昨日19日、東京都行政書士会国際部主催の研修会が、東京入管警備部門の統括審査官2名の方々をお迎えして行われました。かつては、全く部外者との接触を避けていた警備部門ではあったのですが、元国際部長榎本先生などのご尽力で、毎年どなたかにご講演頂くようになった経緯があります。
この入管警備部門とは、外国人にとっては警察とまったく同じのような組織なのです。ですから逮捕勾留と同じ収容という措置ができるのです。いや、場合によっては検察官、裁判官も兼ねる(こちらは主に審査部門、審判部門が担当しているのですが・・・)ような、ある意味では強大な執行権力を持つ行政組織でもあります。
例えば、昨今新聞報道などで話題となっている中学1年生のカルデロン・ノリコさん一家の場合、最高裁で棄却され原告側の敗訴が確定していますから、法律上は家族全員が退去強制処分となっても、なんら不思議はありません。しかし、東京入管は、再審情願という入管法ならびに諸法令のどこにも明記されていない手法(実は、私もかつてこの再審情願に一度だけ関わったことがありましたが・・・)を使って、ノリコさんのみを、ある意味では超法規的な措置を採ったのでありました。
こういった措置は、既にポピュラーになった在留特別許可(入管法50条)でも基本的には同じで、恩恵的な措置とされています。ですから、入管局(名目上は法務大臣ですが・・・)には、行政手続上では、こと外国人の在留に関しては、裁判官、検察官並の権限のある強大な組織でもあるのです。
しかし、国内外のマスコミの多くは、未成年者であるカルデロン・ノリコさんのみしか在留許可を出さなかった事に非難する論調が多数を占めているようです。それを、やはり入管職員の方々の多くは気にされているようです。
ノリコさんの許可された”特定活動”という在留資格から想像するに、基本的には永久に更新可能で活動制限の無い”定住者”という在留資格と違い、学業を断念した場合、更新を認めない特定活動という在留資格を許可した入管局側のスタンスが読み取れます。
それでも、入管局職員の方々も人間ですから、世間から悪者呼ばわりはされたく無いと思うのは当然の事だと思います。それが、今回の講演者の方々からのお話しの節々から時々伺うことができました。カルデロン・ノリコさんのご両親が帰国される4月13日までに、急遽ご両親に在留許可が下りる、なんてウルトラCのような話もありうる組織。これが入管局なのです。
ちなみに、入管局では今般の日系ブラジル人、ペルー人達が、失業によって在留資格の更新が出来ないと思い込んだり、経済上の理由で更新手続きができなくなった者達が大量に出ることを危惧しているようです。
そんな解雇された南米系日系人達への救済措置として、在留特別許可や特別受理で対応しようとしているように感じました。
もし、こういった日系人の方々が身近にいらしたら、このように勘違い、或いは、経済上のやむを得ない事情で、在留資格が失効してしまった方々に対して、適切な情報提供をして頂ければ幸いです。