行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

癌と闘うある中国人と、そのご家族の来日査証(シリーズ 第19回)

2009-03-14 01:38:41 | 行政書士のお仕事

 あるIT企業に勤める中国人の方の個人的な相談に乗っています。数年前に、そのIT系企業から、新卒者として採用したいと依頼され、私が手続きした中国人の方です。

 ところが、一昨年、就職したばかりなのに、癌に冒され長期休養を余儀なくされた、まだまだ若い中国人の方です。年齢で言えば、私の娘のような方です。その方のお母様(私よりも若い)が、来日する為の査証を中国で申請したところ拒否されたというのです。

 「一体どのような申請をしたのですか?」

 提出した申請書類や添付書類の写しを見て、その原因が即座に分かりました。

 「日本でのお母さんの滞在スケジュール表、全部嘘のように見えますが・・・」と私。

 「会社の人達が、みんなで考えてくれて書いた内容なのですが・・・」

 「でも、この滞在スケジュール、どう見ても嘘に見えますよ!それが原因だと思いますが・・・」

 「お母さんは、あなたの病気のことが心配で、日本でどのように働いて、生活しているかが知りたいのではないのでしょうか?」

 「そうです。お父さんも、本当は日本に来たいのですが、仕事の関係で中々休めないのです。」

 「だったら、この様に観光ばかりの嘘のスケジュール表ではなく、ありのままの日程表、つまり、XXさんの家で家事を手伝うとか、XXさんの勤務先を実際に見に行くとかを、正直にありのままを書いたら良いじゃないですか!」

 「お母さんやお父さんは、病気にも関わらず、日本で働いているあなたの事が毎日毎日心配なのですよ。年齢的に私も同世代ですから、お母さんやお父さんの気持ちが良~く分かるのです。病気のあなたが、日本でどのような会社に勤めているのか。会社の人達はどのような人達なのか。あなたがどのような所に住んでいるのか。今通っている病院の医師は大丈夫なのか。友達はどのような人達なのか等々、心配する事は山ほどある筈ですよ。」

 「正直にXXさんが、癌で手術をした事。それでも日本に戻って来て引き続き働いている事。それを中国のご両親がとても心配している事。ご両親はあなたの日本での生活状況をこの目で見て、確認したいと思っている事等々を正直に書いて下さい。そして、これらの事を裏付ける資料として、医師の診断書などを適宜添付して下さい。病気にも関わらず、外国暮らしを続けている娘の様子を、実際に見てみたいと思う親心は世界中皆同じですから。」

 そうして、準備し直した査証申請書と添付書類を見せに、昨日再び事務所に来たのでした。数々の添付資料の中の診断書には”XX癌、肺転移”と書かれてありました。決して簡単な病状では無いようです。そんな彼女の重篤な病状に心配をしない親など居ない筈は無いのです。おそらくご両親は、彼女に日本へ戻って欲しくなかったのであろうと私は想像します。でも、もしもの事があればと、彼女のご両親は娘が大好きな日本に再び行かせてあげたのだと私は想像しています。

 そんな娘が、日本でどうやって暮らしているかを、確認したいと思わない親は居ないと断言できます。人道的見地からも、彼女のお母様の短期滞在査証を是非発給して頂きたいものです。もし、日本総領事館の方々が、人並みの心をお持ちであるのならばの話ですが・・・。 

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リストラという言葉の本来の意味とは!

2009-03-10 01:50:00 | 社会・経済

 化学製品の東レ(TOREY)、テイジンや化粧品のカネボウといった会社名は、皆さんご存じだと思います。では、これらの会社の昔の会社名をご存じでしょうか?

 東洋レーヨン、帝国人絹、鐘淵紡績です。えっ!変な名前と思う方は、お若い方でして、私以上の年代の方々なら皆さんご存じの筈なのです。人絹とは人造絹糸、つまりレーヨンの事です。

 そう、これらの会社はもともと繊維会社だったのです。繊維業界は、かつては花形産業でメイドインジャパンの象徴でもあったのですが、アジアの後発の国々の追随と円高をあおりを受けて存続できなくってなってしまった産業だったのです。

 それは、もう今の企業のような苦しみどころか、存続すら難しい倒産寸前の企業経営環境だったのです。そんな危機的経営環境にあって、事業の再構築(Re-structure)・再編成の一環として、東レは化学製品部門、特に淡水化プラントや家庭用の浄水器の中空紙フィルター技術では世界的に企業になった訳です。テイジンも同様で、カネボウでは化粧品事業という独自の路線に進んで再構築を果たしたのでした。

 こういった、不採算事業を転換して、新たな事業を編成するという企業手法のことを、本来はリストラクチャリング、略してリストラと言った筈なのですが・・・。

 この東レの元社長で名誉会長、経団連の副会長を務められた前田勝之助さんのインタビューが3月8日付の朝日新聞に掲載されていました。

 同氏曰く、「我々は今回のような不況をこれまでも経験してきました。そのため雇用をどうしたらいいのか、30年以上前から考えてきた。国際競争だから、リストラはやる。ただ、一緒に働いた人の生活環境は守るということだ。」

 東レには、”人事開拓室”なる部署をもうけたり、殖産会社という子会社を作って、不況時に退社させた社員に介護や園芸など地元の需要に合わせて仕事を担って貰っているそうです。仕事の百貨店で、現在約3千人いるそうですが、以前の給料の8割は確保されているようです。特に、この人達は、逆に景気が良くなれば、真っ先に工場に戻って貰う人達、つまり予備役のようなものであるために、東レでは派遣社員は採用してはいないのだそうです。

