純粋な子供と少しばかりイカサマを覚えてしまった大人との対比を上手く利用したサスペンス映画が今回紹介する映画落ちた偶像。子供の視点で描かれているのがユニークであり、大人の事情のせいで巻き添えを喰らってしまった子供の姿が痛々しい。現実として大人の世界でもあるだろう。例えば会社の中で、意見の食い違う二人の上司の板挟みを喰らってしまい、どちらに付けば良いのか悩ましい選択を迫られる時が。
アッチを立てれば、コッチが立たず。そんな心理サスペンスを感じさせるようなストーリーの紹介を。
ロンドンにある某国の大使館にて。週末を控えて大使館には、大使の息子であるフィリップ少年(ボビー・ヘンリー)と執事であるべインズ(ラルフ・リチャードソン)とべインズ夫人(ソニア・ドレスデル)の3人がいた。フィリップはべインズのことを好きであるのだが、厳格すぎるべインズ夫人のことが大嫌い。べインズもそんな妻の性格に嫌気がして、夫婦仲はすっかり冷めており、べインズは七カ月前から大使館で働いているジュリー(ミシェル・モルガン)と浮気をしていた。
べインズ夫人は夫が浮気していることをフィリップの言動から嗅ぎつけ、罠を仕掛けて大使館の中でべインズとジュリーが一緒に居る所へ現れようとするのだが、はずみでべインズ夫人はベランダから足を踏み外して落下死してしまう。べインズがべインズ夫人を殺したと勘違いしてしまったフィリップは、べインズのために警察の聞き取り調査に対して嘘を重ねるのだが・・・
べインズ夫人は非常にヒステリックで自分に気に食わないことがあると、フィリップ少年のような子供にでも手を挙げてしまうようなパワハラ以前の問題があるような人間。俺もこんな女性は、はた目から見てても嫌になるだろうし、べインズが嫁さんのことを嫌になるのもわかる。
しかし、もっとダメなのが良い人そうに見えるべインズ。このべインズがフィリプ少年を楽しませるために話をめちゃくちゃ盛ったり、嘘を付くのがフィリップ少年を困らせるし、自分を追い込むことになる。そもそも、ジュリーとの浮気現場をフィリップ少年に見られて嘘を付くのはいけない。よって、この映画のテーマには嘘と秘密があるだろう。べインズはジュリーのことをフィリップには「彼女は姪なんだよ」と噓をつき、「ジュリーと会っていたことは秘密だよ」とべインズ夫人に浮気をしていることを悟られないためにフィリップ少年を巻き込んでしまう。フィリップ少年はべインズのことを敬愛までしているのだが、そのために大いなる重圧を受けてしまう。この辺りの件は大人の罪深さを感じさせる。
そして、フィリップ少年がべインズとの秘密を守ろうとすればするほど、無罪のべインズがピンチになってしまうところにサスペンスの盛り上がりを感じさせる演出が良い。特に一流の演出を感じさせるのが紙飛行機が螺旋状に飛び落ちていくシーン。この場面が色々な想像を掻き立てる名シーンだ。最後の方はフィリップ少年は正直者になろうとするのだが、この展開も心が痛む。嘘をつけ!と言われていたのに、後から「本当のことを言ってよ」と大人に言われるとは、悩める少年が可哀想すぎる。
サスペンス映画の奥の深さを感じたい人、一流監督の演出の妙を感じたい人、子供が好きな人等に今回は映画落ちた偶像をお勧めに挙げておこう
監督は超一流のサスペンス映画の名手であるキャロル・リード。名作第三の男、邪魔者は殺せがお勧め
アッチを立てれば、コッチが立たず。そんな心理サスペンスを感じさせるようなストーリーの紹介を。
ロンドンにある某国の大使館にて。週末を控えて大使館には、大使の息子であるフィリップ少年(ボビー・ヘンリー)と執事であるべインズ(ラルフ・リチャードソン)とべインズ夫人(ソニア・ドレスデル)の3人がいた。フィリップはべインズのことを好きであるのだが、厳格すぎるべインズ夫人のことが大嫌い。べインズもそんな妻の性格に嫌気がして、夫婦仲はすっかり冷めており、べインズは七カ月前から大使館で働いているジュリー(ミシェル・モルガン)と浮気をしていた。
べインズ夫人は夫が浮気していることをフィリップの言動から嗅ぎつけ、罠を仕掛けて大使館の中でべインズとジュリーが一緒に居る所へ現れようとするのだが、はずみでべインズ夫人はベランダから足を踏み外して落下死してしまう。べインズがべインズ夫人を殺したと勘違いしてしまったフィリップは、べインズのために警察の聞き取り調査に対して嘘を重ねるのだが・・・
べインズ夫人は非常にヒステリックで自分に気に食わないことがあると、フィリップ少年のような子供にでも手を挙げてしまうようなパワハラ以前の問題があるような人間。俺もこんな女性は、はた目から見てても嫌になるだろうし、べインズが嫁さんのことを嫌になるのもわかる。
しかし、もっとダメなのが良い人そうに見えるべインズ。このべインズがフィリプ少年を楽しませるために話をめちゃくちゃ盛ったり、嘘を付くのがフィリップ少年を困らせるし、自分を追い込むことになる。そもそも、ジュリーとの浮気現場をフィリップ少年に見られて嘘を付くのはいけない。よって、この映画のテーマには嘘と秘密があるだろう。べインズはジュリーのことをフィリップには「彼女は姪なんだよ」と噓をつき、「ジュリーと会っていたことは秘密だよ」とべインズ夫人に浮気をしていることを悟られないためにフィリップ少年を巻き込んでしまう。フィリップ少年はべインズのことを敬愛までしているのだが、そのために大いなる重圧を受けてしまう。この辺りの件は大人の罪深さを感じさせる。
そして、フィリップ少年がべインズとの秘密を守ろうとすればするほど、無罪のべインズがピンチになってしまうところにサスペンスの盛り上がりを感じさせる演出が良い。特に一流の演出を感じさせるのが紙飛行機が螺旋状に飛び落ちていくシーン。この場面が色々な想像を掻き立てる名シーンだ。最後の方はフィリップ少年は正直者になろうとするのだが、この展開も心が痛む。嘘をつけ!と言われていたのに、後から「本当のことを言ってよ」と大人に言われるとは、悩める少年が可哀想すぎる。
サスペンス映画の奥の深さを感じたい人、一流監督の演出の妙を感じたい人、子供が好きな人等に今回は映画落ちた偶像をお勧めに挙げておこう
監督は超一流のサスペンス映画の名手であるキャロル・リード。名作第三の男、邪魔者は殺せがお勧め
大使館の中を主要な舞台にしているが、小道具を巧みに使い、構図の取り方で心理的なサスペンスを高めていく手法は実に見事だ。
戦後の荒廃が色濃く残る社会状況と不安定な人間関係が、この物語の背後に見え隠れしている。
この映画の主演のラルフ・リチャードソンは、ローレンス・オリヴィエ、ジョン・ギールグッドと並び、英国の三大シェークスピア役者に数えられた名優。
浮気をしながらも、妻を恐れて離婚も出来ない小心者を演じ、偶像が実は平凡な男だったという主人公に、演技を忘れさせるほどの存在感を与えていると思う。
ラルフ・リチャードソンさんって有名な人だったんですね。彼の他の作品も観ようと思います。