褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 天井桟敷の人々(1945) 大作のメロドラマ

2025年01月13日 | 映画(た行)
 3時間半の超大作メロドラマを描いたのが今回紹介する映画天井桟敷の人々。フランス映画史に遺る名作であり、パリに生きる人々の恋愛を哀感たっぷりに描いている。本作の凄さに1945年に公開されていることが挙げられるだろう。当然撮影はフランス国内で行われており、まさにその頃はナチスドイツによる影響下でのできごと。よって本作は命懸けで制作されていたのだ。そういう意味ではレジスタンス映画だと言っても良いかもしれない。

 フランス映画らしい苦みを感じさせるストーリーの紹介を。
 19世紀前半のパリが舞台。犯罪通りと呼ばれる大通りでは大道芸人見たさで、人々がごった返している。その中には殆ど裸の格好で見世物にされている女芸人のガランス(アル・レッティ)の姿も見られる。彼女は口が達者な無名の俳優フレデリック(ピエール・ブラッスール)にナンパされるも軽くあしらい、舞台のシナリオを描いているが裏の顔は犯罪を繰りかえすラスネール(マルセル・エラン)からも言い寄られているが、これも軽くあしらっていた。
 無言劇場でパントマイムをしていたバチスト(ジャン=ルイ・バロー)だが、同じ劇場の舞台に立っているナタリー(マリア・ガザレス)から愛されていた。ひょんなことからバチストはガランスと知り合いになり、バチストは彼女にゾッコン。しかし、純粋なバチストはもう一押しができないでいた。
 バチスト、フレデリック、ガランスは同じ舞台に出ることになるのだが、そこに観客としてモントレー伯爵(ルイ・サルー)がやって来る。彼はガランスに一目惚れ。舞台裏に来てまでガランスにアピールするのだが、彼女は申し出を軽くあしらう。しかし、ガランスは住んでいるマンションでラスネールの犯罪の共犯者になりそうになるが、モントレー伯爵のカネの力で助けられる。
 そして時は流れて5年後、ガランスはモントレー伯爵と結婚しており、バチストはナタリーと結婚しており子供も出来ており、パントマイム芸はパリ中で大流行り。しかし、バチストはガランスの事を忘れられないでいた・・・

 アル・レッティ演じるガランスがモテまくる。本作に登場する主要男性陣は4人ともガランスに惚れてしまう。ガランスが男を誘惑する素振りは一切ないのだが、彼女の成熟した色気が男達を虜にする。しかし、ガランスが本当に愛していたのはバチストだけ。金持ちのモントレー伯爵と結婚していても、心は常にバチストを想い続けている。
 またナタリーの一途にバチストを愛する様子が非常に悲しいものを感じさせる。ガランスに向かって『バチストは必ず私を愛するようになるわ』なんて言ってのけるが、どこからそんな自信が湧いてくる?と見ている最中は思った。バチストとナタリーも結婚して子供まで産まれるのだが、ナタリーがガランスに勝てない結末が哀しい。
 結局は誰も報われない結末に終わってしまうのだが、このセンチメンタリズムが1930年代から1940年代にかけてのフランス映画の独壇場。これぞ詩的リアリズムを感じさせる。
 男女の嫉妬、プライド、複雑な心情が描かれているように酸いも甘いも尽くした大人の心に響く恋愛劇として本作は傑作だろう。そして、ジャン=ルイ・バローのパントマイムは素晴らしいの一言。これも本作の見所として挙げて良いだろう。
 18世紀前半のパリの雑多な人混み、劇場風景、決闘、大道芸など当時の風俗が見られるのも褒めたいところだろう。3時間半という長時間にビビッて本作を観ていない人は非常に勿体ない。名作とはどういうものかを教えてくれる天井桟敷の人々を今回はお勧めに挙げておこう

 監督はマルセル・カルネ。第二次世界大戦中は多くの監督がフランスからアメリカに渡ったりしたが、この人は本作のようにフランスで撮り続けた。ラストシーンが秀逸な北ホテル、ジェラール・フィリップ主演の愛人ジュリエット、サスペンス映画の傑作嘆きのテレーズがお勧め

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-12-14 19:07:50
「映画評論家」というのには、笑わせていただきました。
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