 アメリカ型の経営のように、必要が無くなれば人員を減らす経営であれば、足し算引き算ですから馬鹿でも出来ます。それが、技能の伝承という観点や雇用の維持という企業が持つハンディキャップがあるからこそ経営が難しいと思うのです。こういった、大前提なしに、子供の足し算引き算のようにポンポン解雇できる企業社会になっている昨今の企業経営のあり方には、末期的な症状になっていると言わざるを得ません。

 「すべては、企業は人であるという考えから来ている。大企業の社会的責任は法令遵守と雇用の二つが重要だ。」と前田さんは言う。当たりまえのフレーズなのだが、それこそ未曾有の繊維不況を実際に乗り越えて、30年以上も前に、実際に数多くの労働者の雇用を守った経験のある経営者の言葉はとても重いのである。

 事業を再編成・再構築するリストラという言葉を、実質”人員解雇”という意味にすり替えてしまった今の多くのにわか経営者に反省を促したいと思う。

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5,000分の5のケースとは・・・

2009-03-06 02:04:40 | ちょっと一言!

 3月3日付け朝日新聞夕刊の記事によると、同日付で佐賀地方裁判所は、警察署員1人について、特別公務員暴行陵虐罪で審判に付す決定を下したそうです。

 この事件、2007年、知的障害者の安永健太さんが複数の警察署員らに取り押さえられた直後に死亡したという事件で、検察官が不起訴処分にした為に、ご遺族が特別公務員職権乱用等致死罪で地裁に付審判(ふしんぱん)請求していたのだそうです。

 この付審判請求ですが、過去20年で全国で5千件以上の申し立てがあったそうですが、裁判をする付審判決定が出されたのは、たったの5件だけという、大変珍しいケースなのだそうです。この場合、裁判所は検察官役を務める弁護士を選んで、刑事裁判と同様な審理が行われるのだそうです。

 時として、「不起訴不当」といった画期的な勧告している検察審査会の存在は知っていたのですが、裁判所による付審判なる制度があるとは全く知りませんでした。

 とはいえ、5,000分の5、つまり0.1%しか決定が下されない有名無実の制度であっては、折角のこの素晴らしい付審判制度が泣いていると思うのです。

 行政不服審査が実体として機能していない現在、司法判断である行政訴訟にしても、どうしても行政部門に対して遠慮しがちな判決が多いような気がする今の裁判所の姿勢から、このように行政側の瑕疵を積極的に正す制度に、裁判官はもっと積極的に踏み出して欲しいと思う次第です。

 ちなみに、検察審査会の制度を見習って、行政官自身による不服審査ではなく、一般の人々から無作為に選ばれる行政審査会制度でも作ったら良いと思うのです。私個人としては、裁判員制度よりも、この行政審査会の一般市民参加の方が余程興味があるのですが・・・、皆さんのお考えは如何でしょうか?

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今、できる事だけでも・・・

2009-03-04 11:15:14 | 日系人について

 日系外国人の多くが解雇され続けている。私の依頼人の日系人の半数以上の方々も、この例外ではない。しかしながら、幸いにも殆どの方々は雇用保険に加入しているので、直ぐに生活に困ることはないようである。それでも、失業保険の給付が終わった時点で、新たな職が見つからなければ、彼等も生活に困窮するかもしれないのだ。

 そうなると、雇用調整弁として失職していた、或いは、これから失職するであろう10万人~20万人の日系人達は、日本での生活を諦めて、おそらく今年中に取り敢えず一時帰国するはずである。

 ところが、この世界同時不況は、永久に続くはずは無いのである。来年か再来年、或いは、3年後には、少なくとも今よりは多少は良くなるであろうと想像される。 ところが、3年後2012年の15歳~64歳までの就労者人口は、昨年末よりも約235万人ってしまう事が人口統計上確定しているのである。つまり、景気が多少なりともこのまま悪くなり続ければ、この就労者人口減少による人手不足は起こらないが、少しでも回復期に突入した途端、一気に人手不足となるのである。

 私の予想ではあるが、3年後の2012年から一気に人手不足となり、生産現場の時給は2千円を越える水準にまで一気に上昇すると想像している。そこで、再び日系人達が大挙して再来日してくるのだが、自動車業界から解雇された苦い経験が記憶に新しい日系人達は、おそらく自動車業界で勤務をしたがらない者が多いと想像する。

 そうなると、時給は2千5百円~3千円とうなぎ登りに上がり続け、財界からの凄まじい悲鳴が上がり始めると共に、経産省を主導とした、アジア系外国人単純労働者100万人~200万人を、3年間を限度として出稼ぎ就労を認める時限立法が、急遽国会に提出されるかもしれないのである。

 彼等日系人に対して、私が今出来ることと言えば、アドバイスだけである。

 「もし、長期に渡って職が見つからなければ、物価の安いあなた達の国に帰って待機した方が良いと思う。」

 「そして、遅かれ早かれ、日本では必ず人手不足となるであろうから、その時に戻ってくれば良いと思う。」

 こんな私からのアドバイスでは、実際の辛い生活に対しては、ほんの気休めに過ぎないかもしれない。でも、日本社会の底辺で、長年陰ながら支え続けてくれた彼等にとっては、この言葉は僅かばかりの希望のようである。彼等は私の話を聞き終わると、誰しもが目を輝かせるのである。

 「但し、もう時給が高いだけの理由で、派遣や請負の仕事は勤めない方が良いと思うよ。できれば、正社員として雇用してくれる会社に勤めた方が良いと思うんだ。今回の事で、学んだでしょう!」そう、付け加えることも忘れない。

 それが、今の私に出来る、唯一の事なのだから・・・。

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