「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

弁証法的行動療法

2007年06月24日 20時13分48秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
 「パーソナリティ障害がわかる本」に 人格障害の治療として、

 境界性パーソナリティ障害の 治療を中心に 述べられています。

 その中で、最も有効な 療法のひとつとして

 注目されているのが 「 弁証法的行動療法 (DBT) 」 です。

[ 参考記事: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45269689.html ]

 弁証法的行動療法 (DBT) では、

 完璧な愛情か 完全な絶望かというボーダーの人の 二分化された見方を、

 弁証法的に乗り越えていく、思考や行動を 身に付けていくのです。
 

 DBTの 中核的な戦略として、 「有効化」 と 「問題解決」 があります。

 一般にボーダーの人は 自己評価が低いため、

 自分のやったことは 悪いことだ,価値がない,意味がないものだという、

 「無効化」 をしてしまいます。

 それに対して 「有効化」 は、ボーダーの人の 行動や感情の中にある、

 プラスの側面や 意味を見出し、ポジティブな価値を 認めることです。

 適切な言動では ないかもしれないが、現状への適応として、

 本人にとっては意義がある と理解するのです

 全てを丸ごと受け止める 受容ではなく、部分的な肯定です。

 それは、全か無かの 二分化した思考を 是正していくことになります。

 自分の愚行の中にも 一分の理があった と知ることで、

 全面的な否定に 陥ることを免れるのです。

 
 受容的な 「有効化」 に対して、「問題解決」 は 変化を求めるスキルです。

 支持的なアプローチと、自分を変えるアプローチの

 バランスを取ることが、DBTの要となります。

 変化を助ける4つの技法があります。

(1)不測の事態への対処

(2)行動スキルトレーニング

(3)暴露に基づく技法

(4)認知の修正

 特に、自殺企図のコントロールに関する 「不測の事態への対処」 について、

 学習理論による強化と、消去の作業を 徹底して続けることが、

 長期的な問題行動の 改善につながります。

 自殺行動によって 相手を操作しようとする人に対して、それに応えてしまうと、

 短期的には良くても、長期的には 事態をさらに 悪化させてしまうからです。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