北の風に吹かれて~独り漫遊記~

町歩きを中心に、日々の出来事を綴ります。 
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旧イギリス領事官

2024-06-10 20:41:43 | 函館

 

「王道コース」のチェックポイントも残り二つ。

どう効率良く回るかを考えつつ、まずは最低限の知識の整理からということで書いています。

 

 

ということで、次のチェックポイントは「旧イギリス領事官」。

開港後、アメリカ、ロシアに次ぐ三番目の領事館として箱館に建てられた領事館の流れを汲む建物です。

 

 

二つ上の写真と空の色が全然違いますが、実は同じ日に撮ったものです。

 

最初のイギリス領事官は、1859年に、現在地から西方面にある「称名寺」というお寺に開設されましたが、その後、1863年に、ハリストス正教会の西隣に新築されるも、幾度かの大火に遭い、1913年に現在地に移築されました。

その後、1934年まで領事館として使用された後、現在は、当時の資料が展示されている他、ペリー来航に端を発する開港当時の資料を多数展示している「開港記念館」として開放されており、館内の喫茶室では、本格的なアフタヌーンティーを楽しめることでも知られています。

また、毎年6月下旬から7月にかけて、裏にあるイングリッシュガーデンでは約50種類の薔薇が満開になるそうなので、ぜひ行ってみようと思います。

 

 

 

 

 

大空にはためくイギリス国旗。

詳細は分かりませんが、掲げられている日といない日があります。

 

 

1934年まで領事館として使用されたと書きましたが、歴代領事の中で、函館の歴史に大きな足跡を残したことで知られているのが、写真の「リチャード・ユースデン」氏。

1861年に最初に来日して以降、三度に亘って領事を務め、1880年に最後の務めを終えて本国へ帰還するまでの間、1878年には、現在も市民の憩いの場として利用され続けている「函館公園」の開設に尽力していました。

当時、「病気の人には病院が必要なように、健康な人には公園が必要」という呼びかけのもとに、公園を設立したとされています。

 

 

 

 

 

これは、領事館の窓から外を眺めるユースデン氏の姿を描いています。

 

 

領事館として使用されてた当時の電話機ですね。

色々な博物館とか郷土資料館で同じようなのを見たことがありますが、一度こういうので通話してみたいものだなと思います。

 

 

ユースデン氏の夫人もまた、函館の歴史に多くの足跡を残しています。

 

 

中でもよく知られているのが、西洋式の洗濯技術を伝授したということ。

開港によって外国の文化が続々と日本に入ってくることで、人々の服装も、徐々に和装から様相へと転換されることになったことから、洗濯の手法も、米のとぎ汁や石灰、灰汁などを用いていたものから、石鹸で洗い、糊付けをしてアイロンをかけるという西洋式の技術を導入すべく、当時の函館区長が洗濯機を輸入したという話が残されています。

そんな中、この近くにあった「女紅場」(遊郭で働く女性の学問と技術指導の場)で西洋式の洗濯が導入されましたが、指導者がいなかったことから浸透しませんでした。そのことを知ったユースデン夫人は、自宅で西洋式の洗濯を教えていましたが、1880年1月に「西洋洗濯伝習所」が開設され、夫人によって、人々に西洋洗濯の指導が行われることとなりました。

同年10月に領事が函館を離任することになったことから、この伝習所も翌年1月で閉鎖されてしまいましたが、それでも、「ハイカラ」と呼ばれた洋風文化の浸透に大きな足跡を残したことは、今もこうして語り継がれています。

 

 

そして、ユースデン夫人には、もう一つ、歴史上のエピソードがあります。

1876年、明治天皇の函館行幸の際、陛下は、領事館の前の「基坂」を馬車で上ってきたそうですが、坂には、「WELCOME」と書かれたアーチが掲げられていて、人々が皆頭を下げ、手を合わせる中、ユースデン夫人は、小さな花束とイチゴの入った籠を陛下に差し出したそうです。

このことは、恐らくですが、日本で初めての花束贈呈ではないかと言われています。

この「花束贈呈」も、「当時どういうセレモニーが行われたか?」という三択問題として出題できそうですね。他に何か面白い選択肢を、ガイド本番までに考えておきたいと思います。

 

 

 

 

館内に戻りますが、ユースデン夫妻の足跡に関する資料以外にも、「開港記念館」として、ペリー来航に始まる開港の歴史に関する資料が多数展示されています。

じっくりと見て歩くことで、多くの知られざるエピソードを学び、知ることができる、オススメのスポットです。

 


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2 コメント

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Unknown (kakadenka1023)
2024-06-10 20:58:47
今年の冬、そこに行きました。
素敵なカフェがあって、
イギリス風の本格的紅茶を飲んだ様な記憶がありますが、そこでなかったかな?
バラのお庭が綺麗で、春にまた来たいと
思った記憶があります。
夫人のマントとティラを着けて、自撮りした覚えもありますウフフ
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Unknown (ナナマガラー)
2024-06-10 21:28:36
kakadenka1023様

こんにちは。
そうでしたか、ここに来られていたのですね。
書かれている内容から、ここで間違いないと思います。
私も、薔薇を観に行くときには、喫茶室も利用したいと思いますの。
ぜひまたいらしてください。
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