「どうしよう・・・」
まだまだ喘息に苦しむ日も多く
朝方には必ずといっていいほど
激しく咳き込み、
その後も絡むたんと
真綿で締め付けられたような
苦しさに手を焼いております。
こんな時にフルマラソン。
やっぱりここは止めておくべきなのか、それとも様子を見ながらでも走るべきなのか、
まだ夜が明けない早朝に暫く一人悩んでおりました。
思い返せば喘息真っ盛りの頃、無理をして「河口湖マラソン」を走り、帰りの車中で
恐ろしい目にあって以来、どうもそのイメージから抜け切れません。
もし今回もそんな状況に陥ったら・・・どうしようと。
そんな気持とは裏腹に時間が経つにつれ、
天気は?
時間は?
食事は?
電車の時間は?
次第に走るほうに気持が傾いていく自分が可笑しいやら、呆れるやら・・・。
そうと決まれば身支度を整え、さあ出発。
「板橋cityマラソン」の“開催”です。
電車に揺られ1時間。
乗り物酔いの苦しみから
やっと解放され会場到着。
駅周辺、会場までの道には人が溢れ、
さすが日本を代表する
マンモス大会だと
感心する事然り。
逆に自分の心は
激しく萎えていきます。
なんといっても私は人込みが苦手で、電車の次には人込みに酔ってしまいました。
「もう、嫌だ、嫌だ」と、そればかりで・・・。
そんな時、友人のT君から着信。
会場にもう直ぐ到着するとの事。
助かりました。
と言うのも、ここに着てから走りたくない気持全開で、直ぐにでも逃げ帰りたく
なっていたのです。
自分にはこんな大勢の人の中で走ることは無理だと・・・。
しかしそばに誰かいてくれたならばそんな気持も吹っ飛び、揺らぐ気持を支えてくれる、
そう思えたのです。
それは正しくその通りとなり、
大勢の人の待つスタート位置に
愚痴を言いながらも
無事向かう事ができました。
ありがとう、T君、
今回の完走は君のおかげです。
感謝しています。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、
やっとスタートです。
会場は前日までの雨で相当ぬかるんでおり、ストレッチやアップのできる状態ではなく
数回の膝の屈伸だけで走り始め、当然スタートの渋滞もあり、それがアップ代わりの
ゆっくりとした走り出しとなりました。
1km地点でタイムを確認。
7分ほどかかっていましたが、フルマラソンの、しかもこれ程の人数ならば
それも仕方ありません。
だからといって決して走りにくいと言う事もなく、いたって普通の出足でした。
荒川の土手の中を走るこのコースはほぼ直線、21kmを行って帰ってくるという
単調なコースで、景色もさほど変わらず、応援もそれ程多くありません。
この時点においても自分の気持に火がつくことはなく、ただ淡々と人の波に
流されるだけのなんとも面白げのないレースが続きます。
フルマラソン、このレースは走る時間も長く、考える時間がたくさんあるため
色々な事が頭に浮かびます。
ただぼ~っとしていた走りの中で、目標がないというのは致命傷だと、
何をしにここまで来たんだと、自分との会話はやや心が上向いていきます。
実はこのレースを目標に昨年暮れからかなり頑張って練習を積んできました。
そう、あの駅伝までは・・・。
たぶん、大幅な自己記録更新は
決して夢ではなく、かなりの手ごたえも
感じていたのです。
だけど・・・。
この大会の参加を躊躇していたのは
そんな走りが無理となり、
いじけていたのかもしれません。
そんなことが次々と思い起こされ、
段々と自分の力、それまでの練習の成果を試したい気持になってきたのです。
折りよくこの時点で10km。
ここからは今の力からしてキロ5分がちょうど良いペースかと。
このペース、絶対に落とさず最後まで走りとおせたら合格、納得のレースとしよう、
そう思うことにしました。
予想通り、このキロ5分は呼吸は苦しくも、足には全く余裕があり
ばねも効かせて走れており、いつの間にか笑みまでこぼれるような
快調な走りになっています。
練習を全くといっていいほどここ一ヶ月もやっていないのに、実にスムーズな腕振りと
足の運びは何時しかスピードアップをねだってくるのですが、ここはガチのペース走の
練習の場だと自重。
そうこうしているうちに
「一路さ~ん」と声が聞こえました。
なんとT君のお母様がこの寒空の下、
応援に来てくださったのです。
嬉しかったなぁ~♪
ありがとうございました。
お風邪など引かぬよう、
もうご自宅にお帰りくださいと
念じていたのですが、なんと折り返してからのその時まで待っていてくださったのです。
ありがたくって。。。お礼の気持で手を合わせてしまいました。
30kmを過ぎたこの時点でもまだまだ足は快調、しかし相変わらず呼吸は
それ程芳しくもなく、からだに疲労を感じてきました。
そして残り10kmを切った頃でしょうか、とうとうやってきました、足へのダメージ。
ストライドは随分伸びなくなってきています。
しかし、ここでスピードを落としては意味がありません。
必死にしがみつきます。
前から落ちてくるランナーは皆苦しそうな顔。
当然私の顔も凄い形相にいなっているのだろうな、とか冷静に思えるのは
気持の上ではまだまだ健在の証拠でしょうか。
また、ここから更にスピードが上げられるようであれば、かなり効果的な練習が
できているのだと言う自信にもなっていたのでしょう。
が、やっぱりダメでしたね。
キロ5分を維持するのがやっとでした。
いやそれも相当苦しい・・・。
そして残り1km。
この1kmがこんなに長く感じた事は
ありませんでした。
遠くにゴールが見えてきているのに
いくら走っても近づいてこない
キツイ、キツ~イ、ラストです。
そしてゴール。
ゴール後にはたいした感慨もなく
スタスタと陣地に戻り、着替える頃には雨も降り出してきた事から早々に退散。
私のゴールまで待っていてくださったT君と食事をして帰ってきました。
ラップを確認すると、レース中の思いがそのままに残っていました。
~5km 27’52
~10km 25’15
~15km 24’48
~20km 24’56
~25km 24’56
~30km 25’09
~35km 25’01
~40km 25’08
~ゴール 10’43
3時間33分51秒(手持ちの時計で)でのゴールでした。
とっても上手く走れましたね。
とりあえずは合格と言ったところでしょうか。
ちょっとだけ嬉しい気持ちにもなれました。
でも、このコースは殆ど平坦で直線のコース。
とても走りやすく、風さえ吹かなければ
絶対にタイムの出るコースです。
しかも今回は天候にも救われました。
この位の走りでは
「大町アルプスマラソン」、「大田原マラソン」、「さのマラソン」のようなアップダウンの
厳しいコースでは全く通用しません。
もっとチカラをつけないとなぁ、と反省もした今回のレースでした。
ちなみに、給水、一度も採りませんでした。
良いのか、悪いのか、ハーフではよくあることですが、フルでは勿論初めての経験でした。
ちょっとお高い参加費になっちゃいましたね。