日系外国人の多くが解雇され続けている。私の依頼人の日系人の半数以上の方々も、この例外ではない。しかしながら、幸いにも殆どの方々は雇用保険に加入しているので、直ぐに生活に困ることはないようである。それでも、失業保険の給付が終わった時点で、新たな職が見つからなければ、彼等も生活に困窮するかもしれないのだ。
そうなると、雇用調整弁として失職していた、或いは、これから失職するであろう10万人~20万人の日系人達は、日本での生活を諦めて、おそらく今年中に取り敢えず一時帰国するはずである。
ところが、この世界同時不況は、永久に続くはずは無いのである。来年か再来年、或いは、3年後には、少なくとも今よりは多少は良くなるであろうと想像される。 ところが、3年後2012年の15歳~64歳までの就労者人口は、昨年末よりも約235万人も減ってしまう事が人口統計上確定しているのである。つまり、景気が多少なりともこのまま悪くなり続ければ、この就労者人口減少による人手不足は起こらないが、少しでも回復期に突入した途端、一気に人手不足となるのである。
私の予想ではあるが、3年後の2012年から一気に人手不足となり、生産現場の時給は2千円を越える水準にまで一気に上昇すると想像している。そこで、再び日系人達が大挙して再来日してくるのだが、自動車業界から解雇された苦い経験が記憶に新しい日系人達は、おそらく自動車業界で勤務をしたがらない者が多いと想像する。
そうなると、時給は2千5百円~3千円とうなぎ登りに上がり続け、財界からの凄まじい悲鳴が上がり始めると共に、経産省を主導とした、アジア系外国人単純労働者100万人~200万人を、3年間を限度として出稼ぎ就労を認める時限立法が、急遽国会に提出されるかもしれないのである。
彼等日系人に対して、私が今出来ることと言えば、アドバイスだけである。
「もし、長期に渡って職が見つからなければ、物価の安いあなた達の国に帰って待機した方が良いと思う。」
「そして、遅かれ早かれ、日本では必ず人手不足となるであろうから、その時に戻ってくれば良いと思う。」
こんな私からのアドバイスでは、実際の辛い生活に対しては、ほんの気休めに過ぎないかもしれない。でも、日本社会の底辺で、長年陰ながら支え続けてくれた彼等にとっては、この言葉は僅かばかりの希望のようである。彼等は私の話を聞き終わると、誰しもが目を輝かせるのである。
「但し、もう時給が高いだけの理由で、派遣や請負の仕事は勤めない方が良いと思うよ。できれば、正社員として雇用してくれる会社に勤めた方が良いと思うんだ。今回の事で、学んだでしょう!」そう、付け加えることも忘れない。
それが、今の私に出来る、唯一の事なのだから・・・。