アメリカのブッシュ大統領が 暗殺されたら? という モキュメンタリー〔*注〕。
〔*注: 架空の事実や人物に 基づいて作られる、虚構のドキュメンタリー。〕
チェイニー副大統領など 実在の人物も、実名で 数多く登場します。
現職大統領が殺されるという ショッキングなストーリーのため、
世界中で賛否両論、アメリカでは 大幅に限定上映となった 超問題作です。
花に飾られた ブッシュの遺影も 映されるのですから、
現役の総理大臣が 死ぬ映画など、日本ではとても 考えられないでしょう。
映画が作られたのは 2006年ですが、
舞台は 2007年10月17日の 近未来に設定されています。
シカゴで 演説を終えたブッシュ大統領が 銃弾に襲われます。
架空のFBIや 犯人の妻に対する インタビュー,
フィクションの映像,実際のニュース映像などを 交えながら、
いかにも 事件が事実であるかのように 見せていくのです。
観客は 何が事実で 何が虚構の映像か 区別がつかず、錯覚しそうになるうち、
映画は 現実のブッシュの イラク政策などへの批判となっています。
アメリカに同調した日本も 人ごとではありません。
イスラムに対する偏見も あらわにされます。
この映画は、9・11以後の世界に対する 挑発的な警告でもあります。
下賤な趣味 という論評もありますが、
ガブリエル・レイジ監督の 緻密な取材と、徹底的に リアリティに拘った
演出と構成に裏付けられ、上質な作品に 仕上がっているでしょう。