一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ふぞろいな秘密

2006-12-13 | 法律・裁判・弁護士

たまにはタイトルで釣ってみましたw
本題は企業の秘密の話です。

個人情報保護法の施行前後は「委託先の監督義務」とやらで、取引先に対して「なんでもかんでも秘密は漏洩するな、万が一漏洩したらただじゃおかないぞ」という若い弁護士が全国共通模範答案風に作ったような契約を締結しろ、というプレッシャーがかけられていました。

そもそもそんな包括的かつ一方的な契約を一律で取引先に押し付けようとする企業自体(掛け声だけできちんと実効性ある情報漏えいの防止や秘密保持にまじめに取り組んでいないのではないかという問題はさておき)何かあったときにすぐ他人のせいにして理不尽な因縁をつけてくることが多いので、こういう契約書を提示された場合の反論としては「何が秘密なのか具体的に定義しましょうよ」というのがあります。

未公表の新製品のデザインとか、ワクチンの母株のDNAコードとか、特殊な部品の発注仕様書とか入札の価格とかはあきらかに秘密ですが、事務所の壁に貼ってある社内イベントのお知らせなどまで秘密情報なのかよ、ということです。
たまたまその会社の役員さんの虫の居所の悪い時に「○日は御社は忘年会ですからご都合悪いですよね」などというと、「何で会社の内部情報を取引先が知ってるんだ」などというカミナリが社内に落ちたりして、で、大体そういう契約書を作るような会社は上からのプレッシャーがそのまま伝わってくる事が多いので「契約違反」などと言われるのは面倒この上ありません。

また、会議室に入ったら前の打ち合わせで使ったホワイトボードが消してなかったなんてのも、こっちの知ったことじゃないわけで、少なくとも「委託者が秘密として管理しているものに限る」というような限定も必要です。

まあ、訴訟になった場合に負けることもないだろうというような部分の細かい条項でゴタゴタするのもいやなのですが、「なんでもかんでも秘密」というような契約を提示する会社は一般的に弱い立場の相手には強硬な対応をすることが多いので。


オジサンはそこで昔の冷戦時代のソビエト連邦のジョークを思い出してしまいます。

ある男がモスクワの赤の広場で「フルシチョフの馬鹿野郎!」と叫んで15年の懲役になった。
15年の内訳は、国家元首侮辱罪で5年、国家機密漏洩罪で10年。


企業秘密もそうで、ビジネス上の重要な秘密をどう管理するかでなく「自分が気分が悪くなるようなことが起きたら文句が言える」というところに議論がずれているときがあるように思います。

同じ個人情報保護法騒ぎのときに、従業員から念書を取る、というのが流行ったことがあります。
ここで問題になったのが、派遣社員から念書を取れるか、ということで、会社と派遣社員は直接の雇用契約関係にないけど派遣業法には秘密保持義務がうたわれているから、派遣会社を通じて事前に申し入れればOKとか、でも職業選択の自由ともかかわるので覇権終了後までは拘束できないのでは、などという議論があったかと思います。

でもそもそもは、そんなに重要な秘密なら非正規従業者に任せなければいいだけの話なんですよね。


これですぐ「階層社会」という話になるのはいやなのですが、個人的には特に組織体であれば権限と責任と報酬が階層化しなければ機能しないわけで、問題は権限と責任と報酬のバランスが崩れているところにあるのではないかと思ってます。

なんかとりとめがなくなってしまいましたが、労働市場の需給バランスの話にまでなると(考えもまとまっていませんせし)長くなるので今日はこの辺で。


PS
ところで石原真理子の本ですが誰か知り合いが買ったら借りようかと思っていますw 

この本が名誉毀損になるかどうかは、事実だとしても公共性・公益性があるかというあたりが論点になるのでしょうが、その意味でDVとかパワハラ風な話を入れたのでしょうか、また書かれた本人が法廷の傍聴記などで再度さらしものになることを覚悟してまで訴えてくることもないというあたりは計算しているんじゃないかなどと漠然と思っています。

ところでワイドショーなどでは不倫相手を実名で公表するのは「掟破り」とか言われていますが、芸能記者はいままで「不倫疑惑」などとさんざん報道しているわけで、これは業際の侵害という意味で「掟破り」と言っているんでしょうかねぇ。

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