60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

接客

2009年05月12日 08時54分57秒 | Weblog
毎週土曜日の朝、近所のクリーニング屋にその週に使ったワイシャツを持っていくのが習慣である。
私はそのクリーニング店に行くたびに、そこのある店員(パート)の接客に不愉快さを感じ続けている。
その人の接客がぞんざいでも不親切なわけでもなく、反対にあまりにもマニュアル通りで、それから
一脱しないからなのである。もう何年この店に通っているから、その人は私の名前も覚えている。
店に入ると「いらっしゃいませ、○○さん、電話番号の下4桁をお願いします」そういう風に聞いてくる。
私が下四桁の番号を言うと、その番号をレジに打ち込んでから、ワイシャツの数を打ち込んでいく。
打ち込むとトータル金額が表示され「○○円でございます」「○○円お預かりします」と型通りの応対。
そしてお金を受取りキーを打刻すると、ビビビと預かり書が打ち出されてくる。
「お預かりは5点です。本日6時以降でお渡しできます。その時はこのお預かり伝票をお持ち下さい」
まずこの言葉が不愉快なのである。もう何年も通っていて顔も名前も覚えているのだから当然何時
から引き取きとれ、その時預かり伝票を持ってくることぐらいもう充分解っていると理解すべきである。
その相手に対してこの紋切り型の接客はなんとも味気なく、最低の接客ではないかと思うのである。

このパートさんはこの店のボス的な存在だろう。何時も他のスタッフに指示をしているように見える。
歳は50前後であろうか、大柄で、かなり太っていいて、顔も大きく相手に対しての威圧感がある。
それに加えて化粧も濃く、口紅も真っ赤である。私の先入観からなのか不快感を持つのである。
そんな人に毎回毎回馬鹿丁寧にマニュアル通りの接客をされると、「ムカッ」と来るのである。
私はマニュアルとはアルバイトなど接客に慣れない人が、最低基準として覚えるものだと思っている。
マニュアルが必要なのは20代まで、あとは創意工夫で発展させていべきものではないだろうか。
スタッフ全員が50代前後、皆いい大人に対して、彼女はマニュアル通りにやることを強要している。
クリーニング店であるのだから、ほとんどのお客さんがもう何回も何十回も来ているはずである。
他のお客さんがどう思っているかはわからないが、私はこの接客に対しては否定的なのである。
だから特にこの人が接客してくれる時は「むっと」する感情を押し殺して無愛想な顔になる。

日曜日にワイシャツを引き取りに行った。その時、運悪くこの人が接客することになってしまった。
伝票を受け取ると「いらっしゃいませ、しばらくあちらで、お待ちください」とカウンターの端を指差した。
私はこの指図するかの言い方に日頃の不満が臨界に達したのか、怒りが込み上げてくる。
「今は私以外誰もお客さんもいない。それなのに今いるこのカウンターではなく、なぜ向こうまで
歩かせて、そこで待たねばいけないの?」
イラッとしていたから、口調としてはきついものになっていたのだろうと思う。その人も身構える。
「こちらが、受付カウンターで、向こうがお渡しのカウンターで対応させてもらっていますから」と言う。
「ならば、受付とお渡しの表示をしっかり書くべきではないのか、何にも書いてなければ分からない」
「お客様が立て込んだ時の社内のルールでやっていますから」
「社内のルールは私には関係ない。今は誰もいない、ここで渡すことに何の不都合があるのか」
あっけにとられたような顔をして「こちらでお渡ししても良いのですが」そう言ってハンガーに掛かった
洗濯物を取りに行った。

クリーニングを受け取って外に出る。窓越しに見ると、その人は他のスタッフと何やら話している。
たぶん、「あの人はなぜ怒っているのかわからない。私が何をしたのよ!」と言っているのだろう。
私も思う、あんなにむきになるなる必要があったのだろうか、果たして何に腹を立てたのだろうか?
あのしまりのない体型?、あの派手な化粧?、それともあの感情のない紋切り型の喋り方?、
それともそんなこんなが複合された彼女全体がもつ接客のスタンスに対してなのだろうか?

自分でもはっきりとは解らないが、たぶん今までの長い間の彼女の接客態度を見ていて、
この接客の仕方はおかしいし、間違いだと思う気持ちが積もり積もっていたのであろう。
彼女がマニュアルを金科玉条のように思い、他のスタッフに指導している図は特に許せない。
「どうですかこの素晴らしい接客技術は・・」と誇らしげに言っているように見えていたのであろう。
そしてその無知さ加減に対して、次第にイラつき、腹が立ってとうとう爆発したのだろうと思う。
しかし私が間違っていると思う接客も、彼女にとっては正しい接客であり一生懸命やっている。
したがって、私がいきり立つ必要はなく、嫌であればこの店に来なければいいだけの話である。
しかしこの店は我が家から一番近くにあり、駐車場があって便利だからついつい行ってしまう。
このあたりが私のジレンマなのであろう。

人にはどこかにウイークポイントがある。たぶん私の弱点は自分が受け入れがたいことに対して
受け流せず、次第にその思いが増幅していき、こらえ切れずに爆発することなのかもしれない。
「良い歳をして大人げない。こんなことでは今度このクリーニング屋に行きつらくなるではないか」
そう反省はしてみるのだが、果たして又同じことが起きたら我慢できるのであろうかと自信はない。

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