漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1043

2022-09-07 05:14:00 | 古今和歌集

いでてゆかむ ひとをとどめむ よしなきに となりのかたに はなもひぬかな

出でて行かむ 人をとどめむ よしなきに 隣の方に 鼻もひぬかな

 

よみ人知らず

 

 私には、出て行く人をとどめるすべもないのに、隣の家では、くしゃみもしてくれないのだな。

 第五句の「鼻をひる」はくしゃみをする意。当時、くしゃみは思いを寄せる人に合える前兆とされていたとのことで、出て行こうとする人を引き留めるすべもなく、また会える前兆もないという悲しい歌ですが、「鼻をひる」という、歌に詠み込まれることのあまりない表現が使われているので諧謔歌に分類されたというところでしょうか。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。