褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 罠(1949) 八百長に嵌ります

2024年12月04日 | 映画(わ行)
 ハリウッドのお家芸であるボクシング映画が今回紹介する。邦題の漢字一文字のタイトルは何とも味気ない。それに少し本作のテーマからもずれているのが残念な気分になる。ボクシング映画に多くの人が求めるのはアメリカンドリームを体現するようなドラマだと思うが、本作はそんな展開を期待すると、それこそ本当に罠に嵌ってしまう。ボクサーとしては既に峠を越えてしまっている中年の男と、そんな彼がボロボロに負けるのを見るに耐えることができない妻。実は2人の夫婦愛を描いた映画である。

 早速だがストーリーの紹介を。
 ストーカー(ロバート・ライアン)は中年ボクサーであり、連戦連敗。それでもまだ華を咲かせようと今日も試合に臨む。しかし、この試合で組まれていたのはストーカーが負けるように仕向けられていた八百長。ストーカーのマネジャー達もその八百長に加担していたのだが、どうせストーカーは負けるだろうと高を括っていたために、そのことを彼に知らせないでいた。
 2ラウンドが終了したらノックアウトされる筋書きになっていたのだが、そんなことを知らないストーカーは意外にも善戦してしまい、そして試合の途中で八百長のことを知ってしまうのだが・・・

 古い映画なので心配する人も多いと思うが、ボクシングシーンはよく出来ているので、迫力ある試合シーンを見ることできる。しかし、それ以外にも惹かれる部分も多い。例えば旦那が滅多打ちに遭って負け続けるのを見るのが辛くて、今日の試合にも出場せずにすぐにでも引退して欲しがっている妻のジュリー(オードリー・カッター)の行動。諦めの悪い男と極めて現実的な女性の対比がうまく描かれており、説得のある男女関係を見ることができる。これで妻の方も、旦那がいつかチャンピオンベルトを巻くことを願って試合を応援していたら、きっと興ざめしていただろう。
 他にもストーカーの試合前の控室での他のボクサー達の行い。これから戦う新人ボクサーや、聖書を離さないボクサー、コッテンパンにやられて病院送りになって帰ってくるボクサー等の描き方も非常に含蓄が深い。
 そして八百長に従って10秒間マットに沈んでいても金が入ってくるのに、それに逆らって、己の生き様をマットの上で表現するストーカーに訪れる悲劇。結末はアメリカンドリームとは程遠いが代わりに訪れる夫婦愛に希望を感じる。
 ちなみに本作はだいたい70分を超えるぐらいの短い時間の映画。2時間を超えるような映画が長いと感じる人にはお勧めだし、中年の男性の悲哀を感じさせる内容が好きな人、アメリカンドリームなんて嘘だと思っている人、ハッピーな気分になれなくても少しの希望を感じることが出来る映画を観たい人等に今回はをお勧めに挙げておこう

 監督はロバート・ワイズウエスト・サイド物語サウンド・オブ・ミュージックといった2大ミュージカルの映画監督として有名。個人的にはポール・ニューマン主演の本作と同じボクシング映画である傷だらけの栄光拳銃の報酬がお勧め










 
 
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