イラク情勢については詳しくないのだが、『週刊金曜日』の最新号で連載記事「イラクの侵略者 ――イラクで起きていること」の見出し「発動された『サルバドル・オプション』」に目が引かれた。そして、暗鬱となった。
「サルバドル・オプション」とは80年代に米国が中南米の軍事政権や支配階級と結びついた上で反政府活動を弾圧するために用いたノウハウのことだ。中米エルサルバドル(この国の名前はスペイン語で「救世主」という意味なのだが、この国の存在を知る日本人がどれだけいるだろうか……80年代には、商社の現地法人「インシンカ社」の企業トップだった日本人がゲリラに誘拐されたという事件で一時は広まったと思うが、今となっては……)でノウハウを確立したのだが、中南米の歴史に少し詳しい管理人は、その原型は70年代に社会主義系の政府を確立した南米チリのアジェンダ政権を転覆させた時の米国政府・米軍の成功体験にあると思う。そして、80年代の中南米の多くの国で軍事政権が成立し、米国政府のバックアップのもとに、「サルバドル・オプション」を展開した。
どういうものかというと……反政府的な立場で言論活動を続けるジャーナリストや労働運動を率いているリーダーの家に、ある日、ナンバープレートのない黒のセダン車やワゴン車が横付けされる。そこから出てきたのは、警察でも軍でもない、素性はわからないがマシンガンなどで重武装した人々。その武装した人々(俗に「死の部隊」と呼ばれる)は、本人だけでなく、時には家族をも拉致し、拉致された人々は後日、無惨な死体となって発見されるか、行方がわからなくなる。かろうじて拉致をまぬがれた人々は、行方がわからなくなった家族について警察や司法当局に捜索を依頼するのだが、行方がわからなくなった人々は行方もわからないし、殺害された人々については誰が手を下したのかわからない。
そういうことが、80年代の中南米では結構起こっていた。チリでアジェンダ政権が転覆された軍事クーデターの直後も、フォークランド戦争前のアルゼンチンでも、何万人もの人々の行方がわからなくなった。南米で言えばコロンビアやペルーやボリビア、中米ではエルサルバドルやグァテマラやホンジュラスや革命前のニカラグアでも、同様なことが起こった。それが、管理人の人権問題への関心を高めるきっかけだった。
中東情勢は中南米以上に複雑で、管理人には体系的に分析して自説を語る力はない。しかし、「サルバドル・オプション」が発動されていると聞くと、関心を持たずにはいられない。
「サルバドル・オプション」とは80年代に米国が中南米の軍事政権や支配階級と結びついた上で反政府活動を弾圧するために用いたノウハウのことだ。中米エルサルバドル(この国の名前はスペイン語で「救世主」という意味なのだが、この国の存在を知る日本人がどれだけいるだろうか……80年代には、商社の現地法人「インシンカ社」の企業トップだった日本人がゲリラに誘拐されたという事件で一時は広まったと思うが、今となっては……)でノウハウを確立したのだが、中南米の歴史に少し詳しい管理人は、その原型は70年代に社会主義系の政府を確立した南米チリのアジェンダ政権を転覆させた時の米国政府・米軍の成功体験にあると思う。そして、80年代の中南米の多くの国で軍事政権が成立し、米国政府のバックアップのもとに、「サルバドル・オプション」を展開した。
どういうものかというと……反政府的な立場で言論活動を続けるジャーナリストや労働運動を率いているリーダーの家に、ある日、ナンバープレートのない黒のセダン車やワゴン車が横付けされる。そこから出てきたのは、警察でも軍でもない、素性はわからないがマシンガンなどで重武装した人々。その武装した人々(俗に「死の部隊」と呼ばれる)は、本人だけでなく、時には家族をも拉致し、拉致された人々は後日、無惨な死体となって発見されるか、行方がわからなくなる。かろうじて拉致をまぬがれた人々は、行方がわからなくなった家族について警察や司法当局に捜索を依頼するのだが、行方がわからなくなった人々は行方もわからないし、殺害された人々については誰が手を下したのかわからない。
そういうことが、80年代の中南米では結構起こっていた。チリでアジェンダ政権が転覆された軍事クーデターの直後も、フォークランド戦争前のアルゼンチンでも、何万人もの人々の行方がわからなくなった。南米で言えばコロンビアやペルーやボリビア、中米ではエルサルバドルやグァテマラやホンジュラスや革命前のニカラグアでも、同様なことが起こった。それが、管理人の人権問題への関心を高めるきっかけだった。
中東情勢は中南米以上に複雑で、管理人には体系的に分析して自説を語る力はない。しかし、「サルバドル・オプション」が発動されていると聞くと、関心を持たずにはいられない。