認知症と誤診されやすいものに、 うつ病と 「軽い意識障害」 があります。
うつ病の人は 受け答えが遅くなるので、
「こちらの言っていることが分からない」 と 誤って判断してしまいます。
日付や 今いる場所などを尋ねると、
認知症の人は答えられませんが、 うつ病の人は ゆっくり聞けば答えてくれます。
「軽い意識障害」 は 「ぼうっとしている」 と見えやますが、
肝臓や腎臓, 甲状腺など 身体に問題がある時に 起きやすいものです。
薬の影響で そういう状態になることもあります。
興奮して攻撃的になっただけで、 安易に投薬されるケースも 多いようです。
でも実は 接する側に問題があって、
腹を立てただけということも 少なくありません。
原因を突き止めれば、 薬がなくても治まることがあります。
この10年で認知症医療は 大きく変わったと言われます。
MRIやSPECT (脳血流を調べる) などの 診断技術の進歩もあります。
薬も 昨年までは1種類だけでしたが、 今年から新たに 3種類が出ました。
漢方の抑肝散 (よくかくさん) も 不安や興奮を押さえる 効果があります。
認知症の人には 穏やかな生活環境が必要ですが、 何かを伝えようとしているとき、
「やめて」 とか 「あとでね」 と軽んじられると、
不安や孤独を強くしてしまいます。
じっくり話を聞くなど、 正面から向き合う 姿勢が必要です。
歩き回る人は、 5~10分でも 一緒に外に出かけると 落ち着くでしょう。
認知症の人にとって、 自分が役に立たないという状況は、
大きな心の苦しみ, 悲しみになります。
家事の手伝いなど、 何か携われるものを 見つけることが大切です。
できないことに目が向きがちですが、 できることに目を向けましょう。
認知症の人の心の痛みに 耳を澄まし、 目を凝らすのが、 共感への第一歩です。
地域住民の支え会いも大切で、
趣味のグループやお茶会などの 活動を広げることが プラスになるでしょう。
〔 読売新聞より 〕