標高1332m、久々の山らしい山の登山です。
天候はこの時期らしく、はっきりしない空模様。
特に山の天気は変わりやすく、少々不安の中での出発になりました。

殆どの山がそのように、この鍋割山も登り口がきつい坂になっています。
その坂はやがて岩場に変わり、この登山一番の難所が登り始めて30分程で現れてくるのです。
まだ呼吸も安定しないままの岩場の急登。

そこさえクリアしてしまえばあとは楽だからと、それだけを心の拠り所に頑張るのです。
汗があっという間に噴き出て、半袖では寒いかなと長袖を余計に着込んだことをこの時は後悔しましたが、この岩場を越えた荒山高原に到着した時にはその判断が正しかったことを思い知ったのです。
荒山高原の向こう斜面はもう雲がかかっていて何も見えません。

日差しは多少あるものの吹く風の冷たい事。
ここで休憩するのもちょっと辛い状況。
汗で少し濡れた背中が冷たくなっちゃいます。
それならとまだ歩いていたほうがまだマシですし、天気も崩れてしまってはせっかくここまで登ったのに頂上もみないうちに下山する羽目になってしまいます。

とは言うものの、この時期に咲くレンゲツツジは見事に満開で、まさにオレンジ色のトンネル歩きとなっています。
そのトンネルの中に入ると冷たい風も感じず、時たま現れるシロヤシオの花にも感激したり、快適な尾根歩きが続いていました。

残念ながら遠くを見渡せるはずの展望は雲に隠され、見えてもぼんやり程度。
時々ガスに包まれ、視界も僅かに遮られることもありましたが、約1時間半程度で頂上に到着しました。

予想はしていましたが、眼下に見えるはずの群馬県の町並みはガスに遮られてがっかりしましたし、ここも風除けとなるものはなく、かなりの寒さを感じてしまいます。
何も見えない場所にいても仕方ないので早々に下山することとなりました。

そうして下り始めると、一瞬雲が流れて視界が開けたり、緑とオレンジ色に染まった山の姿を見ることができたり、それはそれなりに楽しいものです。
それ以上に山の空気はやはりどんな田舎に住んでいても清々しく感じるもので、そうしたものが下界で汚れた心を浄化してくれる、それこそが山の魅力でもあると実感するのです。

再び荒山高原にたどり着くと多くの登山者が食事の準備中でした。
今流行りの”山めし”と言ったところでしょうか。
簡単なレトルト食品やインスタントのモノではなく、しっかりと調理した本格的なものです。
山で火を使うのはこの間の足利の山火事のこともありやはり怖いですが、山でこんないい匂いを嗅いでしまうと次回の登山ではせめてコーヒーぐらいは入れて見ようかなという気持ちになるから不思議ですね。

そんな良い匂いに後ろ髪を引かれる思いで、無事に下山。
時計を見ればお昼時。
さてさて、これから食事はどうしましょうかと。
とりあえず、大沼方面に行ってみようとなったのです。
続く。