「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

有給は真っ当な権利 -- 脱法行為の介護会社 (12)

2011年07月18日 21時31分33秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 話が前後しますが、 有給の件について もう一度記しておきます。

 僕の職場には、 今回の契約の対象になる 週3のパートは もう一人だけいます。

 ただ その人は年配の女性で、 無理をしてまで有給はいらない,

 働けるだけでいい (今まで他の所でも 有給をもらったことはなかった)

 という考え方です。

 僕が 労働基準法のことや、 有給はもらえるんだという 話をしても、

 その人にとっては 面倒なことのようで、 あまり積極的に 聞こうとしませんでした。

 僕は所長には、 その人に対して 有給は付くという説明を きちんとするよう、

 再三言っていました。

 しかし結局 所長は、

 「イナモトが 何か言っているようだが、 気にしてはいけない」 と言い含めて、

 これから有給がなくなる という説明しかしなかったのです。

 腰抜けの所長も、 とうとう 悪事の片棒担ぎになりました。

 その人は 無理に有給はいらないという気持ちで、 契約をしてしまいました。

 でも僕が  「無理にではなくて、 ただでもらえるのなら 欲しいでしょ?」

 と聞くと、  「欲しい」 と言っていました。

 雇い主が有給を支払う義務は 労働基準法39条に明記されており、

 支払わなければ違法で 罰則があります。

 しかし有給は、 従業員から申請して 初めて成立するもので、

 申請されなければ 支払う義務はなく、 罰則もありません。

 「間隔を空けた契約で 有給はなくなる」 という 説明を受けた人は、

 有給の申請をしなくなってしまいますから、 会社は支払い義務が 生じなくなります。

 従って “違法” にはなりませんが、

 この契約自体が成立しない  “脱法行為” なのです。

 労基法 (労働基準法) を 知らないことにつけ込んだ、

 詐欺めいた悪だくみだと思います。

 ただし、 契約書に 有給が付くということが書いてなくても、

 労働者が有給を申請をすれば、 雇い主は払わなければなりません。

 それが、 労基法に記してある 雇い主の 「義務」 であり、

 労働者の真っ当な  「権利」 ということなのです。

 なお、 有給が付くには、 半年以上 継続勤務をし、

 その間の 所定の勤務日数の 8割以上出勤していなければなりません

 また 申請の期限は2年間で、

 2年を過ぎると それ以前の有給は消えてしまうので、 気を付けましょう。

(次の記事に続く)
 
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