であるが……正式名称は「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」……名称からして、防衛力増強を前提としているような気がする。
 全4回行われた。参加者は(すべてに全員が参加したわけではない)
中西寛京 京都大学大学院法学研究科教授
翁百合 日本総合研究所 理事長
上山隆 大総合科学技術・イノベーション会議議員
喜多恒雄 日本経済新聞社 顧問
國部毅 三井住友フィナンシャルグループ 取締役会長
黒江哲郎 元防衛事務次官 三井住友海上火災保険 顧問
佐々江賢一郎 元駐米大使 日本国際問題研究所 理事長
橋本和仁 科学技術振興機構 理事長
船橋洋一 国際文化会館グローバル・カウンシルチェアマン
山口寿一 読売新聞グループ本社 代表取締役社長

岸田首相 松野内閣官房長官 林 外相 鈴木 財務相 浜田 防衛相
高市 経済安全保障担当大臣 兼 内閣府特命担当大臣 寺田 総務大臣
永岡 文部科学大臣 西村 経済産業大臣 斉藤 国土交通大臣

折木良一元統合幕僚長、佐藤雄二元海上保安庁長官


 参加者の経歴などを吟味して述べなければならないが、経済通、軍事通で発言力がありそう、また防衛力(軍備力)アップに協力できそうな面々のような気がする。
 とにかく、防衛力アップが前提で、資金・施設面でどのくらい対応できるかが、会議の目的のように思われる。

 「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」のサイトには、この会議の目的・名目として
「 我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を乗り切るためには、我が国が持てる力、すなわち経済力を含めた国力を総合し、あらゆる政策手段を組み合わせて対応していくことが重要であり、こうした観点から、自衛隊の装備及び活動を中心とする防衛力の抜本的強化のみならず、自衛隊と民間との共同事業、研究開発、国際的な人道活動等、実質的に我が国の防衛力に資する政府の取組を整理し、これらも含めた総合的な防衛体制の強化について、検討する必要があります。
 また、こうした取組を技術力や産業基盤の強化につなげるとともに、有事であっても我が国の信用や国民生活が損なわれないよう、経済的ファンダメンタルズを涵養していくことが不可欠であり、こうした観点から、総合的な防衛体制の強化と経済財政の在り方について、検討する必要があります。
このため、高い識見を有する人々の参集を求めて、「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を開催します。」

 この文章からも、防衛力(軍事力)強化が大前提であることが分かる。それにしても……「経済的ファンダメンタルズを涵養していくことが不可欠」……“ファンダメンタルズ”とか“涵養”って何?
ファンダメンタルズ……国や企業などの経済状態などを表す指標のことで、「経済の基礎的条件」と訳される。 国や地域の場合、経済成長率、物価上昇率、財政収支などがこれに当たり、企業の場合は、売上高や利益といった業績や資産、負債などの財務状況が挙げらる。
“涵養”……水が自然に染み込むように、無理をしないでゆっくりと養い育てること

 「高い見識を有する人々を参集」とある……そうなのだろうと思うが、先にも述べたように、偏りがあるように感じる。

 とにかく、その会議でまとめられた見解・意見を拠り所にして、そして、「敵基地攻撃能力」→「反撃能力」に表現を変えて、政府の方針転換を決めてしまった。(そう言えば、「集団的自衛権」とかいう言葉もそんな感じだ。
 《イラクへの自衛隊派遣》や今回の《防衛力強化》そのものの是非はともかく、そのやり方(法の拡大解釈や表現の言いかえや有識者会議の利用)が、自民党らしいやり方である。(《消費税は社会福祉の安定財源》という理屈で、景気回復の手段として消費税率を下げる意見はシャットアウトも同様である)
 それと、今回の報道で「“敵基地攻撃能力は保有しない”という政府の方針を変更」という表現が、その半日後の報道からは「これまでの政府の方針を変更して、“反撃能力を保有する”とした」云々の表現(敵基地攻撃能力という言葉を使わない)に変わっていた……私の思い違いかもしれないが…

