( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/51068187.html からの続き)
「母を訪ねて三千里」 などのように、母親探しの 定番の物語ですが、
この作品には ロシア社会の様々な問題が 描き込まれています。
貧困,児童虐待,少女売春,人身売買まがいの 養子仲介業者の横行。
そんな中、少年たちは 彼らなりのルールに則って、したたかに生きています。
母親に会いに行く道中 ワーニャは、養子仲介業者に追われたり、強奪に合ったり、
また、人々の 優しい善意に触れたり、救われたりします。
すさんだ社会でも、人々の心は温かい。
映画は ワーニャの旅路を丹念に、リアルに追っていきます。
過度な演出はせず、ワーニャの健気な姿が 感動を誘います。
クライマックス、業者の用心棒に 追い詰められたワーニャは、
恐ろしいばかりの 勇気を見せつけます。
観ていて 身も凍る思いがしました。
さすがに用心棒も 心を動かされます。
それまで 眉間に皺を寄せながら、必死に苦難に立ち向かってきた ワーニャでしたが、
母親に出会ったとき 初めて、戸惑ったような、はにかんだような 笑顔を見せます。
想像力をかき立てる、秀逸なラストシーンには、目が潤みました。
この映画は、新聞に乗っていた 実話を元にしている、と知って驚きました。
2005年ベルリン国際映画祭で、少年映画部門グランプリを獲得し、
その後 42の国々で 32の賞に輝くという、快挙を遂げた作品です。