雲の切れ間からは
ちょっとだけ薄日が差しそうな気配。
早朝までの夜勤務を終え
残業などにならぬよう
逃げ帰るように帰宅。
家では朝食を待ち詫びる
母親の面倒を一通りこなし、
それから慌てて会場に向かう。
夏の節電対策以来、シフト制の勤務を敷かれ日曜日に休めなくなる事の
多い今はレースを走るのにも一苦労。
スタート時間ギリギリに会場到着では走る準備もままならず
ましてや今回の「上州太田スバルマラソン」はスタート位置も
最後尾近くにおいやられてしまった。
皆、かなり前から良い位置を
キープする為に並んでいるのだから。
諦めろと心の中では自分に
言い聞かせているものの、
いざスタートを切ってしまえば、
根っからの貧乏性が
首をもたげてしまい
せっかく走るのにいい加減に走ってはもったいないと、
何時しか本気モードへと心移りしてしまう。
しかし、並び順で後方に位置してしまうと、絶対といって良いほど
周りのペースで暫くは我慢の走りになる羽目となる。
果てしなく広々とした道路で開催される大会ならいざ知らず、
一般の道路や競技場からスタートすれば前を行くランナーを
かわして前に出ると言う事は、後方になればなるほど至難の業なのだ。
この日はそんな状態がかなりの長い距離続いてしまった。
スタート位置から遠く見えるプラカードには「120分」と書いてあった。
2時間か・・・などと周りを見渡すと、確かに良いフォーム、
速い足取りで走られている方はかなり少ない。
学生などが不真面目に
走っているような姿はなく
皆、真剣な表情で走っている姿は
とても好感が持てる。
そんな方々を邪魔だと
言わんばかりに急な進路変更等で
かわして行くのは
実に失礼なような気がして好きではない。
が、競技である以上、人より前に出たいのは当たり前であり、
ならば、開いた空間だけでも自分のペースで走るように
まるでインターバルトレーニングでもしているかのような走りになりながら
とりあえずできるだけタイムを稼ぐ。
しかし、そんな走り方ではたがが知れていて、1kmを7分弱。
3kmまでは少し取り返したと言っても、18分弱。
あまりにも遅いペースに我ながら愕然としてしまうのだ。
今日は全くアップらしいアップもしておらず、むしろこの位のペースで
走る方が怪我の防止とかの意味においては良いのかと
思ったのも確かなのだが・・・。
しかし幸いにもこの辺りから徐々に自分のペースに持っていけるスペースが
増えてきた事から、かなりの人数を後方に追いやれる。
気温と湿度が上昇したのか、
それとも無睡眠での
レース参加でなのか、
かなりの発汗。
相当暑さを感じていたのだが、
どうも私は走っている最中に
水分を採りたいという
気持ちになれず、給水所は全て素通り。
結果、そこでたむろしているランナー達は労せず抜きされるのだが
給水で息を吹き返してきたランナーとは、そこで良くバトルになったりもする。
この日も何時しか後ろに着かれたランナーが前方をふさぐランナー達を
利用して、私を追い抜いて行った。
が、その後それ程差もつかず、コーナーを内側で回った私が
更に前に出る事ができ、再びピタリそのランナーに着かれる。
それでも荒い息遣いをだんだん遠くに感じはじめ、振りきれたと
後方を確認せづとも感じる事ができた。
時には逆に私が振り切られることもあり、私にとって給水ポイントは
バトル勃発ポイントと言っても過言ではない。
ここまでの遅れを
取り返してきたなと
思ったのが、
再びスタート位置にもどり
同じコースを走る。
そこからゴールまで約5km。
が、ここからガックリと
スピードが落ちた。
こんなものである。
練習不足は自分の限界も分からず、ペースもイーブンを維持できない。
しかも、この日の大会は距離表示がはっきりしておらず、全くラップを
確認する事ができなかった。
こんな時こそGPS付きのウオッチでもあれば、周りや自分の不明確な感覚に
惑わせられる事も無く、正確に走れるというものなのだが、
機械に管理されながら走るのは私にとって本位ではない。
たとえ失敗をしたとしても、感覚を大事にしてこそ自分本来の総合的な
走力ではないかと、昭和の時代の古き精神論的な呪縛から
抜け出せない自分でもある。
タイムはもうどうでもいいと思った。
この疲労がたまった足で
この先どれだけ粘れるかが
今日の最重要課題。
何時しか姿勢は乱れ、
前屈みとなれば
腿は上がらず
足の着地は踵からペタリと置くような感覚となる。
当然シューズにはグリップが存在するので、慣性の付いた足は
シューズの中で動く。
せめて少しでもバネが残っておれば、その違和感も軽減できるのだろうが
引きずるような走どりは更に悪化し、完全に足を鈍らせていた。
体幹、太腿、更に腹筋に筋力がかなり不足している感じだ。
何とか姿勢を保とうと腰や腿に手をやり、意識を深める。
そして腕振りをいつもより大げさに肘を引くというイメージ。
更に肩甲骨を引く、廻すというイメージに変えてみた。
また、開いた手のひらは幾分握り、開きすぎると判断した脇は
それでも、どうもアンバランスだ。
力が入りすぎている。
リラックスは足を幾分
スムーズに運ばせてくれる半面、
姿勢を崩させる。
ここはその双方の兼ね合いなのか。
そんな事を思いながらも、
何とか前を行くランナーを追え、そしてかわして行くことができている。
この辺のレベルならこれでも良いのだろうが、もっと上を目指すなら
全く物足りない。
もっとスムーズに、もっと華麗に、もっと強力に、走らなければ・・・。
今日は勉強の日であったなと、ラストの直線を全開で駆け抜けながら
そう思った。
惨敗であった。
ちなみに抽選会も、
ご他聞にもれず
今年も惨敗であった。
ちゃん、ちゃん~♪