『督促OL修行日記』榎本まみ 文春文庫 が面白い。
カード会社の督促コールセンターに配属された気弱な新入社員のOLが書いた、実録。
めちゃめちゃ面白いです。下手な自己啓発とか能力開発の本よりよほど読ませる。
つまり、自己啓発とか能力開発の本は、ほとんどその手法が間違っているわけです。
「言葉」が大切、といっているのに説教じみている本が世の中にはたくさんあって、そういうノウハウ本ってだいたい信用がおけないわけです。この本は、そういうものを適切に相対化できている。
普通は、結局上から目線でノウハウを持っているのは私だ、と読者を脅すしか能がない本(や講座や講演会)が多いわけですね。
ところがこの本は、世間からブラックと思われてきたカード会社のキャッシングの延滞督促という現場に、最弱のOLが放り込まれたという状況から語り出されるため、業界営業路線からいっても、OL成長物語路線からみても、あるいは実際に(潜在的にではあっても)督促をされる読者の側からいっても、決して説教じみていない、リアルとして受け止めることができる。
そう、この本の文章自体「督促」のノウハウの感触を伝えているという意味でも秀逸なのです。テーマ・素材・文体が響き合っている、というか。
対人感情労働をしている方には圧倒的にお薦めの1冊。
別にこれを読んだからといって、苦手な「感情労働」が「あっという間に」得意になるわけじゃござんせんが、「ほっ」と一息つけることは請け合います。
後半、自尊心はビジネス講座を受けるビルの下に埋めた、という記述があって、ちょっと切なくなります。
善し悪しとは別に「感情労働」は生活の中で普通に育ててきた自尊心はどこかに置いておかなければ成立しない、ということでしょう。
さりげなく書いてあるこの記述に「さもありなん」と腑に落ちました。
とはいえ、 単純な業界内情の閲覧本としても楽しく読めます。
腰巻き惹句と解説が佐藤優、というのもいいですね。督促も有る意味では「インテリジェント」=情報・交渉術でもあるわけでしょうから。
文庫で550円(税別)。1時間弱で読めちゃいます。
読む本に困ったら、ぜひ。
カード会社の督促コールセンターに配属された気弱な新入社員のOLが書いた、実録。
めちゃめちゃ面白いです。下手な自己啓発とか能力開発の本よりよほど読ませる。
つまり、自己啓発とか能力開発の本は、ほとんどその手法が間違っているわけです。
「言葉」が大切、といっているのに説教じみている本が世の中にはたくさんあって、そういうノウハウ本ってだいたい信用がおけないわけです。この本は、そういうものを適切に相対化できている。
普通は、結局上から目線でノウハウを持っているのは私だ、と読者を脅すしか能がない本(や講座や講演会)が多いわけですね。
ところがこの本は、世間からブラックと思われてきたカード会社のキャッシングの延滞督促という現場に、最弱のOLが放り込まれたという状況から語り出されるため、業界営業路線からいっても、OL成長物語路線からみても、あるいは実際に(潜在的にではあっても)督促をされる読者の側からいっても、決して説教じみていない、リアルとして受け止めることができる。
そう、この本の文章自体「督促」のノウハウの感触を伝えているという意味でも秀逸なのです。テーマ・素材・文体が響き合っている、というか。
対人感情労働をしている方には圧倒的にお薦めの1冊。
別にこれを読んだからといって、苦手な「感情労働」が「あっという間に」得意になるわけじゃござんせんが、「ほっ」と一息つけることは請け合います。
後半、自尊心はビジネス講座を受けるビルの下に埋めた、という記述があって、ちょっと切なくなります。
善し悪しとは別に「感情労働」は生活の中で普通に育ててきた自尊心はどこかに置いておかなければ成立しない、ということでしょう。
さりげなく書いてあるこの記述に「さもありなん」と腑に落ちました。
とはいえ、 単純な業界内情の閲覧本としても楽しく読めます。
腰巻き惹句と解説が佐藤優、というのもいいですね。督促も有る意味では「インテリジェント」=情報・交渉術でもあるわけでしょうから。
文庫で550円(税別)。1時間弱で読めちゃいます。
読む本に困ったら、ぜひ。