龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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白井聡の解説が面白い。『一九四六年憲法-その拘束』江藤淳(文春学芸ライブラリー)

2015年04月29日 22時16分30秒 | 大震災の中で
白井聡の解説が面白い。
『一九四六年憲法-その拘束』江藤淳(文春学芸ライブラリー)

『永続敗戦論』の白井聡が解説を書いていて、

「戦後の思想空間が決して自律的なものではありえず、さらにその非自律性が十分に意識されないことがもたらす言説空間のひずみを明るみに出すという江藤の問題意識は、いまなお高く評価されるべきものである」

と白井氏が江藤淳を高く評価しているのは、『永続敗戦論』の著者として納得がいく。


加えて、江藤淳が行った戦後民主主義の「敗戦否認」批判は、いかに鋭いものであったとしても、結果として

「戦後日本が立派な国でないのはアメリカ製の憲法のせいだ」

と米国の世界戦略を支持する人が言ってはばからない奇怪な状況に「言葉」を与えてしまった……

という白井氏の指摘は、安倍首相が訪米している「今」第一に考えなければならないことだろう。

この時期に改めて江藤淳を読むのは、意味があるなあ、と実感。



『朽ちないサクラ』柚木裕子(徳間書店刊)はアイディアのリズムで読む中編小説

2015年04月29日 12時45分13秒 | メディア日記
『朽ちないサクラ』柚木裕子(徳間書店刊)はアイディアのリズムがいい警察小説だ。

描写のテンポがいい、というわけでは必ずしも、ない。
警察小説らしい内情の濃厚な描写があるわけでも、ない。
主人公が徹底的に「探偵」として危険を冒しながら犯人を追いつめていく、というのともちがう。 
物語の展開がサスペンスに満ちている、というわけでもないのだ。

こう書いてしまうと面白くない小説、ということになりかねないがそういうことではない。一気に読んでしまった。

「親友が殺された。県警広報事務の私に、何ができる?」

という腰巻き惹句は、そういう意味でなかなか含蓄がある。典型的な中編小説、といえばいいかなあ。

文庫になるまで待って読むのが吉。
悪くはないですよ(^_^)