最高裁判決で反対意見を述べた 宮川光治裁判官は、 次のように言っています。
「精神的成熟度が、 少なくとも18歳を相当程度 下回っていることが、
証拠上認められるような場合は、
『死刑の選択を 回避するに足りる、 特に酌量すべき事情』 が
存在するとみることが相当である」
「被告は12歳当時、 母親の自殺や 父親の暴力で、
精神レベルが止まっているというのは 説得力がある」
「 『少年司法運営に関する 国連最低基準規則 (北京ルールズ) 』 は、
『死刑は、 少年が行なった どのような犯罪に対しても、 科してはならない』
としている」
「行為規範ができていない 少年の行為については、
刑法的に非難することは 相当でなく、
刑罰による改善効果も 威嚇 (犯罪防止) 効果も 期待できない」
「被告の人格形成や 精神の発達に、 何がどのように影響したのかや、
犯行時の精神的成熟度について、 審理を尽くすべきだ。
二審判決 (差し戻し審) は破棄しなければ、 著しく正義に反する」
一方、 金築裁判長は、
「精神状態が 18歳を下回っているかどうか、 客観的な基準や 調査方法はない」
と述べましたが、 少年の未熟さを どのように判断するか、
最高裁でも 意見が別れたことを物語っています。
司法福祉論の野田正人教授は、 今回の判決について 下記のように述べます。
「精神的な成熟が 遅れていたことに対して、 丁寧に吟味されていないなのが残念だ。
虐待による人格形成への影響を、
もっと 刑事裁判や少年審判の中で、 正当に評価していくべきだ。」
(次の記事に続く)
〔参考: 朝日新聞〕