褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 紳士協定(1947) 人種差別を描いています

2024年12月07日 | 映画(さ行)
 アメリカで人種差別といえば黒人に対する差別を思い浮かべる人が多いと思うが、実は白人同士でもある。特にユダヤ人に対しての人種差別の実像を描いたのが今回紹介する紳士協定。白人同士で見た目は違わないので何処を見て偏見が生まれるのかと思うが、実は名前で判断される時がある。ユダヤ人の名前に多いのが、最後に「~マン」とか「~バーグ」と付く名前。例えば俺が大好きな俳優であるポール・ニューマン、現役の俳優ではダスティン・ホフマン、そして有名映画監督のスティーヴン・スピルバーグもユダヤ系アメリカ人。本作が制作されたのが、まさに反ユダヤ主義が問題になっていた時期であり、偽名を使うユダヤ人も少なからずいた。しかし、今日のアメリカでは前述した有名人やユダヤ人自身の努力もあってユダヤ人に対する感情はマシになっているように思うのだが、世界を見渡すと未だにユダヤ人に対する差別感情が残っているようだ。

 早速だがユダヤ人に対する人種偏見を真っ向から描いたストーリーの紹介を。
 コラムニストであるフィル・グリーン(グレゴリー・ペック)は年老いた母と幼い息子のトニーを連れてカリフォルニアからニューヨークに引っ越す。ニューヨークの編集長ミニファイ(アルバート・デッカー)に招かれたフィルは、反ユダヤ主義についてのコラムを書くように依頼される。もうひとつ乗り気でないテーマだったのだが、息子のトニーからユダヤ人についての説明を求められ、またミニファイの姪であり婚約者となるキャシー(ドロシー・マクガイア)からの後押しもあり、反ユダヤ主義について書くことを決心する。
 そして、フィルは自らユダヤ人に成りすまし反ユダヤ主義について調査すると、あらゆる場面で偏見にさらされる場面に遭うことになる・・・

 本当はクリスチャンであるフィル・グリーンだが、どうやってユダヤ人に成りすますのか?彼はフィル・グリーンバーグと名前を変える。前述したように名前の最後にバーグを付け加えたのだ。そして、会社の中で自分はユダヤ人であると発表する。瞬く間にそのことは会社内で広まり、周囲の態度もよそよそしくなる。
 本作では随所にユダヤ人の偏見に晒される実態が度々出てくる。ユダヤ系の名前だったために就職が出来なかったり、アパートも借りられなかったり、ホテルにも泊めてもらえないし、息子のトニーはユダヤ人の血が流れているということで苛められる。フィルは実体験を通して反ユダヤ主義の実態を味わう羽目になってしまうのだが、彼はそれでもユダヤ人であることを通す。この頑なな態度は婚約者であるキャシーとの仲にも亀裂を生じさせる。キャシーはユダヤ人に対する偏見は無いのだが、犠牲を払ってまでユダヤ人に執着する必要を感じてないのだ。
 本作が凄いのは単にユダヤ人差別を描いているだけでなく、どうしたらユダヤ人差別を無くせるのかを描いているところ。口よりも行動が重要であることを知らされ、1人だけで100歩を歩くのではなく、100人が1歩を踏み出すことの重要さを本作の最後に教えてくれる。そして、フィルとユダヤ人であることを隠している秘書とのやり取りから民族の誇りがいかに大切であるかも知らされる。ちなみにタイトルが意味する紳士協定の意味ですが、悪いルールだと理解していても見て見ぬ振りをすること。まさに本作の最大のテーマを言い当てています。
 社会派な映画を見たい人、ユダヤ人だけでなく人種偏見について興味がある人、本当に世の中を良くしたいと思っている人等に今回は映画紳士協定をお勧めに挙げておこう

 監督は名匠エリア・カザン。ホームドラマの傑作ブルックリン横丁、ジェームズ・ディーン主演のエデンの東、マーロン・ブランド主演の波止場、伝記映画が好きな人なら同じくマーロン・ブランド主演の革命児サパタもお勧め







 
 

 

 
 
 
 
 
 

 
コメント (6)
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