 さて、今回の与党(自民・公明)の敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を認めることで合意した件の流れや合意の内容については、東京新聞Web時事ドットコムで記されており、そちらを参照していただきたい。
 この反撃能力には大きな問題点がある。どのタイミングを持って《攻撃された》と判断するのだろうか?ミサイルが発射されてからでは遅いし、発射前だと先制攻撃なってしまう。昨今の“Jアラート”の即時性の低さ、情報の不確かさを考えると、到底、正確な攻撃の把握ができるとは思えない。攻撃力を持つ前に、まず、ミサイルの発射準備情報の察知能力を上げることが先決であろう。
 政府が真面目に《的確な反撃能力の行使》を考えているとは思えない。とにかく、軍事力をアップして各国への牽制力をアップさせたいと考えているのなら、素直に『牽制軍事力』(先制攻撃はしません)とアピールすればよい。

 あと、この与党合意の内容で、引っ掛かりを感じたのが「集団的自衛権」を適用し、日本だけではなく同盟国に(アメリカに)攻撃が確認された時も、反撃能力を行使すると定めたこと。もうこれは、米国への忖度としか考えられない。

 あと、気になったこと……話が戻るが、「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の議事要旨(第4回会議についてはアップされていない)や報告書などを読んでいたら、気分が悪くなった。
 例えば、報告書の1.「防衛力の抜本的強化について」(1)目的・理念、国民の理解では
 防衛力の抜本的強化の目的は、このような厳しい安全保障環境において、我が国の国民の生命と財産、我が国の主権及び平和と安定を守り、国際社会の秩序を保ち、安定を図ることにある。
 それには、日本及び日本周辺での戦争を抑止し、力による現状変更を許さないという我が国の意思を国内外に示し、有事の発生それ自体を防ぐ抑止力を確保しなければならない。そして、自分の国は自分たちで守るとの当たり前の考えを改めて明確にすることは同盟国や同志国等からの信頼を揺るぎないものにするために不可欠であることも忘れてはならない。
 この防衛力強化の目的を、国民に「我が事」として受け止め、理解して頂けるよう、政府は国民に対して丁寧に説明していく必要がある。その際に重要なことは、なぜ防衛力を抜本的に強化する必要があるのか、国民生活の安全や経済活動の安定を守るために必要な措置はどのようなものか、そのためにどれぐらいの負担が必要となるのかについて国民に理解してもらう努力であり、国民に丁寧に説明していくことである。


 「気分が悪くなった」と書いたが、こう感じたのは私だけだろうか?私は“非国民”なのだろうか?
 “自分の国は自分たちで守る”というが、今の政治家を観ていると、《国(政治家)は、国民のことなど、何とも思っていない》としか思えない。そもそも、《自分の国は自分たちで守る》ということが当たり前の考えなのだろうか?……それが当たり前かどうかは、私は取りあえず棚に上げておいて、こう言いたい……「自分の国を守ることより、自分を守るので精一杯なんだよ!」(個人的には、国よりも自然を守りたい)
 会議の参加者に、あの寺田総務大臣がいては、説得力はないだろう。

 さらに、報告書や議事要旨などを読んでいると、
「防衛力を総合的に強化していくには、防衛産業(←軍事産業)の強化は欠かせない」
「防衛力強化には先端技術の開発や、防衛産業の振興など、我が国の経済力強化につなげられそうな糸口がある。防衛力強化を国全体にとってのチャンスと捉え、経済力強化を図り…」
「財源確保の考え方について、まずは歳出改革を行った上で、不足する財源について措置を検討していくべき。なお、財源の検討に当たっては、防衛力強化の受益が広く国民全体に及ぶことを踏まえ、それに要する費用は、国民全体で広く負担する形を目指すべき」→どこかに「個人所得の増税」とかも書いてあった


繰り返しになってしまうが……
「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」という会議名だが、《防衛力アップするためにはどうしたらよいか》という議論で、「敵基地攻撃能力」(反撃能力)の保有の妥当性の議論は全くなかった(反撃能力保有が大前提)
そういう会議なのに、岸田総理や政府・与党は「反撃能力の必要性」を提言されたとして、防衛増額の方針を決定してしまった。
(有識者会議がどういう会議だったかの説明は、『ロイター』「反撃能力の必要性など提言、財源は「国民負担も視野」 政府有識者会議」
ワールドカップサッカーの日本チームを応援するのも良いが、自民党の横暴さの事実をもっと報道すべきである。
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ジェシカの反駁  ~『銀河英雄伝説』第9話「それぞれの星」

