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月日は百代の過客にして行きかふひともまた旅人也。かの有名な俳人である松尾芭蕉の句の一文だが、学生時代の国語の教科書で目にした時はどう思ったのか自分でも覚えていないが、もうすぐ40歳になる僕には非常に考えさせられる一文だ。
僕みたいな若輩者が語るのも恐れ多いが、人生と言う時の流れを旅に例えるとは流石は歌う旅人である松尾芭蕉だ
今までの僕の旅の経過を振り返ると・・・欲望のまま生きていたことに気付く。これからの旅は如何なる誘惑が迫ってきても、それを振り払う精神的な強靭さを持って対処しなければと思う。
まだ自分は旅の途中であるが、旅が終りに近づく時どのような感想を持っているのだろうか?良い旅だったと思うのか、それとも苦しい旅だったと思うのか。
今回紹介する野いちごは、人生の終盤に差し掛かった老教授の他人に言えない孤独、悩み、苦しみを吐露した懺悔話
成功した人を見ると激しく嫉妬してしまう人には、心の落ち着く映画だと言えるかも
監督はスウェーデンが生んだ名監督のイングマール・ベルイマン映画史を語るときに絶対に外せない重要人物。
ちなみに彼の作品でも最も好きな映画は処女の泉。自分の娘が悲惨な殺され方をしたのを知り、しかもその娘を殺した人間が目の前に現れた時不幸な中にほんの少しの慰めを見出すことが出来るラストシーンは凄すぎ。
とにかくベルイマン監督の映画は宗教的な難解なテーマが付きまとうけれど、彼の描く人間には常に苦難が待ち受けているようにその描きかたに妥協がないのが凄い。
人生の晴れ舞台に立った男の苦しみを描いた野いちごを紹介します
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75歳(?)の老教授であるイサク(ヴィクトル・シュストレム)は今までの医学の発展の功績を認められ、自宅のストックホルムから翌日にルドンの大学で名誉博士の受賞式に臨むことになっていた。
その日、寝ている時に自分が棺おけに引きずり込まれる夢を見てしまう
イサク教授(シュストレム)は家政婦と電車に乗って行くつもりだったが、悪夢を見て動揺したのか義理の娘のマリアンヌ(イングリッド・チューリン)と一緒に車でルドンへ向かうことにする。ストックホルムからルドンへ向かう車の中でイサク教授(シュトレム)は今までの人生を振り返る。
周りの人から名士だと言われるイサク教授(シュトレム)の人生とはかつての恋人が弟から奪われ、今は亡き妻が愛人と出会っていたことなど過去の痛ましい出来事が思い浮かんでくる。そして息子とマリアンヌ(チューリン)の仲がうまくいってないことを聞かされたり、車の中で静かにしていたいイサク教授(シュトレム)の心情を脅かすように、自分とは世代の異なる男女三人組が途中から同車して来たり
ストックホルムからルドンまでの道中で出会う人々によってイサク教授(シュトレム)の心は空虚になっていき、夢の中では自分の若かりし頃の苦い思い出が彼を苦しめる。
そんな苦痛の旅であったイサク教授(シュトレム)の道中だったが、ついにルドンに到着し授賞式に向かうが・・・続きは映画を観てください
イングマール・ベルイマン監督の映画は何本か観ているけれど、彼の映画は宗教、死生観など日本人には難解な映画が多いと思う。彼の映画では第七の封印、鏡の中にあるが如く、沈黙、秋のソナタなど見ているけれど、1回観たぐらいではこれらの映画の良さは理解しにくいと思う(実際に鏡の中にある如く、沈黙は僕にはトンチンカン)。
しかし多くの映画には最初理解し合えない人間同士がやがてお互いを理解していくというストーリーの作品が多い中で、ベルイマン監督の映画での人間同士の衝突、あるいは人間神という衝突を激しく描く監督は珍しい部類に入ると思う。
それは今回紹介した野いちごにおいても同様であり、過去、若者たち、母、妻、義理の娘たちとの衝突が描かれている。
映画の構成は現実や幻が交錯して、フェリーニ監督の81/2のような作り方でややこしいかもしれない。しかし、人生の名誉を手に入れた人間の苦しみや葛藤がタイトルどおりの野いちごを心理風景に取り込んだ描写は傑作であり、観終わった後は良い映画を見たなあと感じる人が多いはずです
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