今から34年前1975年6月18日、まだ成田空港が無く、羽田空港が国際空港であった時代、一人の無謀な青年はメキシコへ片道切符だけで旅立って行った。争いのない自由な世界を求めて。でも、そこには、もっともっと矛盾だらけの世界が広がっていたのだった。
その青年は、7年後に再び日本の地を踏んだ。しかし当時の社会は、その変わり者を容易には受け入れてはくれなかった。青年は、必死に社会に馴染もうとした。でも、馴染めば馴染むほど、青年には窮屈で退屈な社会に思えてきたのだった。
そして、青年は4年後、再び日本から遠い世界に旅立って行った。しかし、それは争いの無い自由な世界を求めた旅ではなかった。むしろ、争いがある世界を求めて旅立ったのかもしれなかった。