フランスの文豪スタンダールの1830年に刊行され、現在でも世界中に広く読まれている同名タイトル小説の映画化作品。愛と野望に生きる主人公である青年ジュリアン・ソレルを通して、ナポレオン没落後のフランスの上流社会の腐敗振りを徹底的に暴き出す、というのが原作では最たるテーマ。しかし、映画の方ではかなりメロドラマ色が濃い感じがする。
ちなみにタイトルの赤と黒の意味するところだが、赤は軍人を表わし、黒は聖職者を表わす。ジュリアン・ソレルを演じるジェラール・フィリップの衣装に注目すれば、タイトルの意味がわかるが、貧しい境遇で育ったジュリアン・ソレルが出世コースとして選ぼうとした職業が軍人になること、または聖職者の道を進むこと。貧しいなりに立派な職業に就こうとするのは良いことだと思うのだが、そんな彼の想いは、やがて上流社会に属する人間の貧乏人に対する『上から目線』に屈辱を感じ、次第に自らを滅ぼしていく様子が描かれている。
ちなみにジュリアン・ソレルのキャラクターだが、ナポレオンに憧れいて、顔は良くて女性からモテモテ、更に頭が抜群に良くて何の仕事をさせても秀才振りを見せ付ける。嫌味なキャラクターに見える人も居ると思うが、個人的には多くの共通点が見い出せて、感情移入するところが多々あった。
どうでも良いことだが、あえて俺と異なる点を挙げるとすれば、それは女性のタイプ。ジュリアン・ソレルの好みは上流階級に属する女性に限っている。せっかく自分の世話をしてくれるメイドさんのような女性なんかには見向きもしない。俺なんかは自分のために料理、洗濯をしてくれる女性ならすぐに好きになってしまうのだが。
さて、野望に取り付かれ過ぎたため、真実の愛を見失ってしまったジュリアン・ソレルの運命を描いたストーリーとは如何なるものか。
ベリエールの町長であるレナール家に家庭教師としてやってきたジュリアン・ソレル(ジェラール・フィリップ)だが、町長夫人であるルイーズ(ダニエル・ダリュー)と惹かれ合う。しかし、ルイーズは罪の意識に悩まされ、そんな彼女を見ていられなくなったジュリアン・ソレルは憧れだった聖職者の道を目指すために神学校に入る。
しかしながらジュリアン・ソレルは神学校において自分の貧しい生い立ちに悩む出来事が起こり、神学校を辞めることを決心したピラール神父(アントワーヌ・バルペトレ)の誘いに応じて一緒にド・ラ・モオル侯爵家へ向かう。ド・ラ・モオル侯爵から、その才能を認められたジュリアン・ソレルは彼の助手として信頼を得る。しかし、ジュリアン・ソレルが入り込むことになった上流社会にとって、貧しい生い立ちの彼には屈辱の対象でしかなかった。上流社会に対して憎しみを感じるようになったジュリアン・ソレルはド・ラ・モオル侯爵の娘マティルド(アントネラ・ルアルディ)に手を出してしまうのだが・・・
なんだかんだ言っても非常に被害妄想だらけのジュリアン・ソレルの心の叫びはハア~?と思ってしまう人が多いのかもしれない。日本人が観ていてヨーロッパと日本の違いを感じることが多い映画。聖職者になることが出世への道だったり、日本の三審制とは違って、いきなり最初の裁判で死刑判決が出たり、やたら信仰心が強くて自分の行いを責め続けたり・・・等、時代、国が違えばこんなに異なる要素が多いことに驚きを感じる。
今回俺が観たのはデジタルリマスターされた3時間ぐらいのバージョン。文芸作品の映画化で3時間はチョッときつい気がしたのが正直なところ。昔、俺が観たのは2時間ぐらいだったのだが、なんだか余計な贅肉が付いただけのように思えたり、その割にはストーリー展開が急過ぎたりで、良くなったように思えなかった。
しかし、構成的な面で章ごとの冒頭でスタンダールや詩人たちの名言(例えば、『人の心に触れることはその人を傷つけるということ』)が述べられる件は、なかなか人生訓として興味深く感じられるし、そして自分自身をすっかり見失ったしまっていたジュリアン・ソレルが真実の愛に目覚めるシーンは結末と重なり感動できる。そして冒頭の裁判シーンでのジュリアン・ソレル(ジェラール・フィリップ)が述べる反対尋問?は金持ちの既得権益について考えさせられたのは俺だけか?
スタンダールの原作に特別の思い入れのある人、ジェラール・フィリップと聞いて心が躍る人、昔のフランス映画に興味がある人、ちょっと時間に余裕のある人等には映画赤と黒はお勧めしたい映画です
監督はクロード・オータン=ララ。この人のお勧めは、これもまたフランス文学小説の映画化でありレイモン・ラディゲ原作の肉体の悪魔(本作と同じくジェラール・フィリップ主演)が良いです。
主演のジェラール・フィリップは36歳という若さで亡くなったこともあり、伝説的な大スターであり、1950年代のフランス映画を代表する二枚目俳優。若くして亡くなったものの名作、傑作に多く出演し、多くの名監督の作品にも出演しています。お勧めしたいのが前出した肉体の悪魔、マルセル・カルネ監督の愛人ジュリエット、ジャック・ベッケル監督で天才画家モディリアーニを演じたモンパルナスの灯がお勧めです。