2022-12-05 23:16:07 | アニメ
 《イゼルローン要塞を落とせば(自由惑星同盟のモノになれば)、銀河帝国から同盟領への侵攻が困難になり、和平交渉が成立するかもしれない》というヤン・ウェンリーの思いとは裏腹に、帝国への侵攻論の声が大きくなった。
 政府への支持率アップ、軍部も功績をさらに上げて軍の重要さや影響力を増したいなどの思惑があるのだろう。

自由惑星同盟 最高評議会
 ジョアン・レベロとホワン・ルイは、戦争の拡大や長期化によって、経済危機に陥っており、軍に人材が流出して社会が機能不全に陥っている状況を指摘し、侵攻反対を訴える。

財政委員長 レベロ
「戦死した将兵の遺族者年金やイゼルローン攻略による銀河帝国兵50万人の捕虜を食わせていくにも、相当の予算が必要だ。
 これ以上戦争を拡大すれば経済的に破綻をきたす」
「戦争に勝たなければ、明日はないのだ」(反対意見)
「では、戦争そのものをやめるべきだ。
 ヤン提督の知略で、我々はイゼルローンを得た。帝国軍は我が同盟に対する侵略の拠点を失った。有利な条件で講和条約を締結する好機ではないか」
「しかし、これは専制政治に対する正義の戦争だ。不経済だからと言って、辞めていいモノだろうか?」(反対意見)
人材資源委員長 ホワン
「本来、社会開発に用いられるべき人材が軍部に偏っていく現状には不安を禁じ得ない。
 教育や職業訓練に対する投資が削減される一方だ。労働者の熟練度が低下した証拠に、職場事故が前期と比べて3割も増加している。
 現在、軍に徴用されている技術者、輸送及び通信関係者の内から400万人を民間に復帰させてほしい。これは最低限の数字だ」
国防委員長 ヨブ・トリューニヒト
「無理を言わないでほしい。それだけの人数を後方勤務から外されたら、軍組織は瓦解してしまう」
ホワン
「国防委員長はそう言うが、このまま行けば、軍組織より早い時期に、社会と経済が瓦解するだろう」
レベロ
「これ以上、市民に犠牲を強いるのは民主主義の原則にも外れる。彼らは負担に耐えかねているのです」
情報交通委員長 コーネリア・ウィンザー
「大義を理解しようとしない市民の利己主義に迎合する必要はありませんわ。
 そもそも、犠牲なくして、大事業が達成された例があるのでしょうか?」
レベロ
「その犠牲が大きすぎるのではないかと、市民は考え始めたのだ、ウィンザー婦人」
ウィンザー
「どれほど犠牲が大きくとも、為すべきことがあります」
レベロ
「それは政治の論理ではない!」
ウィンザー
「私達には崇高な義務があります。銀河帝国を打倒し、その圧政と脅威から、全人類を救う義務が。
 安っぽいヒューマニズムに陶酔して、その大義を忘れ果てるのが、果たして大道を歩む態度と言えるでしょうか?」

レベロ
「あなたこそ、安っぽいヒロイズムに陶酔しているのではないのか!」
最高評議会議長 ロイヤル・サンフォード
「また、休憩が必要なようだ。しかし、その前に諸君に見てもらいたい資料がある。
 これは我が評議会に対する一般市民の支持率だ。31.9%、決して良くはないな。
 一方、こちらが不支持率だ……56.2%
 このままでは、来年早々の選挙に勝つことはおぼつかん。和平派と最強硬派に挟撃され、過半数を割ることは目に見えておる。
 ところがだ。ある指標に依れば、ここ100日以内に帝国に対し画期的な軍事上の勝利を収めれば、支持率は最低でも15%は上昇するという数字が出ているのです」
レベロ
「どういう意味ですか?あなた方は選挙のために戦争しろと?」
ウィンザー
「議長、軍部からの提案を投票にかけましょう」
レベロ
「待ってくれ。我々にはそんな権利はない。政権の維持を目的として無益な出兵を行うなど、そんな権利を我々は与えられていないっ!」
ウィンザー
「まあ…きれいごとを仰ること」……銀英伝の登場人物の中で、一番ムカついて、嫌いなキャラである。

