イタリアの鬼才映画監督であるピエル・パオロ・パゾリーニだが、映画監督以外にも小説家、詩人等と色々な顔を持つ。53歳という若さで死んでいるのだが、生前と同様に死に方までスキャンダラス。この監督について詳しく知りたい人は自分で調べてもらおう。ちなみに俺は彼の作品はアポロンの地獄、豚小屋、アラビアンナイトを観ている。しかしながら、鬼才と呼ばれる映画監督の作品によくあることだが、個人的にはどれもつまらないものばかり。ちなみに本ブログのコンセプトは誰に対しても自信を持ってお勧めできる映画を褒めまくること。そんな時にようやくお勧めできる彼の映画に出会えたのが今回紹介するテオレマ。タイトルの意味はイタリア語で『定理』を意味する。
パゾリーニ監督だが調べてもらえればわかるが、共産主義者。そんな彼の思想が出ているストーリーの紹介をしよう。
工場経営者のブルジョワ家庭に、何気なくふら~っと青年(テレンス・スタンプ)が訪ねてくる。なぜかこの家庭に泊まることになった青年だが、彼はこの家庭の主人(マッシモ・ジロッティ)、その妻(シルヴァーナ・マンガーノ)、娘(アンヌ・ヴィアゼムスキー)、息子(アンドレ・ホセ・クルス)、家政婦(ラウラ・ベッティ)達といった住人を次々に虜にし、肉体関係まで結んでいく。
ある日のこと、青年は唐突に家を出て行ってしまうのだが、その日を境にしてこの住人達は奇行に走り出す・・・
テレンス・スタンプ演じる謎めいた青年が、老若男女問わず肉体関係を結んでいくが、直接的な描写はないのでその点では安心して見れる。何の不自由もなく(実は不満があったのかもしれないが)暮らしていたブルジョワ家庭を崩壊させていく、この青年は一体何者なのか?そのことを考えるだけでも非常に意味深だ。
この青年が去ってから、主人は経営する工場を労働者に手放し、駅のど真ん中で素っ裸になったり、妻は次々と男漁りをするようになり、娘は急に手が硬直して意識がぶっ飛んだようになり、息子は家出をして抽象画に没頭するものの破滅していっているように見える。この辺りはブルジョワの身分の人間を皮肉っているように思える。
そして、家政婦だが青年が出て行った後に直ぐにお暇をして田舎に帰る。そこで家政婦は空中に浮かんだり、子供の病気を一瞬で治したり奇跡を行う。この家政婦はキリストのメタファーとして描かれている。しかし、パゾリーニ監督は共産主義者ということから宗教(特にキリスト教)には信仰心がないと思われるが、この家政婦に対する描き方はどう捉えたら良いのか考えさせられる。
他にもブルジョワ家庭に、二度ほど踊りながらやって来る郵便配達の男も印象的なのだが、この郵便配達の意味するところも悩ましい。
そして、本作はやたら台詞が少ないので、説明なんか全くないのに等しい。それ故に観ている側は前述したように色々と考えさせられ悩まさせられるので知的な面で好奇心をくすぐられる。ノー天気な気分で映画を観たい人にはお勧めできないが、少々頭を使わさせられるような映画が好きな人に今回は映画テオレマをお勧めに挙げておこう
この監督作品でお勧めがあれば、遠慮なく教えてください。
パゾリーニ監督だが調べてもらえればわかるが、共産主義者。そんな彼の思想が出ているストーリーの紹介をしよう。
工場経営者のブルジョワ家庭に、何気なくふら~っと青年(テレンス・スタンプ)が訪ねてくる。なぜかこの家庭に泊まることになった青年だが、彼はこの家庭の主人(マッシモ・ジロッティ)、その妻(シルヴァーナ・マンガーノ)、娘(アンヌ・ヴィアゼムスキー)、息子(アンドレ・ホセ・クルス)、家政婦(ラウラ・ベッティ)達といった住人を次々に虜にし、肉体関係まで結んでいく。
ある日のこと、青年は唐突に家を出て行ってしまうのだが、その日を境にしてこの住人達は奇行に走り出す・・・
テレンス・スタンプ演じる謎めいた青年が、老若男女問わず肉体関係を結んでいくが、直接的な描写はないのでその点では安心して見れる。何の不自由もなく(実は不満があったのかもしれないが)暮らしていたブルジョワ家庭を崩壊させていく、この青年は一体何者なのか?そのことを考えるだけでも非常に意味深だ。
この青年が去ってから、主人は経営する工場を労働者に手放し、駅のど真ん中で素っ裸になったり、妻は次々と男漁りをするようになり、娘は急に手が硬直して意識がぶっ飛んだようになり、息子は家出をして抽象画に没頭するものの破滅していっているように見える。この辺りはブルジョワの身分の人間を皮肉っているように思える。
そして、家政婦だが青年が出て行った後に直ぐにお暇をして田舎に帰る。そこで家政婦は空中に浮かんだり、子供の病気を一瞬で治したり奇跡を行う。この家政婦はキリストのメタファーとして描かれている。しかし、パゾリーニ監督は共産主義者ということから宗教(特にキリスト教)には信仰心がないと思われるが、この家政婦に対する描き方はどう捉えたら良いのか考えさせられる。
他にもブルジョワ家庭に、二度ほど踊りながらやって来る郵便配達の男も印象的なのだが、この郵便配達の意味するところも悩ましい。
そして、本作はやたら台詞が少ないので、説明なんか全くないのに等しい。それ故に観ている側は前述したように色々と考えさせられ悩まさせられるので知的な面で好奇心をくすぐられる。ノー天気な気分で映画を観たい人にはお勧めできないが、少々頭を使わさせられるような映画が好きな人に今回は映画テオレマをお勧めに挙げておこう
この監督作品でお勧めがあれば、遠慮なく教えてください。