久しぶりの友からtelがあり つじ馬さんが亡くなったよ とのことです。
「つじ馬さん」なつかしい響きです。私が30代後半に 同じ職場で働いた元同僚の
あだ名です。
20歳ほど年上の彼は定年前で 若者相手に昼休みのひとときを 自身の経験や時に
若かりし頃の武勇伝を語り 人生の教訓を一席ぶつのが 毎度の十八番でした。
熱心に聞く者はおらず でしたが彼の人柄から うっとうしがる者もおらず 昼寝
や将棋タイムの BGMは演歌やね の雰囲気ただよう そんな昼休み風景でした。
まっすぐな人生を歩んできた彼は ずるいことやごまかしが嫌いで こんなことは
許されぬ の話の終わりには
「人間は つじ馬が合わんことをしたら いかんぜよ」 と〆を決める頃 昼休みも
終わる時刻となり 辻褄でなくとも意味は十分通じていたため だれもが訂正もせず
彼のあだ名は つじ馬さんでした。
死亡通知が新聞に載らず ご逝去も知らずいましたが 葬儀に参列した友が言うに
92まで生きたつじ馬さんは 私らづれの娘さんや 孫やらひ孫やら どっさりの
身内に見送られて だ~れも悲しむ者もおらんし 泣く者も もちろんおらん
昔 花束抱えた定年退職者を 職場から拍手で見送ったよね あの雰囲気やったわ
卒業式みたいに あんなに私も送られたいわ ええお葬式やった とのことでした。
競馬新聞さんから 名馬ディープインパクトの画を借りました。騎手は武豊氏です。
名馬 つじ馬号は 一足先に旅立った奥さまと もう会えたことでしょう。
今月初め NHKで第二章の放送があった 『老いてなお花となる』 で壮絶な役者魂を
見せた名脇役 織本順吉氏92歳の訃報が流れました。
同じときに生まれ 同じ時代を生き 奇しくも同じ桜の季節に 二人は旅立ちました。
ご冥福をお祈りします。