にほんブログ村 映画ブログ

人気ブログランキングに参加しております。クリックお願いします
ちなみにタイトルの赤と黒の意味するところだが、赤は軍人を表わし、黒は聖職者を表わす。ジュリアン・ソレルを演じるジェラール・フィリップの衣装に注目すれば、タイトルの意味がわかるが、貧しい境遇で育ったジュリアン・ソレルが出世コースとして選ぼうとした職業が軍人になること、または聖職者の道を進むこと。貧しいなりに立派な職業に就こうとするのは良いことだと思うのだが、そんな彼の想いは、やがて上流社会に属する人間の貧乏人に対する『上から目線』に屈辱を感じ、次第に自らを滅ぼしていく様子が描かれている。
ちなみにジュリアン・ソレルのキャラクターだが、ナポレオンに憧れいて、顔は良くて女性からモテモテ、更に頭が抜群に良くて何の仕事をさせても秀才振りを見せ付ける。嫌味なキャラクターに見える人も居ると思うが、個人的には多くの共通点が見い出せて、感情移入するところが多々あった。
どうでも良いことだが、あえて俺と異なる点を挙げるとすれば、それは女性のタイプ。ジュリアン・ソレルの好みは上流階級に属する女性に限っている。せっかく自分の世話をしてくれるメイドさんのような女性なんかには見向きもしない。俺なんかは自分のために料理、洗濯をしてくれる女性ならすぐに好きになってしまうのだが。
さて、野望に取り付かれ過ぎたため、真実の愛を見失ってしまったジュリアン・ソレルの運命を描いたストーリーとは如何なるものか。
ベリエールの町長であるレナール家に家庭教師としてやってきたジュリアン・ソレル(ジェラール・フィリップ)だが、町長夫人であるルイーズ(ダニエル・ダリュー)と惹かれ合う。しかし、ルイーズは罪の意識に悩まされ、そんな彼女を見ていられなくなったジュリアン・ソレルは憧れだった聖職者の道を目指すために神学校に入る。
しかしながらジュリアン・ソレルは神学校において自分の貧しい生い立ちに悩む出来事が起こり、神学校を辞めることを決心したピラール神父(アントワーヌ・バルペトレ)の誘いに応じて一緒にド・ラ・モオル侯爵家へ向かう。ド・ラ・モオル侯爵から、その才能を認められたジュリアン・ソレルは彼の助手として信頼を得る。しかし、ジュリアン・ソレルが入り込むことになった上流社会にとって、貧しい生い立ちの彼には屈辱の対象でしかなかった。上流社会に対して憎しみを感じるようになったジュリアン・ソレルはド・ラ・モオル侯爵の娘マティルド(アントネラ・ルアルディ)に手を出してしまうのだが・・・

なんだかんだ言っても非常に被害妄想だらけのジュリアン・ソレルの心の叫びはハア~?と思ってしまう人が多いのかもしれない。日本人が観ていてヨーロッパと日本の違いを感じることが多い映画。聖職者になることが出世への道だったり、日本の三審制とは違って、いきなり最初の裁判で死刑判決が出たり、やたら信仰心が強くて自分の行いを責め続けたり・・・等、時代、国が違えばこんなに異なる要素が多いことに驚きを感じる。
今回俺が観たのはデジタルリマスターされた3時間ぐらいのバージョン。文芸作品の映画化で3時間はチョッときつい気がしたのが正直なところ。昔、俺が観たのは2時間ぐらいだったのだが、なんだか余計な贅肉が付いただけのように思えたり、その割にはストーリー展開が急過ぎたりで、良くなったように思えなかった。
しかし、構成的な面で章ごとの冒頭でスタンダールや詩人たちの名言(例えば、『人の心に触れることはその人を傷つけるということ』)が述べられる件は、なかなか人生訓として興味深く感じられるし、そして自分自身をすっかり見失ったしまっていたジュリアン・ソレルが真実の愛に目覚めるシーンは結末と重なり感動できる。そして冒頭の裁判シーンでのジュリアン・ソレル(ジェラール・フィリップ)が述べる反対尋問?は金持ちの既得権益について考えさせられたのは俺だけか?
スタンダールの原作に特別の思い入れのある人、ジェラール・フィリップと聞いて心が躍る人、昔のフランス映画に興味がある人、ちょっと時間に余裕のある人等には映画赤と黒はお勧めしたい映画です

![]() | 赤と黒 [DVD] |
ジェラール・フィリップ,ダニエル・ダリュー | |
アイ・ヴィ・シー |
監督はクロード・オータン=ララ。この人のお勧めは、これもまたフランス文学小説の映画化でありレイモン・ラディゲ原作の肉体の悪魔(本作と同じくジェラール・フィリップ主演)が良いです。
主演のジェラール・フィリップは36歳という若さで亡くなったこともあり、伝説的な大スターであり、1950年代のフランス映画を代表する二枚目俳優。若くして亡くなったものの名作、傑作に多く出演し、多くの名監督の作品にも出演しています。お勧めしたいのが前出した肉体の悪魔、マルセル・カルネ監督の愛人ジュリエット、ジャック・ベッケル監督で天才画家モディリアーニを演じたモンパルナスの灯がお勧めです。

にほんブログ村 映画ブログ


人気ブログランキングに参加しております。クリックお願いします
