(前の記事からの続き)
メンタライゼーションは 普通、 幼少期に徐々に 学んでいくものです。
子供は 自分の気持ちや考えを、
ミラーリング (鏡のように映し出すこと) の過程で 学びます。
例えば 子供が泣いていると、
親は 「悲しいの? どうして悲しいの?」 と聞きます。
親の質問と 子供への感情の関心によって、 子供の感情は 鏡に映し出され、
認められ (承認され)、 泣くことは悲しいことを意味すると 理解します。
感情を表す言葉が 与えられ、
誰かが 理解や関心を示してくれることを 理解するようになります。
子供が メンタライゼーションを完全に習得するには、 ふたつの初期段階を踏みます。
ひとつは 「心理的等価」、 もうひとつは 「見せかけモード」 です。
「心的等価」 の段階では 子供は、
他者は自分と同じで、 同じことを感じると 信じています。
他者や世界を、 自分の直接的な経験の 延長として感じます。
全てのことが 自分のこととして感じられるので、
圧倒されてしまうという 問題があります。
(そのために 次の段階があります。)
「見せかけモード」 の段階では、
自分の心理状態は、 外界や自分以外の心理状態と 完全に切り離されます。
全てのことが 非現実的に感じられます。
基本的には解離と同じで、 不快で孤独な体験です。
自分が実際に悲しくなくても、 悲しさがどういうことか 話すようなもので、
悲しさを 「試着」 することができます。
メンタライゼーションは、 このふたつの段階の バランスを保ちます。
自分の世界と外の世界は 繋がっていながら、 別のものでもあるのです。
〔 「境界性パーソナリティ障害 サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
(次の記事に続く)