龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCの応援、ソロキャンプ、それに読書、そしてコペンな日々をメモしています。

『想像ラジオ』のこと(続き)

2014年08月15日 08時12分28秒 | 大震災の中で
続きとはいっても、前の「場所」の話ではなく「話しの話」。

いとうせいこうってヒトが好きで、何だかわからないけれど、惹かれる。
彼は「語り」というか、どう手渡すか、をいつも、考えていると感じる。なんだろう、昨夜のラジオ番組(いとうせいこうトークセッション2014夏)との関連でいえば、モノローグではあっても「対話」が想定されている。

そしてそれは「祈り」に近い態度かもしれない、そんな風にも思う。

神様や死者の魂が、私たちの世界の「外」にあるのなら、それについては沈黙していた方がいい、と思う。しかし、私たちの中にあるのならば、それはことばにして「対話」の豊かさの場に手渡され得る。
『想像ラジオ』の魅力は、そんなところにもあるのかもしれない。

「はなすことがすでになにかである」byいとうせいこう
(「いとうせいこうトークセッション2014夏•國分功一郎との対話より)

以下、ネタバレと感じる人もいるので注意!







柳美里の『JR~』に戸惑うのは、幽霊の発話にも見えるそのことばを誰が受け止めるのか、という戸惑い、ともつながるのかもしれない。

もとより小説はどのようにも書き得る。だが、ことばは誰に向かって語られるのかによってその「意味」は変わるだろう。

単なる読者一般、だけでは足りない。
一人一人に囁くのは、活字の役割ではあるまい。
さて、ではどうするのか。
「場所」についての問いはさらにその先にある。