褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 西鶴一代女(1952) ひたすら悲劇です

2025年01月06日 | 映画(さ行)
 江戸時代の作家である井原 西鶴の原作好色一代女を国際的評価の高い溝口健二監督による映画化作品が今回紹介する西鶴一代女。モノクロの映像に江戸時代を舞台にした映画。それでいてチャンバラのシーンなんか無いので血肉が湧き躍るようなシーンなんか無い。そりゃ~、井原西鶴原作でそんなことを求めるのが無理。逆にマトモな人が観れば深い悲しみに陥るだろう。まあ俺の観方は少し違ったが。

 ひたすら悲劇に襲われる女性の生涯を描いたストーリーの紹介を。
 十代の女性であるお春(田中絹代)は京都の御所勤めをしていた。しかし身分の低い勝之助(三船敏郎)の推しの強さに屈して、宿で2人が会っていたところを役人に見つかってしまう。お春は父母を伴なって京都から追放され、勝之助はお春へ『必ず愛する人と一緒になってくれ』と遺言を遺して斬首されてしまう。
 ある日のこと、世継ぎが出来ない松平家では側室を探していたのだが、お春は松平家の家臣に見いだされて側室になる。そして無事に世継ぎも産むのだが正室から疎まれてしまい、お春だけ実家へ帰されてしまい・・・

 モノクロの映像のおかげもあり、田中絹代が十代から五十代まで演じることができた。日本にも身分の違いで叶わぬ恋愛があるのかと痛感したが、本作はさらにお春をどん底へ叩き落す。なんせお父さんが最悪。勝之助と会っていたことに対して、怒りに任せて手を上げてしまうだけでなく、松平家から帰ってきたお春を島原の遊郭へ売り飛ばすような血も涙もないかのような父親。娘に対して愛情の欠片のなさにはドン引きした。
 しかし、お春が次々と家を出されてご奉公に出たり、嫁いだりするのだが、どれもロクでもない男に弄ばれてしまう始末。幸せな結婚をしたかと思ったら、それも一瞬のことで旦那さんが刺殺されたりで悲劇ばかり。人生を諦めて尼さんにまでなろうとするのに、ここでも悪いことが起きて追い出される始末。更に悪いことは起こる。
 実は俺はこの悲劇の出来事の連続に、思わず笑ってしまった。そんな俺は自分自身に罪悪感が芽生えたのだが、よく考えると悲劇と喜劇なんて紙一重。ちょっと演出を変えたら本当にブラックコメディになるようなストーリー展開が繰り広げられる。
 他にも松平家の家臣がやって来ての女性を集めての側室を選ぶシーンなんかは個人的には大笑いした。演出している方はそんな意図はなかったと思うのだが。今まで、たくさん映画を観たきたがこれだけ悲惨な目に遭う女性を描いた映画は初めてのような感覚がする。実際に原作はどのような描き方をしているのか気になった。果たしてこの映画をどのような人にお勧めしたら良いのか悩ましいが、なかなかの快作である西鶴一代女をお勧めに挙げておこう

 監督は前述したように溝口健二。人間の業の深さを感じさせる雨月物語はお勧め

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