褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 悪人(2010) この世の中、悪人ばかりですが

2013年10月01日 | 映画(あ行)
 二枚目俳優である妻夫木聡主演の映画悪人。この映画を観ていて思ったのが『ツマブキって、俺とよく似ているよな~』ってこと。もちろん顔が似ているわけがない。そんなことは当たり前で、ちょっと俺の方が男前度では負けているぐらいだが、彼の演じている清水祐一という男の設定が俺とよく似ているのだ。
 何だか人生に希望を持てず、現実からの逃避行を試みている所などはまさに俺と同じ。そして、途中で彼の吐き出すように言う台詞が、俺も言った事があるので驚いた『愛すれば、愛するほど、苦しくなる』。そう言えば、この台詞は俺の敬愛する長渕剛の歌の中にも出てくる歌詞と一緒じゃん。
 しかし、念のために言っておくと、全く似ていないところもある。それは、俺は人殺しでもなければ、出会い系サイトなど利用したことは無いということ

 ちなみにもう一人の主演女優である深津絵里だが、これまた『フカツエリって、俺とよく似ているよな~』と思ってしまった。それは『俺と顔が似ていること』と言うのは、悪い冗談。彼女が演じている馬込光代という女性の心理、置かれている状況が、俺と一緒。青春時代からずっと地元にくすぶっていて、毎日が同じ生活の連続。なんだか殻をぶっ壊せなくて、ひたすら孤独を感じ、幸福感がまるで無いところが俺と同じだ。
 そんな主演の男女が出口を見つけることができずに、苦しみ、もがいている様子が、俺に似ていて非常に共感できる。
 予め断っておくが、本作の悪人は幸せ過ぎて、ルンルン気分の人は全く感動できないので観ない方が良い。観終わった後に、大いに悩む映画であり、わざわざルンルン気分なのをブチ壊す必要などあるように思えないからだ。

 さて、そんな幸福感もあんまり感じられず、お互いに孤独感が漂う男女の破滅的な恋愛のストーリーとはいかなるものか。
 海が見える田舎の村で暮らし、安月給で毎日肉体労働に従事する祐一(妻夫木聡)は、親代わりの祖父母の世話をする毎日。唯一の趣味が夜中に車をぶっ飛ばすこと。まるで未来への希望を見出せそうにない祐一(妻夫木)は、半ばウサ晴らしで始めた出会い系サイトで知り合った保険会社に勤める佳乃(満島ひかり)と待ち合わせの場所で出会うが、彼女は目の前で別の金持ちのボンボンの車に乗って去っていく。
 さて祐一(妻夫木)はやがて別のメール友達で今まで出会ったことのない光代(深津絵理)を呼び出し、初デートは仲良くドライブかと思いきや、いきなりラブホテルへ連れ込み、祐一(妻夫木)は光代(深津)の体を貪るように愛しまくる。
 お互いに孤独、未来への絶望という共通点を見出した2人はデートを重ねるようになるが、祐一(妻夫木)は光代(深津)にとんでもないことを告白する『実は俺は人殺しなんだ』と。光代(深津)は人殺しを愛してしまったことに運の悪さを感じることもなく、あろうことか自白しようとした祐一(妻夫木)を説得して、逃避行の旅を続けることを決心してしまうのだが・・・

 それにしてもなぜ、祐一(妻夫木)は佳乃(満島ひかり)を殺したのか?なんて疑問は実は早々にばらしてしまうし、別に予想範囲の理由なので大した驚きもない。この映画にはサスペンス性も薄く、男女の逃避行によるスリルもそれほどない。それでは一体この映画に惹きつけられる魅力とは何か
 人殺しイコール悪人なんてことは、誰しもが思うこと。しかし、この映画は人殺しの心理を奥深くえぐって行くことによって、祐一(妻夫木)って悪い奴じゃ無いやんと観ている我々が洗脳されていくところ。決して光代(深津)は彼が今まで見たことがない男前だったから、一緒に逃避行をするわけでは無い。

 それにしても相手が悪人では無いことがわかっていても、まるで未来の希望が無い男に付いていく光代(深津)のキャラクターが凄い。この映画を見ていて女性の強さに俺なんかは大いに感動した。確かにこの世の中、一生売れないお笑い芸人を支える女房がいたり、クビ切り確実で活躍できそうにないのに必死で支える野球選手の綺麗な奥さんが居たりで、現実の女性においてもダメ男を支えることに生きがいを感じる光代(深津)みたいなキャラクターの女性がたくさんいる。だからこそ俺みたいな悪人に成り損ないの男でも希望を失わずに生きていけるのかもしれない。
 実はこの映画を見ている途中まで涙が出そうになっているのを抑えるので必死なぐらいに感動していたのだが、祐一(妻夫木)の突拍子もない行動を見た瞬間に、逆に涙がへっこんでしまった。正直なところ俺にはあのシーンの意味がわからないのだが・・・あのシーンこそ祐一(妻夫木)の優しさが表われてる場面なのか?その疑問が解けた時、今度こそ大粒の涙を流すだろう。

 さらに逃亡している2人の若い男女の世代と、親世代、更にその上の世代による対立構造も見てとれるのが、この映画の面白いところ。殺された佳乃(満島ひかり)の両親、そして逃亡している祐一(妻夫木)の母親代わりの祖母の姿に、今は無くなりつつある古き良き家族の姿も実に感動的だ。
 実はいつもニコニコしていて良い人を気取っている俺が1番の悪人かも?と悩まされる映画悪人は、もう夢も希望が無くなったと感じている人、すっかり親に感謝することができない自己都合だけで生きている人、オカネで何でもケリがつくと思っている心の貧しい人には是非お勧めしたい映画です

悪人 スタンダード・エディション [DVD]
妻夫木 聡,深津絵里,岡田将生,満島ひかり,樹木希林
東宝


 監督は李 相日。殆んどこの監督の事は知りません。逆にこの監督のお勧め作品を教えて欲しいぐらいです。クリント・イーストウッド監督の名作許されざる者の同名タイトルの日本映画であるリメイク作品を監督しています。

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