……賛成8、反対3で侵攻が決定された。
トリューニヒト
「私がこの出兵に反対したことを、明記していただこう」
(トリューニヒトは出兵が失敗することを予見していて、反対した事実で、権力を増大しようと考えた)


ジェシカ・エドワース新人議員(ヤンの戦死した親友の婚約者)
「私は決めたのです。見ないふりはしないことを。聞こえないふりはしないことを。沈黙しないことを。
 そのために今、私はここに立っています。
 立候補するに当たっては、随分迷いました。ただの教師であった私に、そのような資格はないのではないかと。
 でも、決めたのです。そして誓いました。
 アスターテ大戦で亡くなり、今はこの世にいない私の婚約者に。
 以前、私はこう思っていました……歴史とは埃をかぶった過去のモノだと。
 でも、違うのです。歴史とは…今、生きている私たちが創っていくモノなのです。歴史書にその名を遺す人たちだけのモノではなく、今生きている私たち一人ずつが、創り出すべきものなのです。私たちの一歩一歩が未来へと繋がっているのです。
 私たちの歴史はこれまで、多くの戦争とともにありました。この先も戦争とともにあるかどうか……それは私たち自身が決めることです。
 “これは正義の戦争だ”と声高に言う人がいます。“正義のために命を捨てるのは、崇高な行為だ”と。
 けれども、正義とは何か?崇高な行為とは何か?……決めるのは私たち一人ずつです。戦地へ行く家族を見送るあなた、戦地で家族を失ったあなたや私です。
 決して、どこか安全な場所に身を置き、自分は何一つ失わず、傷つかない人たちなどに、決めてもらいたくはありません。

 私は、権力を持った人たちに、常に問いかけていきたいのです。
 《あなたたちはどこにいるのか?》
 《兵士たちを死地の送り込んで、あなたたちはどこで、何をしているのか》と!
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新語・流行語大賞2022

2022-12-03 16:56:27 | 時事
この『新語・流行語大賞』について、毎年思う事
・決定が12月初め、ノミネートに至っては11月初旬というのは、早すぎ! ノミネートが12月上旬だったら、間違いなく「ブラボー」だったろう。
・初耳や、ほとんどなじみのない言葉が多すぎる。……私が時代に取り残されているという可能性も高いが、“審査員の主観”と感じる年が多い。
・野球関係の言葉が多い(今年は大賞は「村神様」がったが、少なかった)
・法改正などの必要上、使用された用語がノミネートされるのはおかしい。
  今年で言えば、「インボイス制度」、「こども家庭庁」。
・上例と同様に、事件によって口にすることが多くなった「地名」「人名」を選ぶのはおかしい

  今年で言えば「キーウ」であるが、この言葉を選んだ理由には納得している


年間大賞……村神様
 現在、プロ野球への関心は薄いが、これは文句がない。ただ、「年間大賞」というのは、上で述べたように、引っかかる。

キーウ
 事件の地名などが選ばれるのは、意義が違うと思うのだが、今回は違う。
 サイトの解説を引用……「外務省は3月31日、ウクライナとの連帯を示す目的で首都キエフの読みをウクライナ語の発音に近い「キーウ」にすることを決め関係各所に通知、報道も一斉に準じ一気に浸透した」
 当初は「キーウ(キエフ)」や「オデーサ(オデッサ)」や「チェルノーブル(チェルノブイリ)」には違和感を感じたが、今では馴染んでしまった(侵攻が収束せず、馴染んでしまったという状況は悲しい)

きつねダンス
 スポースニュースなどで2回、ちらっと見た記憶がある程度。「BIGBOSS」が選ばれるよりは良い。

国葬義
 《なぜ、こんな言葉を選ぶのか?》と思ったが、サイトの解説を読んで、ある程度、納得。
「政府が国葬を閣議決定、党事情が見え隠れし始めると雰囲気が一変。法的根拠があいまいな国葬に反対するデモが各地で行われた。一方で、悼む気持ちから献花の列に並ぶ人も多くいた。政府は「国葬儀」という単なる国の儀式の一つという理屈をひねりだし、葬儀費用もあいまいなまま実施した」

