monologue
夜明けに向けて
 



昨年(2008年)2月28日にマイク・スミスが肺炎で亡くなったと聞いたとき、そういえばディヴ・クラーク・ファイヴについてはなぜかあまり語られることがなくマイク・スミスといってもあまり知られていないのに気がついたのでちょっと書いておこう。ディヴ・クラーク・ファイヴは第一次ブリティッシュ・インヴェィジョンの中核をビートルズとともに担っていた。マイク・スミスはそのヴォーカル兼オルガン奏者だった。

 1964年、ビートルズがI Want To Hold Your Handの爆発的ヒットででキャッシュボックス誌の首位を独走中のFebruary15日号でディヴ・クラーク・ファイヴは追走するように71位にデビューシングル. GLAD ALL OVER をまず送り込んだ。それから立て続けにヒットチャートを賑わし時代の寵児となったのだ。わたしたちにとってかれらの一番の魅力はマイク・スミスの迫力あるヴォーカルだった。ロックヴォーカリストを目指す若者たちはこぞって Do You Love Me にみられるようなマイク・スミスのシャウト唱法を手本に稽古したものだった。
 しかし、そのブリティッシュ・インヴェィジョンの熱狂の時代が過ぎると他のグループほどディヴ・クラーク・ファイヴは話題にのぼらなくなった。わずかに名曲として評価されているBecause だけがディヴ・クラーク・ファイヴの名を今に留めている。

 なにが問題だったのか。残念ながらかれらは優等生すぎたのだ。スターが持つべきいやらしさが欠如していたためにプレスリーやローリングストーンズが揉めたエド・サリバン・ショーでも紳士的とほめられ、その時だけまわりにもてはやされた。時代を超えるためには識者が眉をひそめるなにかが必要なのである。善だけでは残らない。いやらしさ、くささに人は惹かれる。最近のCMのオールデイズ ブームでかれらのヒット曲が採り上げられて再評価される日は来るのだろうか。
fumio

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