週末、花見がてら東京ミッドタウンで開催されたG-tokyoに行きました。
先週末は六本木アートナイトとして、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、
新国立美術館、そして交差点周辺の商店街がまとまったイベントもやってました。
G-Tokyoは複数のギャラリーが出展するアートフェアで、本来はコレクターが対象なのですが、私を含め購入を検討している風な人よりは見物の人が多かったという印象でした。
その中で目立って購入客が多かったのが、ヒダリジンガロという陶芸のギャラリー。ギャラリーというよりは皿やカップなどの小物中心で、一点数千円なのでけっこう買っている人がいました。
ただ、アートフェアの中ではの陶器雑貨店という感じで、他の現代アートのギャラリーに並んで出展しているのは異色だったのですが、ここは村上隆率いるカイカイキキがプロデュースするアート雑貨店でした。
村上隆といえば、以前NYのギャラリーで作品が数億円の値段がついて有名になりましたが、ルイ・ヴィトンとのコラボや六本木ヒルズのキャラクターデザインなど自分の作品や他のアーティストのプロデュースなどを積極的に手がけ、現代アートをビジネスとして成立させようとしています。
そのことについて日本では「商業主義」という批判も多いようですが、反面、現代アートの市場は欧米のギャラリーが主導していて、日本の存在感が薄いという事情があるようです。
もともと米国の美術館は個人のコレクションが元になったものが多く、定期的に資金集めをしたり作品の寄贈を募って収集品を増やしてきた反面、
日本は明治以来公設の美術館がお上の予算で収蔵品を購入するという形だったので(さらに税制の違いも大きいようです)「マーケット」「富裕層のお金を取り込む」という感覚が薄いという伝統も影響しているようです。(このへんについては以前ちょっと書きました)
「ブリヂストン美術館」「山種美術館」「ポーラ美術館」などはありますが、創業者の蒐集品+企業のバックアップからは出ていない感じがあります(誤解だったら失礼)
一方で、現代アートについてはArt BaselとFrieze Art Fairが世界の二大アートフェアと言われているようですが、
Art BaselはスイスのUBS銀行、Frieze Art Fairはドイツ銀行のそれぞれプライベートバンク部門がスポンサーになっていて、富裕層の資金を取り込む仕組みができているようです。
(同時期に東京国債フォーラムで開催されたアートフェア東京はFrieze Art Fairの系列だそうです。)
さらに最近は、1月に開かれたArt Stage Singaporeなど、香港・シンガポールがアジアの富裕層の資金を取り込もうと現代アートの中心として名乗りを上げているようです。
「クール・ジャパン」と言いながら「ものづくり」はするものの流通市場を押さえられて利益に結び付けられない、という風にはならないように願いたいものです。
その意味では、上のヒダリジンガロも、アートフェアの中で作品をマネタイズできるのは画廊でなく雑貨屋のほうだ、という日本の現代アートの現状に対する批評性をもっているという意味で、ひとつの出品作といえるのかもしれません。