一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『僕は君たちに武器を配りたい』

2011-12-15 | 乱読日記

京都大学で産学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授(長い肩書・・・)として学生に資本主義の仕組みや起業について教えている著者が、これから社会人になろうとする学生に向けて不景気・就職難野中で生き延びる方法について記した本。
タイトルや装丁は奇抜ですが、内容は非常に真っ当な本です。

高度成長期のように大企業に就職したり医者や弁護士などの資格を取れば安泰という時代はとうの昔に過ぎているという世の中の実情を説明しながら、世の中で生き抜くために必要な心構え・考え方を説いています。

世の中の実情の部分は僕自身もよく話すネタとかぶっていたりもするので「なるほど、こういう語り方をすればいいんだ」などと考えながら一気に読めました。

自分が勤める会社に、働かないうえに新しい発想もなく、社内政治にだけは長けた、既得権益を握って離さないオジサンたちが居座って甘い汁を吸っている。そう感じるのならば、本書で述べたように自分の会社をぶっ潰すためのライバル企業を作ってしまえばいいのである。自分の会社が本当に不合理なシステムで動いているのであれば、正しい攻撃をすれば必ず倒せるはずだからだ。 

人生は短い。愚痴をこぼして社長や上司の悪口を言うヒマがあるのなら、ほかにもっと生産性の高いことがあるはずだ。もし、それがないのなら、そういう自分の人生を見直すために自分の時間を使うべきだ。  

この辺は、オジサンの身としても心すべきだと思います。 
若者の攻撃ぐらいで簡単に甘い汁は渡さないぞ、と(違うだろw)


本書では今後社会に出て行く若者に必要なものとして、資本主義の世の中の仕組みをきちんと理解した「投資家」的発想の重要性を説いています。
「投資家的」と言ってはいますが、いきなり「投資家になれ」とか「起業しろ」というわけではなくあくまでも考え方の枠組みの話です。

目次だけ見ると抵抗感を感じる人もいるかもしれませんが、著者はコンサルタントや投資の経験や実際に起業についての授業をしているだけあって、起業をするにはその分野が有望かどうかの分析が重要で、さらにその業界での経験も必要と至極真っ当なことを言っています(このへん『〈起業〉という幻想 アメリカン・ドリームの現実』の指摘と同じですね。)。

やる気のある学生にはすぐに受け入れられると思いますが、本当は「だって俺/私京大生じゃないもん」と思ってしまう学生こそ読んだほうがいいように思います。

書き方のトーンはきつい部分はありますが、実際の世の中はそれ以上にきつかったりするので・・・

コメント
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