ばったりと 何十年ぶりかの知人に会いました。
お元気でしたか❓ のつぎに 彼が言いました。
「ご主人もお元気でしょう」「はい 元気にしております」
と答えてから 数十年前のやり取りが浮かびました。
初めて2人で彼の家へ行った時 出されたお茶を飲みながら
「割れ鍋に綴じ蓋でして・・」と話の中で彼が言いました。
すると夫が「割れた鍋に蓋をしても 使えませんからねぇ」
と言ったのです。 女房は顔が大火事になり下をむきました
それを聞いた彼は にこりともせず もちろん吹き出しもせず
「そうそう そうですよ」 と言ったのです。
「あのねぇ それとはちょっと ちがうと思うがね」
ともっと親しければ 彼は言ったと思います。それとも女房の
前で恥をかかせてはならんとの 大人の思いやりでしょうか。
お茶を出してくれた奥さんも元気とのこと。上品に年齢を重ねた
彼のうしろ姿を見送り 割れ鍋のもとへ 綴じ蓋は帰りました。