このままでは帰宅がかなり遅くなって
しまいそうな雰囲気。
それはさすがにヤバイと思い、
自宅に電話をかける。
すると奥方のかなり不機嫌そうな声。
しかし、大声援の為か
あまり声が聞き取れない。
「まっ、いいか、今はそれどころじゃない。ここで帰ったらここまで
熱く応援をしていた意味がなくなってしまう」と、電話の途中だったか
切れていたのかも分からぬまま電話をきっていた。
試合終了後、そんなことがあったことさえ忘れ
興奮覚めやらぬまま、ご機嫌で帰宅。
淋しそうなまなざしで私を迎えてくれるだけ。
きっと子供達を塾へと送っていったのだろう。
私はそんなことよりも明日に控えた
「所沢年の瀬マラソン」の出発の用意を
整えておこうと
走るために必要な(?)
それとも笑わせる為(??)に必要なのか
分からないようなアイテムを屋根裏部屋にある衣裳部屋(???)から
引っ張り出していた。
用意も程なく終わり、後は風呂に入り晩酌をするだけと
実に暢気に時間をやり過ごす。
そこに凄い剣幕の奥方がご帰宅。
何故そんなに不機嫌なのか訳も分からず、自治会での隣組に配った
回収物の行方などを聞くが、それは奥方をさらにヒートアップさせる。
さすがにその態度にこちらもムっとし、やり返す。
「何故、何故、何故、、、、、、、、、、、!」
完全に私は切れて、ランドリー用のかごを蹴り壊す!!!
結局、私の外出が気に入らなかったようで、暫し話し合うが私の気持ちは
どんなに時間を置いても冷める事はなかった。
仕事が運よく早く片付いた
その時間の3、4時間程度の外出だ。
しかも毎日々、恐ろしいまでの
ストレスを抱えて
からだには信じがたいような面積の
湿疹で苦しみ、
体重は激減するような、
そんな自分に少しでも
外の新鮮な空気を吹きかけてあげようと
そんな小さな私のわがままでの外出ではないかと。
マラソンの大会に出かける時にしたって、母親の世話を全て終えて
そして走り終えればとんぼ返り。
そんな自分の何処に非があるというのだ。
この時、翌日に控えた所沢は完全に諦めていた。
それどころか、「二度と走らない(怒)」と、宣言までしてしまった。
少し気分を鎮め入浴。
風呂のお湯に顔を突っ伏し、不覚にも涙に暮れていた。
それからと言うもの、私は一切走ってはいない。
よく考えてみれば、
私は私の事だけしか
頭になかったのだと。
奥方の事は勿論のこと、
子供の事も、
母親の事も、
全てにおいて自分本位での
考えでしかなかったのだろうと、この頃、強く思うようになっている。
それは自分に余裕がなかった、いっぱいいっぱいの状態でもあったのだろう。
今年中の会社での仕事が終わり、時間的に余裕ができてくると同時に
心も次第に冬の吹きさらしの中で身構えていたような固さが和らぎ
暖かな炎の空気に包まれているかのような気持ちにもなる。
「すまない・・・」
そう思う気持ちでいっぱいだ。
奥方に対して・・・
子供達に対して・・・
母親に対して・・・
それはあまりに自分の力のなさ
容量の少なさを表していた。
そういう現実を突きつけられた
“事件”であったのだ。
ひとりでは生きては行けぬ事、
家族があってこそ自分が存在する事、
それは今までにも何度も
感じていた事ではないか。
何故それを忘れていたのか。
「何故、何故、何故、、、、、、、!」と本来ならば、その事を忘れていた自分に
投げかけなければいけなかったことだったのだと。
とは言うものの、脱走は男の美学。
スポーツは私の生きる源。
ゴメンよ~、かあちゃん。明日から又、走らせておくれ~。
実に切り替えの早い自分がそこにいたのであった。
ちゃんちゃん♪
いつもお読みくださる皆様、コメントをくださる皆様、
今年も一年ありがとうございました。
来年も頑張って書き続けます。
本年同様、よろしくお願い申し上げます。
一路