インテリと思われたいから言うわけじゃないが、私は意外と本好きで四日に一度は図書館を訪れている。(誰ですか年寄りの暇つぶしだろと言うのは)なので貴方の趣味は?と訊かれたら、自信をもって「読書です。」と応えるつもりだ。(誰も聞かないけど・・・)
そんな私が最近一番感動した本は、有川浩さんの「明日の子供たち」という小説です。これは養護施設で暮らす子供達を描いた作品で、主人公の新人指導員、三田村君を中心に物語りは進んで行く。
極貧家庭で育った私であるが、養護施設については殆ど知識が無く、親から育ててもらえぬ可哀そうな子供達が暮らす施設くらいのイメージしかなかった。この小説では養護施設の実情が細やかに書かれ、登場する人物はいずれも魅力的で、健気に生きる施設の子供達がいじらしい。
その中の一人、女子高生の奏子が「私達は可哀そうな存在じゃない。世間の人に可哀そうと思われるのが一番辛い。」という言葉が心に迫る。又施設を出て行方不明となっていた温子の身を案じていた猪俣指導員が、実は彼女が立派に働きながら夜間大学へ通っているという姿を知って感涙にむせるシーンなど目頭が熱くなった。
読み終えて心温まる作品だった。私はこんなほのぼのとした小説が大好きで、読んでいて気持ちが明るくなってくる。これは映像化してもきっと感動的な映画になるだろう。有川浩さんについては今まであまり存じ上げなかったが、私の好きな作家になりそうだ。これからも彼の小説をもっと読んでみたい。