龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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続・仲正昌樹『現代哲学の最前線』(NS新書)

2022年02月09日 07時00分00秒 | メディア日記
ざっくりと流し読みしていると、現代における「哲学」の様子が、走馬燈のように流れていくかのようで、とても気持ちがよい(笑)。

もちろん著者による早わかりだし、そのスタンスも読んでいくうちになーんとなく感じるところはある。
でもそこ(著者のスタンス)が重要なわけではなく、現代の哲学プレーヤーが大きく言ってどんな問題意識を持っていて、どんな文脈の中で減給されているのかが、この「走馬燈」を見ているとそこはかとなく分かってくる。

なんていうのかな、目配せの効く大学の先生にゼミの合宿とか飲み会で、「ぶっちゃけ新実在論ってなんですか?世界はないとか偶然だとか、意味分かんないですー」とか「ロールズって何であんなにけちょんけちょんに批判されたんすか?無知の平等とかっていいと思うんすけど」とか「哲学に自然主義とかきーたこともねーす」とかいって、先生に30分ぐらいで的確かつざっくりした説明を受けるような感触、とでもいえばいいだろうか。

もちろん、先生相手にそんなことをきくと、「じゃあ来週までにあれとこれをそれを読んでレジュメ書いてこい」とか言われかねないわけだけれど(笑)。

そして、挙げ句の果てに「答えが欲しくなったらやばいからな」と脅される(笑)

そういう楽しさが、この本にはある。

雑誌『現代思想』とかを読んだりしたことがあるとか、何らかの哲学や思想の本を読んだことがある人向けですけどね。

腰巻き惹句にあるとおり、論争の構図をざっくり知りたい人、つまりなんか読んでみたけどこの人とこの人の対立点とかわかんないし、1グループにまとめられてるけど実際この人たちどこがちがうの?とか困ってる人(私のような人)向け。

ある意味、とても役に立ちます。

いわゆる普通の羅列的な早わかりではないので、「問い」のありかがおぼろげに分かっているか、それが分からなくてイライラしているか、という条件の下での良書、ですかね。

この先には、後書きにもあるように

「なかなか理解させてくれない、身体的に拒否感を覚えるような、手ごわいテキストを読むべきだ」

という新たな「宿題」が待っている。その準備段階の早わかり、見取り図として、こういう本はとてと大切だ思う。