宗教2世
 報道で頻繁に使われているが、何となく聞いていた。
 国王などの“高位の人を受け継ぐ”という意志で『○世』という名称が使われるが、《移民・移住者の何代目》という意味合いなのだろう。
 サイトの解説では、社会問題として提起しているが、この言葉がいつから使われるようになったかは明記されていない。
 ウィキペディアによると
「宗教2世とは、特定の宗教を信仰する親などの家族や宗教的集団の元で、その教えの影響を受けて育った子ども世代のことを指す。「カルト2世」または「2世信者」などと呼ばれることもある。各種統計より日本の総人口約1億2千万人のなかで自覚的な信仰を持つ人は1~3割であり、「宗教2世」は少なくとも数百万人は存在すると推測される」


知らんけど
 【サイト解説】関西圏だけでなく、気づいたら「知らんけど」と文末に付けて、断定を避け、あいまいな表現にして、その場を和ませる話し方をする人が、増えた。
 私の周囲にも、昔から語尾にその言葉を付ける人がいた。意味合いは《確実な話ではない》《何となくそう思う》という感じだった。
 関東圏の人が使うと、《無責任の比重が増える》ように聞こえるのは、私のコンプレックスから来ているかも?
 時と場合、言い方によっては、「知らんのなら、言うな」と突っ込みたくなることがある。

スマホショルダー
 申し訳ありません……初耳だった

てまえどり
 これも初耳。スマホで画像や動画にする時の手段やテクニックなのかと思った。
 なぜ、全部平仮名にするのだろう。「手前取り」なら、少しは想像を働かせることができたが…

Yakult(ヤクルト)1000
 ATP1000なら知っているが……(ATPテニスツアーの最上位の大会。250→500→1000とグレードアップする)
 「Yakult(ヤクルト)1000」……ヤクルト史上最高密度の「乳酸菌 シロタ株」を含んでいるという
 ああ、「乳酸菌 シロタ株」の方が聞き覚えがある。

悪い円安
 現在、1ドル=134円前後に戻してきたが、この円安によって、苦しんだ人は数知れない。
 個人的には115円前後になって欲しい

選考委員特別賞……青春って、すごく密なので
 サイト解説を引用
「東北勢初の優勝を果たした仙台育英学園高等学校 須江航(すえわたる)監督から発せられたのは、チームの選手や東北の人々だけに向けられたものではなかった。ライバルへの敬愛とコロナ禍で共に苦労しあった野球仲間へのねぎらいは、甲子園の闘いではなく連帯することから生まれているのだということを教えてくれた。
 この3年間、マスク着用、ソーシャルディスタンス、大声出すな、と密の状態から球児たちを守り続けてきた監督の苦労は想像を超える。「青春は密」。コロナ禍での指導者の苦悩と球児らへの愛情の詰まったこのことばは、人々の心に温かく響いた」


 ノミネート語30の内、知っていたのは17語。
 印象に残っているのは「#ちむどんどん反省会」と「悪い円安」かな。
 嫌な気分になったのは「丁寧な説明」。類義語として「説明責任」。



 現在、ムカついている言葉は「反撃能力」。
 「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」という言葉に置き換えうやむやにして、専守防衛の基本的な方針を変更。
 防衛費増額→増税

 ワールドカップサッカーで、日本チームの活躍を喜ぶなとは言わないが、もっと大きく報じても良いのではないだろうか!
コメント (2)
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相棒 season21 第7話「砂の記憶」

2022-12-01 11:21:30 | ドラマ・映画
気になったのは“時効”について
ドラマでは、“20年前の連続通り魔事件と謳い、時効(公訴時効)の20年が迫る……という設定だった。
 時効に関しては、平成22年4月27日に「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」が成立し(同日公布)、殺人罪など人を死亡させた犯罪であって死刑に当たるものについて公訴時効が廃止されるなどの改正がされている。
【参考】コラム「公訴時効制度の改正について」(警察庁)
 上記紹介のページには、時効成立の年限は
1「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が死刑である犯罪(例:殺人罪)
…………………………………………………………………25年 → 公訴時効なし
2「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が無期の懲役・禁錮である犯罪(例:強姦致死罪)
…………………………………………………………………15年 → 30年
3「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が20年の懲役・禁錮である犯罪(例:傷害致死罪、危険運転致死罪)
…………………………………………………………………10年 → 20年
4「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が懲役・禁錮で、上の2・3以外の犯罪(例:自動車運転過失致死罪)
…………………………………………………………………5年又は3年 → 10年
平成22年4月27日から施行されているが、上記の表に掲げた犯罪が改正法の施行前に犯されたものであっても、その施行の際公訴時効が完成していないのであれば、改正後の公訴時効に関する規定が適用される。

