bizlaw_styleさん経由。
「あるある」とニヤリとしながら楽しむもよし、「高級社畜」の参考書としても役に立ちます。
本書は東京大学公共政策大学院初代院長をつとめ、現学習院大学法学部政治学科教授の森田朗氏が、政府の審議会の委員や座長を多数つとめた経験から、政府の審議会の運営の実態や会議運営のノウハウについてエッセイ風にまとめたもの。
第一章の「会議の政治学」は会議運営の手続きと手法について、第二章「会議の行政学」が事務局の役割と行動について、第三章「会議の社会学」は世論やメディア対応について、と、タイトルだけでなく細かいところまで(ちょっと乾いた)ユーモアが行きわたっています。
さらにご丁寧に巻末に索引(これもネタだと思う)までついているので、作者の意図を考えながらこちらを先に読むのもいいかと。
内容も、委員のタイプを「バランス配慮型」「自己主張型」「自己顕示型」「専門閉じこもり型」「理念追求型」「無関心型」「拒否権行使型」の7つに分け、毒にも薬にもなりうるそれぞれのタイプを扱い、配合するコツを語っていたりと、政府の審議会に興味がない人でも、会議全般に通じる知見・分析は企業などでも参考になります。
そして、座長に求められる資質を語っている部分
諮問した役所の意向・・・を重視しすぎると「隠れ蓑」批判を招くことになるが、・・・で述べたように、そもそも答申を受けた役所が実施できない、あるいは実施する気になれないような答申を出しても、せっかく出した答申が画餅に帰すことになりかねない。実行可能性のある提案をするには、座長は単なるまとめ役だけではなく、それなりの考え方を持っていなくてはならない。かつ、役所の言いなりにもならず、一定の見識を示すことが大切である。
「諮問した役所」を「上から降りてきたお題」、「隠れ蓑」を「茶坊主」や「社畜」と言い換えれば企業にも共通しますね。
その意味では、組織人全般への参考書としても有用かと思います。