与えてくれるらしい。
毎日の生活の中で
心に淀んだ空気を
溜め込んでしまった人々に
その捌け口を導いてくれる。
汗をかき、息を切らし、
それでも歩みを続ける。
景色さえ見る余裕もないのに、それでも山の中にいる事が
まるで母親に抱かれているかのような安堵感に浸れるのは
言葉として大げさな事なのだろうか。
昨日、ある鉄道会社の主催である「第26回外秩父七峰縦走ハイキング」に
深谷SRCの方々と共に参加してきた。
この大会、昨年までは「かすみがうらマラソン」と同日の開催となっていて
気にはなっていたのだが、そんな事情で今まで参加することはなかった。
しかし今回は深谷SRCの方々にお世話になり、申し込みからスケジュールまでの
全てをお任せという、実にお気楽な山歩きになり感謝の一言だ。
さて、ここで言う七峰とは
「官ノ倉山(344m)」、「笠山(837m)」、「堂平山875m)」、「剣ヶ峰(876m)」
「大霧山(766m)」、「皇鈴山(679m)」、「登谷山(668m)」の山々。
これを結ぶ約42km縦走のハイキング。
いや、ハイキングとは名ばかりで本当はかなり厳しい登山であった。
昨今の山ブームに乗り
今やかなりの人気イベントと
なってしまったようで、
未確認の情報によれば
5千人ほどが参加していたらしい。
よって至る場所で
渋滞が発生してしまい、
残念ながら自分のペースで歩く事は全くできなかった。
それでも今の私はこの山に来れただけで、充分嬉しさを感じていた。
昨年までは喘息の発作が怖く、山中で発症してしまえばどうなるのかと
そればかりが頭の中にあり、どうしても山に行こうという気が起きなかったのだ。
こうして山の気圧や気温の変化にも何とか対応できるようになった
この呼吸系の復活は、私を元気にしてくれる。
やっぱり山は良い。
鳥類のさえずりが心を
開放してくれる。
たまに秘めやかに
そしてつつましく咲く
高山性の植物を
目の当たりにすれば
それまで力の入っていた肩が
す~っと楽になるのを感じる。
それは全てが自然の力であると共に、それを感じ取る自分自身が
この山と同化してしまうかのような錯覚を覚える瞬間でもある。
今回はそんな渋滞の影響もありチェックポイントを下山刻限の15時に
通過することができず、42kmの完歩とはならなかった。
しかし何の悔いもない。
坂を繰り返し、見上げる空は何処までも高く、はるか彼方の山へと続く。
ただただ、そんな山にいる事の喜び、歩く事の楽しさは
これで終わりを告げた訳ではない。
決して高い山でなくても良い。
山は力を与えてくれる。
そこに山があるから登るのではなく
山が私の大事な場所だから登る。
四季を感じ、
大地を踏みしめ
空に近づく。
それが私の生きがい、そして夢の序章でもあるから。