 ということは、「上記の期日前に時効が成立していれば、起訴されることはない」ということになるのかな?(事件発生後、海外に在住している期間は差し引き、時効が成立していない場合が、ドラマではよくある)

【ここから先は、素人の“付け焼刃”の見解です】
 で、ややこしいのは、強盗(窃盗ではなく、暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取する犯罪)の場合。(ナイフを突き出して脅す、手足を縄で縛って動けなくするなどの行為も強盗の暴行・脅迫に該当)
 殺害に故意がある(殺意がある)場合が“強盗殺人”であり,殺意がないけれども暴行の結果、人を死なせた場合が“強盗致死”になる。強盗殺人も強盗致死も、上記の1に該当し、公訴時効はないと考えられる。



 今回の場合、番組サイトの《あらすじ》では「それから20年たった今、“傷害致死”の時効が迫っていた」とあり、ドラマに於いても「時効の20年が迫っている」という設定だった。
 しかし、“ひったくり”の目的で、その手段として暴行を加えているので、故意の暴行と認識でき、“窃盗”ではなく”強盗”である。(何度も同じ手口を繰り返していることからも、故意の暴行で”強盗”に該当)
 つまり、少なくとも"傷害致死”とは一線を画する“強盗致死”ではないのだろうか(“強盗殺人”かも)

と言う訳で、この“時効”云々について、ずっと気になっていて、ドラマに集中できなかった。


 それはともかく、今回、警視庁健康管理本部の保健師・吉崎弘美(桜木梨奈)が強烈に特命係に絡んできており、さらに、偶然(実は弘美の作為)に唐突に警視庁総務部広報課広聴係の小沼裕一(鳥谷宏之)が登場……
 ……このふたりが、20年前のひったくりの被害者(犠牲者)友人と犯人であることが、容易に想像できる。

 それに、偶然があまりにも重なり過ぎている。
・小沼が異動により、弘美の前に出現
・タイミングよく、ひったくり犯が逮捕(犯人は20年前とは無関係でどこかの署長の息子)
・小沼が所持していた砂時計に、当時、人工芝に使用した砂の一粒が付着していて、被害者所有の砂時計であることが立証


 まあ、今話の主題は、娘を失った母親の悲しみ、親友を助けられなかった責任と悲しみを背負い、20年間、時が止まっていたふたりが、事件解決で呪縛が解け、砂時計の砂が落ち始めた(時が動き始めた)というもので、私が疑問や不満に感じることなどは、些細なことなのだろう。

 あと、何件も繰り返して、しかも、死亡者まで出ているのに……伊丹、捜査一課、だらしないぞ。


第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」

【ストーリー】(番組サイトより)
20年前の通り魔が再び動き出す!!
特命係をあおる告発者の正体は?


 ある日、特命係に警視庁職員の健康を管理している保健師・吉崎弘美(桜木梨奈)が乗り込んでくる。面談を先延ばしにしている右京(水谷豊)と、そもそも診断を受けていない薫(寺脇康文)に釘を刺しに来たのだ。
 そんな折、特命係に、『20年前の連続通り魔事件の犯人が動き出す』と書かれた告発文が届く。20年前といえば、若い女性を狙った強盗事件が7件連続で発生した時期。7人目の被害者である15歳の少女が亡くなり、メディアでも大きく取り上げられた事件だった。当時、伊丹(川原和久)も捜査本部にいたが、犯人を特定できず、迷宮入りしてしまったという。
 それから20年たった今、傷害致死の時効が迫っていた。右京と薫は、手掛かりを求めて、亡くなった少女の母を訪れるが、「そっとしておいて」と追い返されてしまう。そんな中、夜道で女性が襲われる通り魔事件が発生。伊丹たちも捜査に乗り出すが…!?

迷宮入り寸前の事件に新たな動き!?
現在と過去、絡み合う事件の記憶
特命係が卑劣な通り魔を追い詰める!


ゲスト:桜木梨奈 根岸季衣なぜか、サイトではゲストとしての表記がありません!

脚本:山本むつみ
監督:橋本一
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